「猫」+「時代劇」の斬新な組み合わせで癒し時代劇という新ジャンルで世間を席巻した「猫侍」。その「猫侍」製作チームが再び贈る、新たな痛快癒し活劇、映画『猫忍』が5/20(土)より角川シネマ新宿ほか全国ロードショーとなります。
このたび主演ネコ金時の名演を引き出したペットコーディネーターの北村まゆみさんのオフィシャルインタビューが到着いたしました。

生き別れた父そっくりのデブ猫(金時)に遭遇。霧生忍者の久世陽炎太(大野拓朗)は、忍び込んだ屋敷で、なぜかその猫が、秘伝【変化の術】で化けた父・久世剣山(船越英一郎)だと思い込んでしまった陽炎太。青年は、父を元の姿に戻さんと抜忍となり【秘伝の巻物】を探す旅に出る。だが、抜忍となった陽炎太を追う霧生忍者の魔の手はすぐそこに迫っていた…。

主人公のイケメン忍者・陽炎太を演じるのは、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」など話題作に抜擢され、最も注目される若手演技派俳優の大野拓朗。そして、陽炎太の父親、剣山を演じるのは、名優・船越英一郎。そのほか、佐藤江梨子、藤本泉、渋川清彦、鈴木福、永澤俊矢、柄本明、麿赤兒といった人気・実力を兼ね備えた面々が集結。そして「猫侍」でブレイクした“あなご”と“春馬”に続くネクスト猫スターに抜擢されたのは、「父上」役を演じる貫禄たっぷりのオヤジ猫“金時”!ゆとり系忍者とメタボ猫、そして奇奇怪怪な面々が壮大なロケーションの中、いまだかつてない笑いと癒しの大旋風を巻き起こす!

北村まゆみさん(ZOO動物プロダクション) インタビュー

——食いしん坊ですか。好きな食べ物は何でしょう?
そうですね。葉っぱが好きな草食男子(笑)。他にはウェット類とか、ちゅ~るなども好きですし。食べることがすごく好きみたいです。

——本作でデビューした金時は、どんな経緯で役者になったのか教えてください。
今回、台本を読んでイメージしたのは、(携帯電話のCMの)春馬的な感じのぽっちゃりした日本猫でした。渡辺監督は、“父上”の貫禄がほしいから、そこにこだわりたい、ぽっちゃりは譲れない。」っておっしゃって。それにお応えできる猫を探していました。で、知り合いのオーナーさんに聞いてみましたら、お友達にちょうどいい子がいるということで、金時を紹介していただいたんです。オーナーさんもそのお友達も、保護活動をなさっていて。金時は、もともと保護された猫だったんですよ。
「この子はまったく演技経験がございませんが、どうでしょうか?」と監督に申し上げて、オーディションでは何匹か、うちのタレント猫も見せました。でも監督は一目で金時が気に入られて、もう他は眼中にないっていう感じでしたね。その時、金時はすごく緊張して、ほとんど動かず固まっていたんです。私たちも「大丈夫なの?」って思っていましたが、監督は「まあ、動くよりは動かない子の方がいいんじゃない。どうにかなるよ」っておっしゃって、ほとんど即決でしたね。


——撮影所に行く前には、金時にどんな準備をされたんですか?
撮影が始まる2週間位前から、私たちの手元に預からせていただきました。食欲や排泄が大切なので、その様子を見て体調をチェックしたり、シャンプーしてお手入れしたりして。あとはもう野となれ山となれって、腹をくくった感じです。金時にとっては何もかもが初めての経験ですから、心配事はたくさんありました。金時のオーナーさんにしても、環境の変化やストレスを考えると、長期間他人に委ねるというのはすごく勇気がいることだと思うんですね。でも、ご理解いただけて「うちの子で役に立つなら」って、前向きに金時を預けてくださったんです。

——北村さんから見て、金時はどんな性格の猫ですか?
甘えん坊で、おおらかですね。猫は男の子の方が甘えん坊なんですが、抱っこを許してくれるっていうのは、かなりまれだと思います。猫は普通抱っこが嫌いで、すぐ逃げてしまうんです。ですからお芝居で抱っこさせるのはすごく難しくて、私たちが頭を抱えていることなんですけど。金時は最初から抱っこが大好きで、人見知りせずに甘えてくるんですよ。猫としてはツンデレ度が低いというか、ツンが少なくてほとんどデレデレです。

——ご自身はトレーナーとして、役者猫にどう接するのでしょう。猫の演技指導は?
猫は、演技していると思っていないですよね。でも私はどんな猫にも、あらかじめその日に撮るシーンを説明してあげるんです。「今日は、こういうことがあるからね」って。わかっていようがいまいが、台本の出演部分を読んであげます。金時にも、撮影の前に台本を読み聞かせていました。シーンによって、「とにかく抱っこされていればいいから」っていう時も、「じっとしてた方がいいよ」っていう時もあります。作品の中では何気なく歩いているけれど、歩かせるのにすごく時間がかかっていることもあるんですよ。「お願いだからここまで歩いてちょうだい」って。だからじっとしている子を動かすのは大変ですし、すごく動く子をじっとさせるのも大変です。犬はいろんなバリエーションを学習させやすいんですが、猫の場合はまず最初に得手不得手があって、そこからできることを増やしていくしかないんです。その子の得手不得手を理解してあげることと、あとは撮影という特殊な空気感に慣らすことですね。

——金時の役者としての才能にいつ気づきましたか? それをどう引き出しましたか?
撮影に順応していく過程で垣間見えてくるというか……、この子はこうすればいいんだっていうのは、やっているうちに見えてきましたね。だから絶対ダメなこととか、金時にとって負の要素をできるだけ排除するようにしました。猫は嫌な思いをすると、それがトラウマになりやすいんです。大きな声とか音とか、ざわついた雰囲気を嫌うので、照明や音声の調整をしている時には現場に入れないことを伝えるなどですね。『猫侍』でご一緒したスタッフの皆さんでしたので猫への気配りも理解されていて、すごくやりやすかったです。とにかく金時が、周りの人や環境に安心感を持てるようになるのが第一でした。その上で、「ここでおやつを食べていいよ」って食べ物で誘導したり、監督の指示された動きが金時にとって苦手なら、やりやすいお芝居に変えていただくとか。大野さんには「今ちょっと暴れモードなので、少々お待ち下さい」ってお願いしたりして、本当にたくさん歩み寄っていただきました。

——一般的に、役者に向いている猫のタイプって、ありますか?
おびえが少ないことでしょうか。おびえてしまう子は、ちょっと使いづらいんですよ。でも『猫侍』のあなごは、究極のおびえっ子でした。それよりも、環境に順応できる子といった方がいいかもしれません。撮影に臨む第一の心構えはまず環境に順応させることで、お芝居は後でついてくるものなんですよ。空気感とか、役者さんとの相性が、思わぬ奇跡を招いたりするので。また、人見知りしない子がタレント猫に育てやすいですね。欲をいえば食いしん坊の子の方が、コミュニケーションはとりやすいです。金時はその素質がもともとあったのかな、と思います。

——金時は初演技で名演を披露していますが、撮影現場でどうリラックスさせましたか?
環境作りと、あとはやっぱりスキンシップですね。金時の場合、オーナーさんからも「とにかく抱っこしてあげてください」と言われていまさすがに重すぎて。ペット用のカートを東京から手配して、普段移動する時にはカートに入れて連れて歩きました。あとは、オフの時にくつろげる場所を作ることが、すごく大事です。撮影所では小さいケージに入っていなきゃいけないことも多いんです。金時は狭い場所に慣れていないので、自由に動ける空間を1ヵ月半の撮影の間に作った方がいいかなと思って、日光江戸村さんに猫部屋を1部屋、お借りしました。
——金時は、よく寝る子だとお聞きしました。
そうですね。ある程度動くと、パタッて寝ちゃうんですよ。夕方から夜にかけてはよく寝ていました。猫は夜行性なんですが、どこが夜行性っていう位(笑)。撮影の待ち時間はもちろん、本番の最中でも。特に抱っこされると、気持ちよさそうに寝てました。お散歩も好きな子で、待ち時間にはリードをつけてお散歩して、途中で道草を食べていましたね。

——撮影中のエピソードを教えてください。
ずっと普通の家庭にいた子ですから、感じるものはいろいろあったと思います。なので最初は、すごく心配でした。猫の男の子って、女の子ほどメンタルが強くないんです。オーナーさんとも連絡を取りながら、様子を見ていました。でも金時は順応するのも、私を受け入れてくれるのも早かったと思います。ただ撮影に入って1ヵ月近く経った時に、金時が突然ご飯を食べなくなってしまったんです。なんでだろう? お散歩している時に変な葉っぱを食べたのかしら?とか、あれこれ心配しました。よく考えてみたら、出演する子猫2匹と相部屋になるのが嫌だった、というのが原因だとわかりました。江戸村さんにもう1部屋お願いして2匹を隣に移したら、すぐ元気になったんですよ。「何ハンスト起こしてんの」って。金時、図太いようで意外に繊細なんですね。この時は不安になりましたが、あとは問題なく乗り切りました。よく最後までがんばったと思います。

——大野さんと金時は相性ピッタリですね。現場で見ていてどうでしたか?
やっぱり信頼関係で結ばれていたと思います。大野さんは常に金時に優しくて、好きというより、本当にもう一途に愛して下さって。金時もそれをわかっていましたから。本番で大野さんが、「父上……」と台詞を言った後に、金時が「ニャ〜」って、かぶらずに絶妙のタイミングで応えていますよね。出来上がりを見たら面白くて! これは、やろうとしてもできることじゃないと思います。現場で「よーい、スタート」で撮影が始まったら、もう私の入りようのない世界です。まさに奇跡!大野さんと金時の絆のなせる技だったと思います。金時が喜んでいるシーンは、大野さんもすごく嬉しそうなんですよ。金時をマッサージする猫もみシーンには、癒やされます。大野さん、「どうやったら金時が気持ちよくなりますか?」って相談して下さって。金時のお尻をトントントンって叩くと気持ちよさそうに鳴くシーンも、大野さんは喜んでやってくださいました。逆に金時が怖い思いをするシーンもあります。そんな時は大野さん、「ごめんね〜!金ちゃん」って、手厚くケアして下さいました。大野さんの愛情が、金時に安心感を持たせてくれたんですね。

——撮影を終えて、金時の役者猫としての成長は、どう感じましたか?
最初にオーディションを受けた時の固まっていた金時とは今はもう、うって変わって、どこでも自分らしさを出せるようになってきたと思います。私たちの気持ちも楽になりましたし、これからの成長が楽しみです。今新しい作品に関わっていますが、金時はそこでも自由っぷりを発揮して、皆さんにかわいがられています。

——家庭の猫を可愛く撮影する方法を教えてください。
猫をリラックスさせることでしょうか。金時も撮影所のいろんなところで撮った写真がある中で、やっぱり控室でのびのびしている姿が、自分で撮ってもかわいいなと思うんですよ。猫って、飼い主さんにしか見せない顔をいっぱい持っています。飼い猫が一番かわいい顔をするのはオーナーさんの前だと思うので、リラックスしている時に、ぜひ撮影チャンスをねらってみてください。たとえば不用意にも出した舌をしまい忘れたり、そんな時のかわいらしさを撮っていただければ。何かこう、カメラ目線とかキメキメのポーズでなくても、自然な状態でかわいらしさは十分出てくると思います。

——最後に、これから映画を観る人へ、見どころなどのメッセージをお願いします。
この作品にはアクションと癒やし猫のギャップがふんだんに盛り込まれていて、笑える要素もたくさんあると思います。大野さんと金時の息の合ったお芝居に注目してみてください。大野さんの陽炎太の姿は、とっても素敵ですよ。普段の大野さんもイケメンですが、忍者姿がすごくお似合いで殺陣もかっこいいんです。いろんな目線で見ても面白くて、どなたでも楽しめる作品ですので、ぜひ劇場の足を運んでいただきたいと思います。

■北村まゆみ プロフィール
専門学校を卒業後、オールペットを扱う「ZOO JAPAN」に入社。ペットコーディネーターとして幅広く活躍中。「TVチャンピオン」の第一回犬通選手権で優勝。動物トレーナーとしてのキャリアも豊富で、『ネコナデ』(08年)以降のAMGエンタテインメントの動物シリーズを全て担当している。近年は、大河ドラマ「直虎」、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」、ドラマ「オトナ女子」「相棒」、映画『家族はつらいよ』『三月のライオン』などを手掛ける。また、「マツコの知らない世界」「クロスロード」などテレビ出演もたえず注目を集める。

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