いよいよ、ソフト・ショップの店頭に『発狂する唇』のDVDが並んだ1月25日、東京渋谷のアップリンク・ファクトリーでは、DVD発売記念トーク・ショーの第2夜が開催されました。この日のゲストは、『発狂〜』をはじめ多くの作品の脚本を手がけ、国産ホラー映画ブームの中心人物の一人である高橋洋さん。また、急遽欠席された佐々木浩久監督に代わって、『発狂〜』で里美の母親暎子役を好演し『血を吸う宇宙』にも続投、ご自身も監督としても活躍されている吉行由実さんが登場。「暗いものを呼び込む何かを背負っているワリには明るい」佐々木監督の話から、『発狂2〜』こと『血を吸う宇宙』の撮影風景、ロマン・ポルノのこと、そして観るものを何故か魅了してやまない映画の“魔”についてまで、多彩でマニアックなトークが繰り広げられました。前編は、『発狂〜』に関して・・・・後編は、新作と脚本家・高橋洋氏の監督作品の話。



吉行由実さん(以下吉行)−−佐々木監督の現場はとても明るいですよね。半分くらいは野球の話で。ユニフォームを着てくるし。
高橋洋さん(以下高橋)−−ベイスターズ佐々木と言うくらいで。早く撮影を終えて帰ろうとする。前回、流石に最後は僕もむっとしましたが。で、今回は真剣にやりますからと撮ったのが『血を吸う宇宙』なんです。今回はベイスターズは関係無い時期でしたし。
吉行−−でも、今回もペースは変わらなかったですよ。基本的に早撮りの方なんですよね。
高橋−−『発狂〜』はレイトでは非常に成功したんです。で、ある程度の予算でいけるだろうと、脚本を書いたんで『血を吸う〜』は規模が大きい。SFものですから。ただ、今業界自体がDVDとの交替期に入ってることもあって、ビデオのセールスが厳しい。それで製作会社が急に、予算けずっちゃって…。
吉行−−日数とかもっと長く出来るかと思っていたら…
高橋−−『発狂〜』より1日減ってますからね。1日50カットとかとんでもないノルマを課されて、それが出来るというのが、佐々木監督の凄いところではあるのですが。



吉行−−CGとか使えない予算に色濃く出てましたね。凄く感動的な小細工をして(笑)。
高橋−−事前に言っておこうと思ったことで、『血を吸う〜』は8月くらいに公開になると思いますが、その時にまず絶対にこの映画は、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』を馬鹿にしようとして作ったという誤解を生みます。全く知らないで作ったんだけど、明らかにバカにしてるんですよね(笑)。それとこれも内輪の話だけど、実は原作があったんですよ。死ぬほどくだらない奴で…
吉行−−あぁ、それが私のやった役のあの…。監督から「この顔を!」ってマンガのコピーを見せられて、この顔さえできればOKだって(笑)。それと、見所は歌のところですかね。
高橋−−『発狂〜』の第1稿を書いたときには、まだ歌と言うイメージは無かったですね。新東宝から一瀬(隆重プロデューサー)さんに移ったときに、一瀬さんが歌でもって。それで、「『ムトゥ』みたいなのはやめようよ…歌謡映画だと。それで触発されたのが、『ダンサー〜』に繋がっていくんですけど。

執筆者

HARUO MIYATA

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