83年に第1作目を発表以来、最新刊「D−邪王星団3」まで17冊を数える菊地秀行の人気小説「吸血鬼ハンターD」シリーズ。ファン待望の劇場用アニメ化を記念して、作品上映とライブ&トークショーの贅沢なイベントが、渋谷公会堂にて開催されました。
今回の「D」は二度目のアニメ化ですが、今回は第3作「Dー妖殺行」をアニメ化したもの。原作の挿絵を担当した天野喜孝の絵のイメージを壊さず、「D」の持つゴシックな色合いの濃い世界を映像で作り上げた川尻善昭監督の手腕には、原作の菊地先生も絶賛。英語で作成された為、アメリカでの展開も予定されているとか。今回は日本語字幕での上映となりました。








ライブでは主題歌の「遠くまで」を含めて3曲をDo As Infinityが熱唱、トークショーには菊地先生と川尻監督に加えて、映画大好きの女優・佐伯日菜子さんも参加、会場ロビーでは一足早く携帯ストラップやピンズ等のオリジナルグッズの販売もあり、多数の応募の中から招待券を見事ゲットしたファンも、大満足のフェスティバルでした。

シークレットフェスティバルの開演前に、菊地先生と川尻監督からコメントを伺う事が出来ました。

菊地秀行(作家・原作者)
「凄い出来でした。原作者の想像を越える出来でした。びっくりしました。ここまでアニメが進歩しているとは。私、アニメ嫌いなものですから(笑)。原作の味も良く出ていたし、原作者の狙った以上に、小説を映画化した時に理想的なムードというのが、大抵、頭にあるのですけれど、それを超えていましたね。特に夜の情景とか闇の濃さとか色合いとか、それが昼間になった時の空の青さとの対比とか、色彩設計があまりに見事なので、度肝を抜かれました。私の原作のアニメ化というのは、2,3の例外を除いて、原作と違うという批難の方が多いのですが、これは原作以上だという声も上がっていますので。ファンはもちろん、アニメをほとんど見ない方も、こういうゴシックホラー的なアニメというのはあまり無いもので、観て欲しいです。もう、アメリカのアニメ関係のサイトでもかなり話題になっているので、アメリカでも評判が悪いという事は、絶対ないと思います」

川尻善昭(脚本・監督・絵コンテ)
「公開」まで随分、間があったのでようやっと漕ぎ着けたという感が。どういう反応が出るか、お客様がどう見てくれるのか、恐い部分もありましけれど。原作を読んだのは10何年前です。もし自分に本格的な劇場作品を手掛けられるチャンスがあるんだったら『D』しかないなと思っていました。ずっとやりたかった作品ですから。アニメーションですから、もちろん苦労はありましたけれど、えらい時間もかかて。でもこの作品に限っては苦労というよりも、やりがいがあったし、非常に楽しかったです。なるたけ幅広い層の人に観てもらいたいです。昔、僕が吸血鬼映画を観た時のインパクトと同じものを、新しい、形を変えたもので、今の若者に与えたいなと思っています。アメリカで9月、韓国で7月の上映が決まっています。グローバルに展開していきたいな、そういう事が出来そうな作品だと、初めから思って作っていますから」





Do As Infinityのメンバーからも、作品についてメッセージが。

大渡亮(ギター&ヴォーカル)
「昨年の秋頃に試写会でこの映画を見てから、この曲に詞を書きました。主人公の『D』やレイラのどーしようもない位の孤独感、でも何かを見つけて歩き続ける、ポジティブな姿勢に胸を打たれました。この人達を僕が励ましたら、どんなカンジになるんだろうか?ってな具合で作業を進めていきました。最悪でどん底な時こそ、しっかりと前を向いて歩いていかねばならないという事を、この映画、そぢて僕らの『遠くまで』で感じ取って欲しいです」

伴都美子(ヴォーカル)
「私は普段あまりアニメを観ない方ですし、寝てしまうのでは・・と内心心配していたのですが、映画が始まってみたら、あまりの面白さにすっかり映画に入り込んでしまいました。かなり繊細なアニメーション映像の素晴らしさはもちろんの事、アニメという枠を越え、幅広い年齢層に指示されるような内容でした。この作品に主人公の気持ち、映画の感覚的イメージを私達Do As Infinityの『遠くまで』という曲で表現してみましたが、、いかがでしょうか。早く映画館でエンドロールに流れる『遠くまで』を聞いてみたいですね。また海外でも主題歌に『遠くまで』が使用されるそうで、本当に光栄です」

この作品は2001年4月21日より全国ワーナー・マイカル・シネマズにてロードショー

執筆者

鈴木奈美子

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