マッツ・ミケルセンオフィシャルインタビューと合わせて、ウェスタンには欠かせない “乗馬”にフィーチャーした特別映像が解禁に。ミケルセンがもともと得意だと語るように馬との呼吸も完璧に見事に乗りこなす様子のほか、馬が駆け抜けて巻き起こる砂埃、激しい雨の中でのアクションなど、本作の臨場感が伝わる映像になっている。

$blue <インタビュー特別映像も合わせてお読みください。> $
ページ最下部にリンクあります。

$red ーーーーまずは役柄について聞きますが、過去のウェスタンにいなかったタイプですね。 $

ジョンは、兄と2人でアメリカに移住してきたデンマーク人の元兵士なんだ。逃亡した訳ではないけど、従軍して酷い目に合っている。完成した映画では深く触れていないけどね。




ーーーー『悪党に粛清を』はウェスタンですが、細かな心理描写が見られます。一般的なウェスタンではあまり心理は描かれませんが、この映画は違っていますね。

それこそがクリスチャン・レヴリング監督の狙いで、彼は映画に普通の人間を登場させた。彼はあまりウェスタンのヒーローらしくなく、普通の人間なんだ。そんな普通の男が追いつめられた時にどのような行動を起こすか。この映画は、ヒーローの活躍ではなく、誰にでも起こりうる事態を描いている。

ーーーー脚本のアナス・トマス・イェンセンは知った仲でしょうが、監督と組むのは初めてですね。この役を受けた理由は?

デンマーク人監督が作るウェスタンと聞いて、僕も最初は驚いたんだ。でも実は、1860年から1870年代の欧州移民が今日のアメリカの土台を築いた。デンマーク人も含めてね。だからウェスタンは欧州とも縁がある。そう納得したので出演を決めた。監督も脚本家も魅力的だったし馬にも乗れるという理由もあったよ。

ーーーーウェスタンの主役らしくない男をあなたは演じました。一方であなたはジョン・フォード作品やイーストウッド作品を見てきているでしょう。こういった作品からの影響はありますか?

避けるのは難しい。『悪党に粛清を』は、監督のウェスタンに対するオマージュだからね。でも、僕は監督と違い幼い頃に憧れはしなかった。ウェスタンも見たけど、一番はブルース・リーだ。カンフー映画はウェスタンとよく似ているけどね。オマージュはすべて監督のアイデアで、5歳の頃からウェスタンが好きだった彼の愛の証しなんだ。それをぶち壊したら申し訳ないよ。
でも、映画作りとは監督の夢の具現化だからね。普段と同じく監督の意図を理解し表現するだけよ。普段の仕事のプレッシャーと何も変わらない。

ーーーー本作にはいくつものオマージュがあるとか。監督から詳しい説明は?

しばらくの間はね。でも僕の反応が薄いので次第になくなっていったよ。「あの教会の釘はもともと有名な映画の…」と説明が始まるんだけど、僕はそれを観ていなくて「悪いが見てない」と。ジェフリー・ディーン・モーガンのほうがいい聞き手だったろうね(笑)

ーーーーあなたの敵はそのジェフリー演じるデラルーでしたね。邪悪な敵と対決したわけですが演じてみた感想は?

すごく楽しめた。英語圏の作品で演じるときは僕がいつも悪役だからね。でも、今回は逆で、アメリカ人のジェフリーが悪役だ。デラルーは悪人であると同時に、人間的なキャラクターでもあるんだ。彼の行動は彼なりの理屈に基づいている。だから観客は彼を人間とみなせる。見事なアプローチだと思う。

ーーーー好きなシーンを教えてください。

お気に入りのシーンは2つあるんだ。1つ目は駅で家族と再会するシーン.。家族と7年越しの再開を果たすとても幸せな瞬間だからね。そのシーンが一番のお気に入りなんだ。それから、悪党2人が馬車に乗ってくるシーンもだよ。

ーーーー『悪党に粛清を』のテーマは何だと思いますか?

ウェスタンだから復讐劇であるとは言えるね。復讐劇といえばウェスタンに限らずシェイクスピアや、それこそ黒澤明監督の作品だったり。なかでもこの作品は復讐を果たすことで、人間性は失われるのか、どの時点で人は人間性を失うのか。
世界中で様々な戦争が起こっている中で、現代人だれしもが、日々自問自答しているテーマだと思うよ。

ーーーー日本のファンへメッセージをお願いします。

日本のファンの皆さんがいなければ、僕の出演作が日本で上映されることもない。『偽りなき者』や「ハンニバル」シリーズもね。だから、この場を借りてファンの皆さんに御礼を言いたい。いつも応援してくれてありがとう。

マッツ・ミケルセン「新宿武蔵野館ロビー用コメント 撮影の裏側・・・」新宿武蔵野館ロビーにて上映決定!
期間:6月27日(土)〜7月10日(金)の2週間限定
場所:新宿武蔵野館ロビー

現在新宿武蔵野館ロビーで放映中のマッツ・ミケルセンによる日本語メッセージ。来日時、いくつか撮影した他の日本語メッセージは完璧で1発OKだったが、メイン館である“新宿武蔵野館”という実際の映画館名を口にするのは相当難しかったようで、大苦戦の末3テイク目でようやくOKとなった。その映像には、身を乗り出して何度も通訳に自然な発音を聞き返したり、繰り返し練習する姿、言い間違えて苦笑いする様子まで惜しみなく収録。抑制された演技で世界中を魅了するカンヌ国際映画祭主演男優賞俳優のこれ以上ない素顔を垣間見ることができるのは、マッツファンの“聖地”新宿武蔵野館だけ!

執筆者

Yasuhiro Togawa

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