「バガー・ヴァンスの伝説」(3月3日から日比谷映画ほかロードショー)、「ザ・ダイバー」(5月下旬日比谷映画ほかロードショー)の2大作を引っさげて、シャーリズ・セロンが22日、東京プリンスホテルで会見を開きました。長身痩躯、黒のタートルにブロンドが映え、眩いばかりのシャリーズ。心なしか、質問者も男性陣が多かったような。とある質問“私生活でも男性に積極的なんですか!?”は通訳前に理解したようでニヤリとしてしまう場面も。当日の模様を、一部中継しましょう。





ーー「バガー・ヴァンス〜」の監督、ハリソン・フォードとの仕事はいかがでしたか。
彼は素晴らしいアクターであると同時に素晴らしい監督でもあるわ。俳優のフラストレーションをよくわかっているし、それに対する忍耐力も持ち合わせている。俳優にとって彼ほどやりやすい監督はいないんじゃないかしら。

——あなたが演じたアデールがマット・ディロンを誘惑する場面があります。私生活でも…男性に積極的なんですか。
…(笑)。その質問、何度も聞かれたわ(笑)。そんな風に見えるのかしら。でも、アデールのことを言うと、私の解釈とはちょっと違う。彼女は1930年代を生きたプライドの高い南部女よ。どんなに傷ついても表面には出さないでしょうね。劇中、マットとのやり取りでダイナミックな場面もあったけど、アデールは10年前に彼に振られているの。それも理由も全くわからないままにね。そんな心の傷をカムフラージュするために、ああいう行動に出たのかもしれないわ。

ーー本編撮影中のエピソードを。
ゴルフ場のシーンでジュナ(マット・ディモン)を呼び寄せて、10年間の想いのたけをぶちまけるシーンがあったの。シナリオを読んで、アデールにとってこれが一番の見せ場だと思ったわ。しっかりやらなくっちゃ、ってね。でも、実際の現場にいくとプレッシャーが勝ちすぎて何一つ沸きあがってくるものがなかった。3テイク撮り直したけど、全然ダメ(笑)。何も起こらない(笑)。こういう時、無理強いする監督もいるけど、レッドフォードはどうしたかというと…。“5分間休憩しよう、君はトレーラーに戻って今のことは全て忘れろ”って言ったの。5分後、撮影を再開し、1テイクでオーケーになったわ。




ーー2作品とも衣装が素敵ですね。モデルが出身だけにファッションに対する目も厳しい?
モデルの仕事とは関係ないわ(笑)。でも、映画にとってメイク、ヘア、衣装が重要なのは言うまでもないことで、用意された衣裳をそのまま着る人はまずいないと思う。「ザ・ダイバー」でアル中の女を演じたんだけど、私の解釈としては50年代に映画スターになりたかったのに、果たせなくてお酒に溺れてしまったようなひと。マリリン・モンローとかエリザベス・テーラーとか、その時代のスターさながら海軍の基地でじゃらじゃらしたドレスを身にまとっているの。本にはもちろん載ってないんだけど、こうした衣裳が役作りをしやすくするってこともあるわ。まず外側を固め、内側に入っていくか、内側から外側に行くか、両方のやり方があると思うけど。

——今後挑戦したい役ですとか、5年後にどうしたいとかビジョンはありますか。
残念ながら、私は先が読めない質なのよ。それは、(頭が悪いってことになってる)ブロンドのせいじゃなくてね(笑)。先をどうこう、っていうんじゃなく、今という時間をエンジョイしていきたい。2年前にプロダクションを立ち上げて、映画のプロデュースもやってるの。シナリオの掘り起こしとね。実はこの8ヶ月間は女優の仕事をやっていないわ。女優として参加する作品にもリライトから関わるようにしてるの。パートだけの仕事じゃなくて、映画作りのプロセスに携わりたいのよ。

執筆者

寺島まりこ

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作品紹介:「バガー・ヴァンスの伝説」
作品紹介:「ザ・ダイバー」