【わたしの映画の創り方(2)〜ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016編〜】

ワクワクドキドキ合コン気分の高校演劇部・男女合同合宿で待ってましたと押し寄せる怪奇現象を【女子篇】【男子篇】として男女それぞれの視点から描く、絶叫系青春ホラーが映画『ドロメ』だ!

監督はゆうばりファンタ2012年のオフシアターコンペティション部門で『先生を流産させる会』で衝撃を与えた内藤亮瑛監督。その後ドラマ『悪霊病棟』や映画『パズル』、公開中の『ライチ☆光クラブ』など容赦ない描写で確実にキャリアを積み重ねてきたが、『ドロメ』では一転。笑いと怖さがバランス良く盛り込まれたチャーミングな作品を作りあげた。

主演は人気と実力を兼ね備えた小関裕太さんと森川葵さん。TVドラマ『ごめんね青春!』で共演した2人が全く違った顔で登場。切ない2人の恋の行方も見所の一つだ。
普段は見えるはずのない女子のホンネ、男子のヒミツが【女子篇】【男子篇】で明らかに!

インタビューは、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016にて3/26・27に行われた映画『ドロメ』【女子篇】【男子篇】のワールドプレミア前に行った。
新しい一面を突出させた内藤監督、小関さん、森川さんの問題発言がどんどん飛び出す演劇部合宿さながらのゆるガチトークをお楽しみあれ!
















●どうした!?内藤監督!!!

——『ドロメ』はオリジナル企画と言うことですが、どのようにして企画が始まったんでしょうか。

内藤「プロデューサーの田坂さんから二本立てのホラーを撮って欲しいって依頼があったんです。『先生を流産させる会』が初めての長編で、攻撃的な題材だったんですけど、その後につくった作品も準備している企画も反社会的なバイオレンス映画ばかりで、一息ついてのんびりした楽しい話をやりたいなぁ、心の休養が欲しいなぁと言う気持ちかあってこういう話になりました」

——元々二本立てで女子篇男子篇とする予定だったのでしょうか。

内藤「最初にあったのは二本立てってことだけですね。予算的には1本撮るのも精一杯って感じだったので、どうしようどうしようって話し合っていくなかで、合宿をする高校生を主人公にして、男子と女子それぞれの視点で描いて二本立てにするってアイディアが生まれました。そこに、映画美学校時代から温めていたアイディアを足しました。ベートーベンの第九が鳴り響くなか、主人公たちが敵をフルボッコにするっていうもので、もともと敵は宇宙人だったんですけど、ホラーキャラクターを敵にしてもやれるなって」

——あのシーンはほんとにワクワクして、ぜひお話を伺いたいと思いました。監督は元々ワイワイやってる場が苦手と仰ってたんですけど、真逆の舞台設定で、その辺は抵抗はなかったんでしょうか。

内藤「過去作を観ている方からはよく、どうしちゃったんですか?って言われます。(一同笑)
でも、同じことをずっと繰り返していくのは、作り手として劣化していくなという危機感もあって。違う領域のものもやっていかないとダメだと思っていたんです。中学や高校では友だちがいなかったんで、そういったルサンチマンが過去作では爆発しているんですけど、大学と映画学校では友だちが出来たんです。今でも仲良くしているし。『先生を流産させる会』を作った同期たちとは毎年旅行へ行ったりして。『ドロメ』では同期とダベっている感じを芝居でやろうって思ったんです。『ライチ☆光クラブ』はカチッとした世界観を作ったんですけど、もっとユルくても楽しい映画はつくれるだろうって考えもあって。『ライチ』を12月に撮って、年明けて3月にこれが撮影だったんで、自分的に精神衛生上必要だったって面もありますね」

●男子篇・女子篇、二本観るからよく分かる!

——現場もかなり楽しい感じだったようですね。小関さん、森川さんはそれぞれオファーをうけられて男子篇女子篇とあることの感想はいかがですか?

小関「まずお話しを聞いた時から面白いなと思いました。2本あると言うことが。しかも完成してみてからわかることが結構たくさんありました」

——女子篇でこのシーンでこちらの方向を見てるけど、その時は意味が分からなくて、後で男子篇観たら答えがあったって感じでしたね。

小関「台本見てわかることと映像化されたものを見てわかることが意外と違っていたりして、両方見るからわかることがある面白さがある、両方観ると面白いものが増えるというのをすごく感じて新しくて面白いなと思いました」

——最初女子篇を見て男子篇を見たんですけど、女子篇を見た時に見える小関さんの性格が後で男子を見たときに全然違って見えて面白かったですね。森川さんはいかがでしたでしょうか?

森川「私はまず台本を開いてなんじゃこりゃと一同爆笑。やたら分厚いのに終わってんじゃん。あれどういうことだとなりました。監督が内藤さんだって聞いてこの前オーディションで会った方だって」(笑)

——オーディションで印象に残ることが?

内藤「オーディションで歌ってもらったんですけど、「やだなー」「下手なんですー」「歌いたくない」って苦手アピールしてたね(笑)。」

森川「ああ、あの時のあの人だー….って感じでしたね(笑)」

●メンヘラ女優誕生!?

——お二人のどういったところに惹かれてオファーされたんでしょうか。

内藤「小関さんは女の子みたいに可愛いって思いましたね、第一印象は。で、シュッとしているんだけど、ちょっと大丈夫?って心配したくなるような危うさを感じたんですね。男子篇の主人公は自分の弱さゆえに、大切な人を傷つけてしまったってトラウマを引きずっている役柄なので、小関さんがいいな、と。
森川さんはショートカットが似合うなーってことと、メンヘラっぽい雰囲気があるなーってことを以前から思っていて。あ。実際にメンヘラかどうかはわかりませんよ(笑)」

森川「よく言われます(笑)」

内藤「本人が現場で、私メンヘラの役が多いけど嫌なんですって(笑)」(小関さん大爆笑)

森川「嫌じゃないんですけど(笑)。だってもうメンヘラに見えるって言われるんですもん。だから定着しちゃうみたいで(笑)」

内藤「メンヘラ女優(笑)。過呼吸女優(笑)」

——ご本人は実際はどういった性格ですか?

森川「いや、でも割とメンヘラだと思います」(一同大爆笑)

内藤「じゃあ仕方ない(笑)」

——森川さんを脚本を読まれて小春はどういった人間だと思いましたか。

森川「自分にすごい似てるなと思いました。(一同爆笑)
1人の友達に依存しちゃう感じとか。この人さえいれば他の友達なんかいらないと思うタイプなんで、ああ一緒だなあって思ってました」

内藤「そういう女性っているなって思って。恋愛は苦手だから、同性の友達がいればいいやってスタンスで、でもその友だちに彼氏ができたりしたときに、動揺しちゃって超パニック、みたいな。男子は親しい友だちとも一定の距離感があるように思うんです。それぞれ恋愛してるし秘密もあったりして、精神的に依存するって事はなかなかないな、と」

小関「確かに」

——女性と男性の違いと言うところで脚本書くときに苦労されましたか?

内藤「そうですね。逆に女子篇男子篇とはっきり分かれていてので、女子と男子のリアクションの違いは常に意識しました。『先生を流産させる会』の松久さんと共同で書いてるんですけど。男友達のあり方・女友達のあり方、恋愛に悩んでいるときの対応の仕方、書きながら男子ってこういうところあるよね。女子の場合はこうかな?という感じで、話し合って書き進めました。結果、女子がわりかし真面目に悩んでいるのに対して、男子はアホみたいに騒いでいるだけになりました(笑)」

——女子篇のほうは怪奇現象にたくさん会うので、ちょっとトーンがシリアスな感じになっていますが、男子編はひたすら脳天気でお尻の映像を見てたりとか。その差が面白いですね。

内藤「お尻の映像を拡大するところ、あれは岡山さんのアドリブです(笑)」

小関「そうだったんですね。すごい面白い方なんですよ(笑)。常に話している状態で。窪塚洋介さんが好きでずっと『ピンポン』とかいろんな作品のセリフを真似してましたね」

●撮影で一番大変だったのはドロメの異臭!?

撮影は二週間弱の静岡県にある廃校で行われたという。

——泥をかぶったりといったシーンもありますが、撮影で大変だったのは?

森川「泥の異臭ですね。甘いんだけど、危ない匂いがする(笑)何かに例えられない。この世にこの匂いはここにしかないんじゃないかって感じがしました」

内藤「泥は役者が口に含むし、顔にかけられるので、食べて大丈夫なものじゃないといけない。いろいろ試したんですけど、胡麻状のあんこをちょっと溶かして使いました。撮影場所が廃校なんで、そこのカビの臭いとあんこの甘い匂いが絶妙に混じりあって異臭になったんじゃないかな。べとべとするしね」

——恐怖の演技はいかがでしたか?この作品の前にもホラー系の作品に出られてましたが。

森川「前の時はどちらかと言うと目に見えてと言うことではなくて、心がどんどんどんどん蝕まれていくという感じだったんで、それとはちょっと違うタイプかなぁと。….何の質問でしたっけ?」(一同爆笑)

内藤「廊下でドロメを見てぎゃーってところ、実際に起きたら、さっさと逃げていくと思うんです。でもホラー映画の文法的に、アタックまで引き延ばす間が大事で、アタックの瞬間は怖がった顔をしっかりカメラに見せてから逃げて欲しい。しかもそれを段取り的じゃなく、自然にやらなきゃいけないので、結構難しかったんじゃないかと思います」

森川「難しかったです。顔が残せなくて」

内藤「顔だけ残すと今度は感情がついていかなくなるんで、ある程度ホラーの文法に沿ってやってもらいつつ、感情も大事にしてもらいました」

——ホラー要素以外は青春映画として楽しかったんですけど、お芝居の練習の最中に小関さんをじっと見るといったシーンなど、演じてどうでしたか?

森川「フフフ!あのシーンは何度もやりましたよね。なかなかうまくいかなくて、何度もやらせてもらった記憶があります。もう全然ダメだ!と思って。見てて泣くところが全然出来なくて。何回も何回も」

内藤「一回しゃがみ込んでたよね。もう私無理、って(笑)」

——役に入り込めない感じでしたか?

森川「ダメでした」

小関「でもその後すごかったよね!わっと泣いて」

内藤「でも一番泣いた最後のテイクは使ってないんだよね」(騒然となって爆笑する森川さんと小関さん)

内藤「台本の流れ上、泣かないといけないから“泣く”って書くんですけど、泣く行為自体を意識しすぎちゃうと感情の繊細さがこぼれ落ちてしまうことがあるんです。泣こうとして泣いているだけになっちゃう。一回いいなっていう芝居があってオッケーかなと思ったんですけど、そんなに涙が出てなかったのでちょっと粘ってみようと思って、ボロボロ泣くまでやってもらったんですけど、編集で冷静になってみたらやっぱりこっちのほうがよかったなって、涙の量より感情の繊細さが大事だろうなって………ゴメンね」(一同爆笑)

森川「いやいやいや(笑)。監督がいいって言ってくれたなら」

内藤「でも現場的には1回あそこまで行かないとお互いしっくりこないよね(笑)」

●男性でリップクリームを使うひとが気になる!

——小関さんはいかがでしたか?

小関「お芝居を演技すると言うのは面白かったですね」

森川「難しかったです」

小関「監督からの指示はもっとリアルにと言う事だったんですけど、学生として部活としてやっているのと、本当に上手い方なのか。僕自身もお芝居しているし。監督から指示をもらって調整していった感じですね。あれは初挑戦で面白かったです。
お芝居を始めた小学生や中学生のころは、例えば手に意識がいかなくてブランとなったりしたのを注意されたりしたんですけど、それをあえてやってみたりとか。楽しかったですね」

——そうお聞きするともう一度そのシーンを見て確かめてみたくなりますね。森川さんはいかがでしたでしょうか。

森川「演技を演技する。演技が出来ない役だったので」

——先生に選ばれる役でもありました。先生のキャラクターもいつもリップクリームを塗っていたりとか嫌な感じが面白かったです。

内藤「リップクリームを塗る男が気になっていたもので…」

——そういう方が実際周りに?

内藤「プロデューサーの田坂さんが」(一同爆笑)

——嫌な感じと言ってしまいました(笑)

(ここでリップクリームを取り出す田坂さんに一同爆笑となる)

内藤「田坂さん発信というわけではないんですけど、以前から気になっていたんですよね。男のくせに、どんだけ唇の潤いを気にしてんだよ、と」

森川「確かに男性であんまり塗っていると嫌かも。(一同爆笑)
ガサガサなのも嫌で、塗っているとそういうところにもちゃんと気を遣える人なんだって思うけど、あんまり塗りすぎるのは嫌ですね」

小関「缶は持ってないですけど普通のは(笑)。すぐにカサカサになっちゃうんですよね」

——脚本を作っていくにあたって缶のリップクリームという小物もそうなんですけど、細かい設定を付け加えることによって面白いドラマになっていってると思います。監督はもともと『牛乳王子』とか『先生を流産させる会』から商業映画を手掛けるようになって、どうすれば観客に受け入れられるのかって言うことを常に考えながらステップアップされてきたかと思うんですけども、この作品を作るにあたって特に意識されたことはありますか?

内藤「自分の中では『ライチ』の後に『ドロメ』は撮ったということが非常に大きくて。『ライチ』はフィクション性の高い世界観をつくりこんで、役者の芝居もフィクション性の高いものだったんですけど、ダラダラしゃべっているだけの人を見るのも面白いよなぁーって思って。『ドロメ』は男子たち女子たちがどうでもいいダベリをしたり、同性同士でいちゃいちゃしたり、そうゆうのをのんびりと眺めて楽しもう、と。幽霊やモンスターが登場しても、絶望的な状況にはならず、むしろトラブルを楽しんでいるような感じ。校舎に犬が入ってきたら大騒ぎになるじゃないですか。幽霊もドロメも、その犬くらいのつもりです。(一同爆笑)
黒髪の女幽霊で怖がらせるJホラーはやり尽されているし。怖い存在を追及するんじゃなくて、怖い体験をしてワーキャー騒いでいる人たちの可愛らしさを追求しようって。今回挑戦したって感じですかね。
でも、クライマックスに物凄く暴力的な時間が現れちゃうんですよね。キャスト・スタッフには最後にスカッとする映画にしたいって話したんですけど、スカッとするを飛び越えて、可哀想っていう(笑)可哀相過ぎて、笑えるって次元には到達しているんで、それはそれで面白いんじゃないかと。今までで1番バイオレントかもしれないですね。逆に。(笑)

●映画『ドロメ』は笑顔が溢れる作品です!

——ドロメの動きはコマ撮りっぽい動きというか、昔のホラーのような面白さがありましたが、何か特殊なことはしてますか?

内藤「演じられた方が暗黒舞踏というのをやっていて、「死」や「暗闇」等ネガティブな題材をモチーフにして踊っているんです。クリエイティブに表現できる方なので、「ドロメは様々な人の怨念が集まった存在なんです」とイメージを伝えたら、ああいった動きをしてくれました。カクンカクンとなるのは中田秀夫監督『リング』、清水崇監督『呪怨』の伝統を引き継ぎつつやってる感じですね」

——ドロメに追いかけられていかがでしたか?

小関「実際に目の前にいたのでリアルでしたね。人間じゃない人がいるって。ジャンルでいうとあれはコンテンポラリーなんですか?」

内藤「そうだね。コンテンポラリー」

小関「それがまた面白かったです」

森川「怖い方を話したんで、ご飯の時間になるとご飯を持って部屋に入っていくんですよ。それを見ていて心がほっこりしました(笑)」

小関「ドロメもご飯食べるんだと(笑)」

内藤「妖怪ダンスも踊ったり(笑)」

——現場の雰囲気が伝わってきますね。
お二人は『ごめんね青春!』を拝見していたので、全く違う顔が拝見できて面白かったです。

小関「監督は最初知らなかったんですよね」

内藤「脚本書いてる時に『ごめんね青春!』を知って、ヤバい!設定も想定しているキャストもカブってるじゃんって(笑)」

——それでは最後に観客の皆様に一言お願いします。

森川「ホラーコメディです!笑いの要素満載で見てて怖いんですけど、凄く楽しいです。ぜひ笑いに来てください」

小関「二篇最後まで見ることによって怖い、面白い以外に残る感情があるので楽しみにして欲しいです。二篇という面白さをぜひ楽しんで欲しいなと思います」

内藤「ホラーですけど、笑顔が溢れている作品です。怖いというより可愛い作品なので、観たら笑顔になれます」

執筆者

デューイ松田

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■映画『ドロメ』公式サイト

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