ジョージアナ・スペンサー(キーラ・ナイトレイ)は、17歳でデヴォンシャー公爵(レイフ・ファインズ)と結婚。マリー・アントワネットとも親交を深め、ロンドンにサロンを開くなど時代の先端を翔けていた。
知性、美貌、センスを兼ね備え輝くばかりの魅力にあふれた彼女は、直系の子孫である故ダイアナ妃と同じく、英国中の人々から愛された。
信念を貫いて生きながら同時に華やかな生活の裏では、夫からの愛を得られず苦悩の日々を過ごしてもいた。やがて夫の愛人、彼女の恋は一大スキャンダルを巻き起こす事となり…。
16世紀-18世紀建造の古城でのロケーション、本年度のアカデミー賞を受賞した衣装は絢爛豪華!

ダイアナ元妃と同じ血を引くジョージアナ・スペンサー。
その酷似した愛と葛藤の人生を、見事に演じたキーラ・ナイトレイに話を聞いた。


Q.架空の人物と実在した人物では、演じ方は変わりますか?
そうですね…
演じるキャラクターが、実在しても、実在しなくても、特に違いはないわ。
ただ実在の人物を演じる場合、その人の経歴や色々な設定をもとに演技するのが楽しいわ。

知りうる限りの情報を駆使して、役作りするの。
そうは言っても、簡単ではないわ。
ストーリーには複数のエピソードがある。
そのなかで役の一貫性を保たないといけない。
ただ伝記に目を通すと、何万通りにも解釈できる。
彼女の行動には理解できないものもある。
だから、伝記からの情報は取捨選択しないとダメ。

私が役作りでいつも大切にするのは…
リアリティを与えること。
その人物が架空であろうが、存在しようが同じことよ。

今回 チャッツワースの屋敷で撮れて良かったわ。
彼女が実際に住んでいた家の中を歩き回って、当時の暮らしぶりや、起こった出来事に思いを馳せた。
じかに雰囲気を感じられてすばらしい経験だった。

Q.彼女は歴史上の、セレブリティですが現代のセレブと比較するとどうですか?

彼女は数え切れないほど、さまざまな魅力を持っていたわ。
ファッションリーダーで政治的にも強い影響力を持ち、まさに当時を代表するセレブね。
いろいろと書かれ追い掛け回され、うわさされ、「パパラッチ画家」によって服装をイラストに描かれて、新聞に載ったりした。
そういうセレブリティ文化は現代的現象かと思ってたけど、実際は何百年も前からあったなんて、興味深いわ。

Q.この作品での衣装の重要性とは?

衣装は大切なポイントよ。
ファッションリーダーとして名声を得た彼女だからこそ、撮影に使う衣装は、重要な役割を担っていた。

デザイナーのオコナーの貢献は計り知れないわ。
資料や絵から彼女が当時着たと思われる、多くの衣装を、再現してくれた。
実際以上に良くしてくれたと思う。

これは私の解釈だけど、無防備で、この上ない孤独感に苦しんでいた彼女は、どうしても着飾らざるを得なかったんじゃないかしら。

ファッションによって、理想の自分像を創り上げ、それが功を奏して彼女は人目を引くようになる。
大きなスカートと高いウィッグが、彼女を文字通り大きく見せる。
苦境を乗り切る一つのテクニックだったのよ。
想像だけどね。

Q.ウィッグは大変でしたか?

びっくりするほど重かった。
仕組みがすごいのよ、鳥カゴみたいな感じで。
内側に金属がありそれを髪が覆っているの。
あるウィッグは、高さ60センチに60センチの羽根が乗り、頭で支えるのが不可能な重さ。

親切なスタッフが見かねて作ってくれた木製のスタンドで支えて休憩をとったの。
おかげで首の崩壊は免れたわ。

Q.現代のセレブリティの話が出ましたが、マスコミとの距離の取り方に コツみたいなものは何かありますか?

私自身 知りたくないのよ、スクリーンに出てくる俳優のプライベートをね。
作品のイメージを壊しかねないわ。

Q.その点 あなたは好例ですね
メディア露出は要らない?

もちろん必要な時もあるわ。
今や 私たちの日常は、映像やメディアの情報であふれている。
特定の映画の存在を知ってもらうのは至難のワザ。
だから自分から呼びかけないと“こんな映画よ、見に来て”って。

でも知られすぎると幻滅されて、作品は台無し。
例えば 私が無茶苦茶な結婚生活をしていたり、薬物依存症だとして、同じような作品で私を見たら、興味も失せるでしょ。
映画を楽しむためには、俳優個人について知りすぎない方がいい。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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