映画がサイレントだったころ、リアルな殺陣による時代劇で爆発的な人気を博し、「剣戟王と呼ばれ、戦中、戦後も時代を代表する大スターとして一世を風靡をした阪妻(バンツマ)こと、阪東妻三郎(1901〜53)。
彼の生誕からちょうど100周年にある本年、邦画大手5社が集結し、かつてない規模の〈阪妻映画祭〉の開催が決定!上映中は現存する出演全作品の上映の他、先般フィルムがロシアのゴスフィルムフォンドから里帰りした時代劇『鍔鳴浪人』前後篇(1939・40)、『狼火は上海に揚る』(44)のほか、京都映画祭で復元された断片フィルムや「阪妻とその時代」というコーナーでは1930年代、40年代のGHQに接収されていた作品も上映します。大正昭和の激動の時代を駆け抜けていった、その役者人生を現存するフィルムを総動員して上映する史上最大規模の〈阪妻映画祭〉です。
2002年5月18日〜6月14日まで新文芸坐ほか順次全国公開予定される本作の新文芸坐での上映をご紹介!


阪東妻三郎生誕100周年を迎えて
2002年は、阪妻(バンツマ)の愛称で親しまれてきた大スター阪東妻三郎の生誕100周年にあたります。昨年9月の第3回京都映画祭では主演作の上映を中心に特集企画が組まれ、年配の観客とともに若い観客が詰め掛け大きな反響を呼びました。この動きに連動し、2002年5月から東京をはじめ全国主要都市で〈阪妻映画祭〉を展開致します。参加するのは大映、日活、松竹、東宝、東映という邦画大手5社。現存する阪東妻三郎出演作の全作品を連続上映するとともに、ゲストによるイベントも企画しています。
阪東妻三郎(1901〜53)は1920年代後半のサイレント期に、リアルな殺陣による時代劇で爆発的な人気を博し、「剣戟王」と呼ばれ、30年代のトーキー時代劇へと活躍が続きました。戦中には『無法松の一生』で現代劇に進出し、戦後の『王将』へと連なるとともに、50年代にも時代劇スターとして活躍しました。
〈阪妻映画祭〉では、阪妻の偉大な足跡に注目し、一人の傑出したスターの魅力を貴重なフィルムで浮かび上がらせるとともに、日本映画の黄金期の勢いと京都映画史の豊かさを再発見するべく特集上映を行います。
 邦画大手5社が今回のように結束することは珍しく、かつてない貴重な催しとして注目されることは間違いありません。また、日本に現存しなかった阪妻主演作で、先般フィルムがロシアのゴスフィルムフォンドから里帰りした時代劇『鍔鳴浪人』前後篇(1939・40)、『狼煙は上海に揚がる』(44)のほか、京都映画祭で復元された断片フィルムや「阪妻とその時代」というコーナーでは1930年代、40年代のGHQに接収されていた作品も上映します。大正昭和の激動の時代を駆け抜けていった、その役者人生を現存するフィルムを総動員して上映する史上最大規模の〈阪妻映画祭〉です。 




□上映日程 作品       イベント(予定) 阪妻とその時代ほか
5月18日〜19日 (土、日) 破れ太鼓(松竹) 王将(大映) 5月18日 田村氏舞台挨拶 サイレントA
5月20日〜21日 (月、火) 無法松の一生(大映) 江戸最後の日(日活) 海軍(松竹)
5月22日〜23日 (水、木) 将軍と参謀と兵(日活) 狐が呉れた赤ん坊(大映) 残菊物語(松竹)
5月24日〜25日 (金、土) 恋山彦(日活) 維新の曲(大映) おもちゃフィルム
5月26日〜27日 (日、月) かくて神風は吹く(大映) 狼煙は上海に揚がる(大映) サイレントB
5月28日〜29日 (火、水) おぼろ駕籠(松竹) 東海水滸伝(大映) お伊勢詣り(新興キネマ)
5月30日〜31日 (木、金) 忠臣蔵 赤垣源蔵 討ち入り前夜(日活) 闇の影法師(日活) 五人の斥候兵(日活)
6月 1日〜 2日 (土、日) 鍔鳴浪人(日活) 続・鍔鳴浪人(日活) 活弁付きサイレント上映 サイレントA,Bを計3回上映
6月 3日〜 4日 (月、火) 影法師 寛永寺坂の決闘(松竹) 続影法師 龍虎相摶つ(松竹) 成吉思汗(大映)
6月 5日〜 6日 (水、木) 魔像(松竹)                     牢獄の花嫁(日活) サヨンの鐘(松竹)
6月 7日〜 8日 (金、土) 雄呂血(阪妻プロ) 血闘 高田馬場(日活)    阪妻の生涯(マツダ映画社) おもちゃフィルム
6月 9日 (日) 富士に立つ影(大映) 国定忠治(大映) サイレントA
6月10日 (月) 伊賀の水月(大映) 木曾の天狗(大映) 秋葉の火祭り(新興キネマ)
6月11日 (火) 忠臣蔵 天の巻・地の巻(日活) 鮮血の手形(松竹) 児雷也(新興キネマ)
6月12日 (水) 天狗の安(東映) 佐平次捕物帖 紫頭巾(東宝) 仇討膝栗毛(新興キネマ)
6月13日 (木) 月の出の決斗(大映) 素浪人罷り通る(大映) 沃土萬里(日活)
6月14日 (金) 大江戸五人男(松竹) 稲妻草子(松竹) おもちゃフィルム

劇場:池袋・新文芸坐

執筆者

外川康弘

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