国内外から圧倒的注目を浴びる新鋭 真利子哲也監督の、満を持しての商業映画デビュー作にして衝撃作『ディストラクション・ベイビーズ』。脚本は真利子哲也と共に、『桐島、部活やめるってよ』で日本アカデミー賞優秀賞を受賞し、若い世代の感情の揺らぎを掬いとる名手 喜安浩平が担当。そして、世界が注目する新鋭監督のもとに、柳楽優弥(25)、菅田将暉(22)、小松菜奈(19)、村上虹郎(18)と日本映画界を担い、革命をもたらす若き才能が集結!さらには、池松壮亮(25)、でんでん(65)ら、主役級の存在感を誇るエッジの利いた演技派の競演も決定。若者の狂気と欲望を圧倒的な強度と密度で描き、昨今の日本映画の枠には収まりきらないパワーを持つ本作。

この度、主演の柳楽優弥のオフィシャルインタビューが届きました。

$red Q:オファーを受けて $

まずは僕が主演した舞台『金閣寺』(2014年4月5日〜19日/赤坂ACTシアターにて)を真利子哲也監督が観に来てくれたんです。事前に「インディーズ映画界の巨匠だ」って聞いていたんですけど(笑)、楽屋に現れた監督は穏やかだし、まだ若くて青年っぽい感じで。でも腰を痛めたらしく杖をついていて、スキンヘッド。その初対面の印象が面白すぎて。風貌や佇まいから才能のオーラがにじみ出まくっていましたね。それからしばらくして、脚本をいただきました。当初は『喧嘩のすべて』ってタイトルでした。暴力性の中に強い主張があって、熱い衝動のかたまりを思いっきり投げつけている。めっちゃ気合いの入ったオリジナル脚本で、読んでいて楽しかったです。






Q:主人公・泰良について

脚本だと泰良の台詞はほとんどが「……」で、ト書きも「肩がぶつかる」の次に「血が飛び散る」みたいな(笑)。これはやってみないとわかんないなって。最初の脚本はもうちょっと台詞があったのかな。そこからさらに減ったけど、「それ、いいな」と思いました。言葉で説明されない役。行動としては常に喧嘩ばかりしているし、芝居は表情とかを大事にしなきゃいけないなって。やっていることはムチャクチャだし、結果的に少年犯罪にまで暴走するけど、演じるうえで倫理的なことはあえて意識しないようにしました。意識したら、変に「利口な映画」になりそうな気がして。泰良は生まれついての純粋なアウトロー。それで腹括りました。泰良の行動原理を監督に訊いても「楽しければええけん」ってことしか言わない(笑)。だから「楽しければええけん」でやり通そうって。当初よりユーモアを足そうってことは監督と相談して決めましたね。

Q:撮影中のエピソードについて。

舞台の松山には行ったことがなかったんですけど、強烈な場所ですね。海と山。空気を胸いっぱいに吸い込むだけで、土地の魅力に持っていかれるものがあって。撮影は順撮りだったんで嬉しかったです。事前の用意は体力だけですね。喧嘩シーンは想像以上にハードでしたよ。リハーサルもしっかりやったし、撮影前は相手の役者さんと握手して「よろしくお願いします」って。ケガには充分注意していますけど、毎回、真剣試合みたいにガチでした。
それを真利子監督は、なるだけワンショットで撮ろうとするんですよ。もちろん絶対妥協しないので、数回のテイクでも相当キツい。ちなみに泰良は喧嘩を重ねるたびに戦闘能力が上がっている設定で、喧嘩には同じ型を絶対に二度と使っていないんです。撮影でずっと喧嘩しているから、気持ちはずっと高揚していました。だんだん僕もノリノリになっちゃって、最後のシーンは「髪切っちゃいますか」って自分から言って。三月生まれなんで、ラッキーナンバーにちなんで3ミリのバリカンを当てました(笑)。そうやってモノづくりを「遊べてた」んですね。それは真利子監督が作り上げていた空気が大きい。血まみれの殺伐としたシーンばかりだけど楽しく撮りました(笑)。

Q:若い世代の第一線を走る俳優たちが集まったことについて。

すごいキャストですよね。裕也役の菅田将揮くんとは何度か共演しているんですけど、パート別ばかりで絡みがなかったんですよ。だから実質、今回が初共演(笑)。やっぱり一緒に芝居していて面白かったですね。那奈役の小松菜奈さんは独特な雰囲気で、魅力的だなと感じました。あと「画面映え」する女優さんだなと。将太役の村上虹郎くんは、会う前から周りに「昔の優弥に似てるね」とか結構言われていたんですね。彼も最初に出演した映画でカンヌ映画祭に行ったりしてるから。兄弟役は自分でもしっくりきたし、相性いいのかなって。みんな刺激的で、主演として心強かったし、一緒にできて本当に良かったです。今回はキャスト同士、手探りで、自分たちで役を組み立てていけたのが嬉しかったです。

Q:完成した映画を観て。

最高じゃないですか。音楽も最高。とんでもないパワーがみなぎっている映画だし、「自由」ですよね。映画自体が自由。説明的な映画じゃないし、意味わかんないところもある。でもわかんないところがあったほうが、「少しは考えるだろ、人間」みたいな。
どこか不器用なところも魅力的だし。よく「映画は監督のものだ」とか言うじゃないですか。これは本当に「あっ、そうなんだな」って感じちゃいました。そこに自分が俳優部として参加できたのは誇りです。心から胸を張れる大切な一本になりました。

Q:映画を通して伝えたいこと。

う〜ん、一言でいいですか。「……考えろ!」

新鋭監督×実力派若手俳優による今年1番の衝撃作『ディストラクション・ベイビーズ』にぜひ、ご期待ください。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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