2/21(木)ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の初日を飾る謎の“バカ映画とコソト”のイベント『鉄ドンQ inゆうばり』とは!?星野久雄監督・寒河江弘監督・鈴木啓三氏インタビュー
2/21(木)にオープニングを迎えるゆうばり国際ファンタスティック映画祭。オープニング作品はタランティーノの『ジャンゴ 繋がせざるもの』。タランティーノに真っ向勝負を挑む?のが『鉄ドンQ inゆうばり』!
20年前、『鉄ドン』は兵庫県の伊丹映画祭の特撮自主映画コンペであるグリーンリボン賞の参加メンバーが中心となった短編映画とコソト(コントのようなもの)のイベントとして誕生。2年間に7回開催された人気イベントに成長したが、阪神・淡路大震災やメンバーの東京進出を期に自然消滅した。18年後の2012年8月18日、旧常連メンバー、新メンバーの参戦で『鉄ドン ハイパー(仮)』として奇跡の復活。
翌年2013年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭の初日を飾るイベントとして登場することになった。
参戦を表明したのは、旧常連メンバーは『ウルトラマンサーガ』のおかひでき監督、『デッド寿司』VFXスーパーバイザー鹿角剛監督、第一回ゆうばりファンタ・オフシアター審査員長賞の今井聡監督、第一回ゆうばりファンタ・オフシアターグランプリの竹下心也監督、『TVチャンピオン悪役怪獣怪人選手権』準優勝の畑山敦紀監督、『レイプゾンビ』の友松直之監督、『手づくりのスターウォーズ』の高橋弘こと伊丹ローズ監督、鉄ドン立ち上げメンバーの柳原寿之監督、『劇画家殺し!』の清本一毅監督、フィギュア造形師の寒河江弘監督、
鉄ドンのベクトルを決定した青井達也監督、バカ映画のゴッドファーザー・なにわ天閣監督、「えび天」金監督・岩崎友彦監督、元祖ダンボーラー・時任賢三監督、脊髄反射バカ映画製造機・啓乕宏之監督、ハナウタ唄い・せろりあん監督、そして鉄ドンの仕掛け人である京阪神鉄ドン社代表・星野久雄監督!
新メンバーは、『ネオウルトラQ』の田口清隆監督、『へんげ』の大畑創監督、『ミレニアム・バンブー 少女陰陽師 妖刀暗鬼伝』の杉下淳生監督、『ENCOUNTERS』『NINJA THEORY』の飯塚貴士監督、 ゆうばりファンタ・コンペ作品『冬のアルパカ』スタッフ&出演の田村専一監督、YouTube日本の10組に選出されたsoezimax監督、「歩く待ち合わせ場所」こと中沢健監督と中沢たけし軍団理事長・色部貴明監督、阿倍野ヒューマンドキュメンタリー映画祭入賞のariyasu(ありやす)監督、タッグで参加の『キトキト!』助監督・阪本武仁氏と「キトキト!」吉田康弘監督とドキュメンタリー「Sadistic Mica Band」(監修:井筒和幸)滝本憲吾監督、 ニコ動140万view突破の井村剛監督、カナダから参戦のヒーローおたくBueno監督、NHKデジスタ・ティーンズ出身の前畠慎悟監督、京大シネマ研究会出身の佃光監督!
ライブには、ゆうばり名物『おばけのマリコローズ』『煩能力』小林でび監督、『フィガロの告白』の天野千尋監督、アクロバティックパフォーマー華千夜こと鈴木景子さん、『鉄ドン』のイラストから飛び出したなにわの鬼兄弟ほか、参加者随時オンステージの模様。
今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭、初日から参加される方は、この無駄に豪華極まりないイベント、ゆうばり風味の『鉄ドンQ inゆうばり』をお楽しみあれ!
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『鉄ドン』皆勤参加の今井聡監督から熱いコメント到着!
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「昔からの映画好き仲間が、それぞれの成長や歴史を築いてそれなりの地位になっていても、変わらずアホな事に全力で取り組んで驚かしあえる場…それは観客を楽しませる事は勿論、参加している他の創り手も楽しませ驚かせ、何より自分たちが楽しんで作品を創っている、という、自分の創作人生においても、核となる部分を形成している物のひとつと言えます。
昨今はネットで動画が手軽に観られる時代ですが、やはり一箇所に集まってアホなライブパフォーマンスや映像作品を観る一体感は、PCやスマホで動画を観るのとは違う感覚・体験を得る事でしょう。アナログかもしれないですが、私はそんな鉄ドンが大好きで有り、つづく限り、可能な限り参加し続けたいと思います」
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1992年の『鉄ドン』創世記から2012年の『鉄ドン ハイパー(仮)』について、立ち上げメンバーの京阪神鉄ドン社代表・星野久雄監督、造形師の寒河江弘氏、おかひでき監督が当時、伊丹市市制施行50周年記念映画『ひとけたの夏』(1990)を手掛けた際の音楽・音響を担当し、『鉄ドン ハイパー(仮)』の会場となったLiveBar D.Ⅲ(ディースリー)のオーナー鈴木啓三氏にお話を伺った。
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■伊丹映画祭のグリーンリボン賞に集まった
“アホな映画でみんなを笑わしたろー”精神の
監督たちが『鉄ドン』を生んだ
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遡ること20年前。兵庫県伊丹市で行われていた伊丹映画祭が自主映画をバックアップしており、特撮自主映画のコンテスト・グリーンリボン賞を開催していた。伊丹映画祭のステイタスが上がり、集まる作品の傾向が次第にバカ映画に傾いていった結果、もっと勢いのあることをやろうと、常連の監督主導で生まれたのが『激突!炎のバトル’92』。短編をトーナメント形式で上映して面白い作品が勝ち残っていくというイベント。落ちて上映されない作品の受け皿として用意されたのが『鉄ドン』だったが、これが人気を博してどんどん集客が増えていったという。7回開催したあと、阪神・淡路大震災を期に伊丹映画祭も開催が不可能に。メインの監督たちが東京で仕事をするようになったこともあり、『鉄ドン』は自然消滅した。
寒河江:当時、伊丹市が劇場都市宣言をしていて伊丹映画祭を開催していました。自主映画に結構な予算を出してくれていて、グリーンリボン賞が設けてあったんですね。それで自主映画のアホな人達が集まるようになったんです。『ウルトラマンサーガ』のおかひできさんと川北組の特撮班の今井聡さんが撮った2本の映画があって、僕は今井チームのスタッフです。
星野:その時、僕は主に制作進行をやってました。
寒河江:アホな映画でみんなを笑わしたろーという土壌があって、それが『激突!炎のバトル’92』に繋がりました。短編映画のトーナメントバトルなんですけど、トーナメントで落ちて上映されない作品の受け皿として作ったのが『鉄ドン』。
『炎のバトル』では、おかさん、今井さん、友松さんは自主映画界でみんな知ってるスター監督なんですけど、それ以外は無名なので、僕、星野くん、河野浩二さん、柳原寿之さんで“萩本鉄一”ってキャラクターを作って出たんですよ。紙袋をエレファントマンみたいに被ってブリーフ一丁で「ワッハッハ!」みたいなキャラ。
——幕間がコントになったのは何故ですか?
寒河江:当時、作品は8ミリフィルムで撮っているから、上映するより架け替えの時間の方が長かったんです。その幕間を埋めるために、お笑いのコントをやろうということになって。“萩本鉄一”から始まって“コソト55号”。短いコントのようなものですが、これが思いの外ウケたんですよ。当時星野くんはよしもとの学校に行っていて、芸人の知り合いが出てくれたり。その時もVTRに移行しつつあったんですけど、暗転してライブというスタイルは変えずに来た。『鉄ドン ハイパー(仮)』では、もう8ミリフィルムはないけど、映画と映画の間はコントという『鉄ドン』スタイルを続けています。
——面白いけど、何故コントなのか不思議だったんです。
星野:今回だけ見ると全く意味が分からないですよね(笑)
——当時の自主映画の勢いはどういった感じだったんですか。
寒河江:当時、東京で『三宅裕司のいかすバンド天国』、通称『イカ天』が終わって『エビ天』って始まったんですよ。『三宅裕司のえびぞり巨匠天国』これは“映像・美術・造形・理念”の略。つまり短編映画のイカ天みたいなものです。東京でも映画監督を出そうと盛り上がっていた時があったんですね。
符合して、大阪でも竹下心也さんが独りで水戸黄門やった『竹下パフォーマンス/秘芸水戸黄門』で、今やったら考えられへんゆうばりオフシアターグランプリ。今は“劇場映画かいな”って作品ばかりですから。おかさん曰く「入江悠監督みたいな作品が出てくるのは素晴らしいことなんだよ!でも自主映画の面白さはそれだけじゃないんだよ!」って言ったのにけーへん(笑)。三行ごとにおかさんが悪いって書いといてください(笑)。
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■おかひでき版“スタンド・バイ・ミー”『ひとけたの夏』の思い出
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——鈴木さんはどういった経緯でおかさんの映画の音楽・音響を手掛けたんでしょうか。
鈴木:当時、アマチュアで音楽活動していて、「ひとけたの夏」の音楽を一緒にやったおおやさとると二人で毎週土曜日にナビオ阪急(現在はヘップナビオ)の前で路上ライブをやっていたんです。オールナイトの映画上映が終わってエレベーターで降りてきた人の中に金髪の男がいて、ずーっとこっちを見ている。近寄ってきて「実は今度映画作るんですけど音楽を作ってください」って言われて、その金髪男がおかひでき。思わず引き受けたのがきっかけですね。いわゆるナンパです(笑)。
——おかさんは鈴木さんの音楽のどういうところが気に入ったんですか。
鈴木:気に入ったというより行き詰ってたんだと思います(笑)。伊丹市市制施行50周年記念映画の「ひとけたの夏」を撮ろうと企画が動いていたんですね。でも音楽は何も決まって無くて。大阪芸大関係か映画製作サークルの人で進めていたところに全く違う畑から僕が参加して。僕が来るまで音関係が全然ダメで、みんな映画を撮ることだけを楽しんでいたから、音で作品をダメにしているのがもったいないと思ってましたね。見るに見かねて「音どうするの?」って聞いたら「何も考えてない」って(笑)。
寒河江:当時は何も考えてなかったですね。
鈴木:僕は元々本業でレコーディングエンジニアの仕事をしていたのでつい「やりますよ」って言ったが最後、抜けられなくなって(笑)。初期の鉄ドンの音も結構僕がやりましたよ。僕が入ったくらいから、みんなも音に気を使い始めて。映像に効果音をつけたり、バカ映画を作っている間にどんどんクオリティは上がって行きましたね。
おかさんが東京に行ってからも、仕事は一緒にしてないけど交流はありました。鹿角ちゃんも交えてご飯食べに行ったり、『ウルトラマンサーガ』のキャンペーンで関西に戻って来た時は、毎日僕の家から会場に通ったり。腐れ縁です(笑)
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■各方面のプロになった監督たちと新参戦者の参加で
18年ぶりの復活イベントは成功したが、
おかひでき監督は来なかった!(笑)
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——18年ぶりに『鉄ドン ハイパー(仮)』として復活したのは何故ですか?
星野:『ウルトラマンサーガ』のキャンペーンでおか監督が関西へ来て、22年前の伊丹の同窓会をやろうとなって旧メンバーで集まったら「そう言えば鉄ドンってあったよな」って話になって。「お前やれ!」の一言で決まりました。おかさんは師匠なので(笑)。
寒河江:僕はやるって話を決定事項として聞いたんだけど、本人来てやがらへん(笑)。
昔のメンバーは、お笑い、映画の制作進行、音楽・音響と、映画監督だけでなくそれそれ特化したものがある人が集まった集団だったんです。その時はプロでも目立った活躍はしていなかった人が、今はおかさんのウルトラマン監督を筆頭に、映画監督、 CGのスーパーバイザー、ミュージシャン、作家、漫画家、演芸作家、役者、鈴木さんもこんな立派なライブハウスやレコーディングスタジオのオーナーになったりと、プロになってバリバリやってる人からしばらく自主映画をやってない人まで参加してくれました。このおっちゃんたちのアホな集いに20代前半の若い人達が係ってくれたのが嬉しかったですね。
関東ではおかさんたちが集まるらしいとツイッターで知った飯塚監督、田口監督、WAHAHA本舗の矢原可奈子さんが撮りおろしで新作を用意してくれて、このために新幹線代払ってこんなアホなイベントに来てくれました。
星野:井筒組の常連の助監督たちも組んで来てくれたし。
鈴木:なのにおかひできは来なかった(笑)。
星野:5ヶ月前に決まってる日取りなんで、しかも決めたのはおかさん(笑)。本来この日は仕事絶対あかんって言わなあかんはずやのに(笑)。
寒河江:見届けてほしかったなー。
星野:今回おかさんが来ないと聞いて、「じゃあこの埋め合わせはしてもらいますよ」って言ったら、「それは安請け合いできないな」って(笑)。“映画は撮ったのに何でそんな言われなあかん?”みたいな(一同爆笑)
鈴木:作品を出してくれた人、観に来てくれた人でこういうイベントを自分たちも!と思ってくれたり。鉄ドンの路線もここまで崩していいんだとか。次に繋がるものがあるんじゃないかな。
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★『鉄ドン ハイパー(仮)』に参加した新旧監督のコメント
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【今井聡監督コメント】
第一回から休みなく参加して8回目。グリーンリボン賞も全回参加してますね。その前の『炎のバトル』からなので連続記録。次回も新しい作品を公開したいと思います!
【飯塚貴士監督コメント】
噂はかねがね聞いていましたが、18年ぶりに復活という事で寒河江さんが誘ってくださって、参加出来て嬉しかったですね!作品を作る時間が短かったので、『鉄ドン』がこれからも続くならしっかりした作品を作って参加したいですね。
と、言う訳で。2月21日(月)、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013、ホテルシューパロ・ライムライトにおいて19:20より『鉄ドンQ inゆうばり 第一部』、22:20より『鉄ドンQ inゆうばり 第二部』堂々開催!おかひでき監督が本当に来るのかも含めて、ゆうばりの伝説の夜になるであろうイベントをぜひ楽しんでほしい。
執筆者
デューイ松田