第15回・東京国際映画祭コンペティション部門・受賞作品が発表になった。12作品中、受賞作は次の通り。▽東京グランプリ・東京都知事賞(賞金1000万円)「ブロークン・ウィング」(ニル・ベルグマン監督)▽審査員特別賞(賞金200万円)「ホテル・ハイビスカス」(中江裕司監督)▽優秀監督賞(賞金50万円)「バーグラーズ 最後の賭け」(カルロ・ローラ監督)▽優秀脚本賞(50万円)「希望の大地」(ジェイソン・ゼノポルス)▽優秀女優賞(賞金50万円)「アンジェラ」(ドナテッラ・フィノッキアーロ)▽優秀男優賞(賞金50万円)「荒野の絆」(グラハム・グリーン)▽優秀芸術貢献賞(賞金50万円)「恋人」(撮影:シャオ・ダン)。11月4日、クロージングセレモニーでの発表後まもなく行われた記者会見を一部中継する。








グランプリを受賞した「ブロークン・ウィング」はシングルマザーとその家族のお話。ニル・ベルグマン監督は「この受賞は大変な名誉だと思います。プロデューサーのアサフ・アミルと組んで、また日本に戻ってきます」とコメントした。一方、同席していたアミルプロデューサーも「4年前に『ブロークン・ウィング』の脚本を読んで素晴らしいものになると直感した。この作品で道が開けると思った。賞金は次回作に当てたい」と語った。
日本人初の受賞という快挙となった中江監督は「この賞をがんばってくれた主演の8才の女の子をはじめ、キャストやスタッフ、ご協力頂いた沖縄の皆さんとともに頂きたい」とコメント。今回の受賞において、主演男優賞や脚本賞、優秀芸術貢献賞など本人が来ていなかった作品もあったが、「僕はグリーンが大好きなんだ。劇中でも兄弟を演じたけど実生活でも兄弟みたいなもの。だから自分のことのように嬉しい」(「荒野の絆」主演男優賞グラハム・グリーンの代理で賞を受賞した俳優のエリック・シュウェイグ)、「芸術貢献賞ということはカメラマンや俳優や音楽などスタッフに直接関わってくる賞ですから、早くみんなに伝えたいですね」(「恋人」ジャン・チンミン監督)などの声が聞かれた。
「東京国際映画祭の感想を。改善点などがあれば教えてください」という質問に対しては「皆さん暖かくていい雰囲気だと思いました。でも、欲を言えばいろいろな国の映画人と交流がしたかったです。私のように南アフリカにいますと、他の国の状況はなかなかわからないもので。例えば「Jam」の監督たちとか、映画人が交流するちょっとしたパーティがあれば嬉しかったかな」(「希望の大地」主演ニック・ボレイン)、「ここに一緒に座っている皆さん(コンペ受賞者)とは実は今日初めてお会いするんです。観客とは交流ができてよかったんですけど、そうですね、僕も同じように感じました」(「ホテル・ハイビスカス」中江裕司監督)など率直な意見が出た。来年以降、これが反映されるともっと素晴らしい映画祭になるだろうが。

執筆者

寺島まりこ

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