『サムライフ』森谷雄監督インタビュー
『サムライフ』は、長野県上田市出身の元高等学校教員・長岡秀貴氏が、地元上田市で認定NPO法人「侍学園スクオーラ・今人(いまじん)」を設立するまでの経緯を記した同名原作をもとに、元高校教師が、理想とする教育現場を実現させるために元教え子らと共に奮闘する姿を描く感動の物語です。
主役のナガオカ役には、若手俳優の中でも確かな演技力が高く評価され、ロングランヒット中の『永遠の0』のほか、今年も『私の男』『リトル・フォレスト』『マンガ肉と僕』『太陽の坐る場所』と出演作が相次いでいる三浦貴大。
ナガオカを支える若者たちには松岡茉優(ドラマ「あまちゃん」)、加治将樹(ドラマ「イタズラなKiss〜Love in TOKYO」)、柾木玲弥(ドラマ「みんな!エスパーだよ!」)、山本涼介(映画「好きっていいなよ。」)といった今後の活躍が期待される若手俳優陣が結集し、さらに大杉漣、渡辺大、きたろう、マキタスポーツといった実力と個性を兼ね備えた面々が脇を固めます。
本作の森谷雄監督にインタビュー
Q:何でも本屋で今回の『サムライフ』の原作と出会って、すぐに買って帰ったそうですね?
僕は読書のスピードが早い方ではないのですが、「サムライフ」だけは一気読みしてしまって、明け方までずっと読んでしまいました。しかもそのまま感動した状態で、原作者の長岡(秀貴)先生にメールしてしまって。自費出版だったので、長岡先生のメールアドレスが載ってたんですよ(笑)。いいのかな? と思いながら感想を書いているうちにすごい長文になってしまって、明け方に興奮したまま送って、そのまま寝たんです。昼前くらいに起きたら、長岡先生から僕の長文をはるかに超える長文でメールが戻って来ていて、この人、すごいなあと(笑)。で、普通に人間に興味が沸いて、毎週東京には出ていらっしゃるということだったので、その一週間後にお会いしました。
Q:行動が素早いですね(笑)。しかし、クランクインまでに7年もかかるという難産でした。
映画化って、原作が何部売れているか? とか問われることがありますよね。映画って、別に生活には要らないものなんですよ。ある人たちからすると、作らなくてもいいじゃんって、言われるものなんです。俺が映画を作りたいと言っても、じゃあなんで作るの? って、毎回問われる。じゃ、原作本が何万部売れていて、これを観る人が何人いそうだとか、そんなの、作ってみなきゃわからないのに、そういう世の中になった。というか、ずっとそうです。ある意味ビジネスなので、しょうがない部分もあるんですけ、伝えたいことがあったら、映画にしたいっていう思いも自然で。観てもらいたいと思うし、それが仕事でもあるので。
Q:元が実話の場合、エンターテインメント性を維持しながら物語化をする際の注意点は?
ヘンな話5分で、この話がどういう話かわからせることから始まり、そこから25分後くらいに転換期が一回あって、起きたことに対して主人公や誰かがああでもないこうでもないとやっているうちに、2番目の転換期が来る。その途中で最初の目的だった大前提が覆ることが起きて、もう無理かも! の状況になるけれども、それでもなんとか打破して、主人公がなんとか頑張って、自分で悩み、周りに影響されたりもしながら、最終的にクライマックスを迎えて、最初の命題を実現させてスコーンと終わる。これが僕のなかでのシナリオメイクの王道なので、それも守りながら事実を入れていくことは、なかなかのチャレンジでした。まあ、やりましたけど(笑)。
Q:またメイン写真になっている別所線がある上田ですが、ここは映画の街として有名です。
上田って街もすごいんですよ。実は映画の街で、年間ですごい数の映画が撮影されていて、いろいろな映画の舞台になっている。けれどもそれは、どこそこの設定を上田で撮っているという意味で、この映画が上田で起きたことを上田で撮った初めての作品だったんですね。だから皆さんすごく応援していただいて、多くの理解者の方々も集まっていただいた。上田の別所線の写真も上田のシンボルなので、メインに使いました。
Q:映画、感動しました。ここまでの7年間、くじけそうになったことなどはありましたか?
いや、ほぼ、くじけてましたよ(笑)。長岡先生にはずっと言い続けていたことがあって、長岡先生たちの活動は決して派手ではない、努力のたまもので、支援者さんたちの理解などで成り立っているけれど、そういう活動とエンターテインメントの映画が一緒になることで、より深く広く理解してもらえると思う、と。そういう可能性があることに、すごく期待もされていました。で、映画ってタイミングなんですよと。しかるべきタイミングが来たら映画になるので、信じていてくださいと。結果、侍学園が誕生した10周年の記念の年にクランクインできた。まさしくタイミングですよね。この時期だった。あきらめなくてよかったという話もして。
『サムライフ』
発売中
【ブルーレイ】⇒¥5,000+税
【DVD】⇒¥4,000+税
【特典映像】(予定)
・:未公開シーン ・:メイキング ・:舞台挨拶
【封入特典】(予定)
ブックレット
発売元:アットムービー 販売元:ポニーキャニオン
執筆者
Yasuhiro Togawa