1901年12月5日に誕生し、今年生誕100周年を迎えるアニメーションの巨星ウォルト・ディズニー。その生誕100周年記念作品として製作された魔法の映像『アトランティス/失われた帝国』が、第14回東京国際映画祭のクロージング作品として上映された後、12月8日より全国松竹・東急系にて公開される。シネマスコープ画面いっぱいに繰り広げられる夢と冒険の物語、年齢を問わずに楽しめる作品と言うことで上映に当たっても、字幕版・吹替え版の同時公開が行われ、その日本語吹替え版のヴォイス・キャストによる記者会見が、10月25日にパーク・ハイアット東京にて開催され、主人公マイロ役の長野博さん、プリンセス・キーダ役の木村佳乃さん、ヘルガ役の高島礼子さん、ヴィニー役の内藤剛志さんらが出席し、それぞれのキャラクターが描かれたボードの前で声優としての経験と作品の魅力を語った。
 なお、日本版ヴォイス・キャストとしては、上記出席者の他にオードリー役で主題歌にも参加している“DREAMS COME TRUE”の吉田美和さん、ミセス・パッカード役の柴田理恵さん、アトランティス王役の平幹二郎さんらも参加しているが、この日は都合により参加できなかったが、「初めてですが、素晴らしい経験ができた」(吉田さん)「アニメでも普通の映画を観る感覚で、大人の方に観てもらいたい」(柴田さん)「冒険物語ですが、ロマンチシズムが強い作品でそこが面白かった」(平さん)とそれぞれの方々からのビデオ・メッセージがあわせて披露された。



Q.ご挨拶をお願いします。

長野博さん——今回この役をいただき、ディズニーということと100周年記念作品ということで、すごくびっくりしましたが、楽しく吹替えをさせていただきました。僕もディズニー作品には、小さい頃から夢をいだいてきていたので、今回僕がやらせていただくことで、その作品を見ていただく皆さんに夢を持っていただけたらと思います。

木村佳乃さん——今回始めての吹替えで、色々とわからない事がありましたが、なんとか楽しくやらせていただくことができました。キーラはアトランティス語という英語・フランス語・ラテン語が混じったような造語の台詞が多く、それが結構大変でした。

高島礼子さん——私も吹替えは初めてで、新しいものに挑戦するなんともいえない素晴らしい気持ちを味わい、また普段のアフレコと違って自分が動いていないところで声を入れることの難しさを知りました。でも、その微妙な楽しさが癖になりそうです。私も子供の頃からのディズニー・ファンなので、今回出させていただいて感謝しております。

内藤剛志さん——このキャラクターの髪型とか僕に似ていて、僕もこんな風に見えてるのかな(笑)。子供から大人になる時ってのは様々な影響があると思うのですが、ディズニーの映画はその一番前というか、物語とかも判らなかった頃に親に連れて行ってもらったりして観ていると思うんです。今回、この作品に参加させていただいて、未だであったことも無い多くの子供たちと映画を通して出逢えることが、何よりも僕は嬉しいです。

Q.長野さんに、オリジナルのマイロは、マイケル・J・フォックスさんが声を当てられていましたが、意識された点はありますか。また、オリジナルをここは超えたと自負される部分はありますか?

長野さん——最初にオリジナル版を資料としていただき観てからの吹替えでした。確かに初めに観たものは印象が強くイメージが入ってしまいがちですが、僕は日本語版がオリジナルのつもりで挑みました。勝っているか否かは、観る方に判断していただけばと思います。

Q.内藤さんに、声優としての仕事と俳優としての仕事で、区別されることはありますか?今後、一緒に仕事をしたいアニメーションの監督さんは、どなたでしょうか?

内藤さん——声優の仕事と普通の顔を出す仕事とでは、僕は特に変えていないつもりです。人間の心を扱うのがドラマで、それはどちらも全く一緒です。でも、人間ではとてもできない動き…10メートルの所から落ちてぺしゃんこになったりといったものに声をつけるのは楽しいですよ。今後組みたい人ですか、宮崎さんやって、ディズニーとやって次は…そうですね、誰かがオファーしてくれれば慶んで受けたいと思います(笑)


Q.高島さん、木村さんに、初めての吹替え経験はいかがでしたか?また、これからやってみたいアニメーションの役柄とかは、なんでしょうか?

高島さん——いただけるチャンスがあれば、なんでもやってみたいですね。本当に面白かったんですよ。スタジオの中でいつも暴れまわっていました(笑)。

木村さん——初めての経験でとても楽しかったです。監督さんが、ユニークな方で面白いアドバイスが本当に参考になりました。小さい頃から、大のマンガ映画好きだったので、チャンスがあればどんな役でも挑戦したいです。

Q.アニメのキャラクターとして自分の声が聞こえてきた感想と、苦労された点はどのような部分でしょうか?

長野さん——自分で普段耳にする声と、客観的に聞く声は全然違っていて、OKをいただいてもこれでいいのかな?と思うような部分もありました。でも、出来上がった作品を観て、よかったんだと思えました。苦労というか、今回はそこに一人の役者がいて、そこに命を吹き込むつもりでやったのですが、それに気持ちをあわせて汲み取りながらやるということが楽しかったです。

高島さん——あまり知らない中、初体験で臨んだんですが、だた台詞を言うのではなく、キャラクターの一挙一動全てを台詞にこめるというのを現場で知り、こういうことなのかとしみじみ思いました。その辺は、難しいと言うより面白いと思いました。

木村さん——8千年生きている王女様ということで、比較的普段話している声よりもトーンを落として、なるべく力強いキャラクターになるよう意識しました。それと先ほどもお話したアトランティス語には苦労しましたね。

内藤さん——僕は初めてではなく『千と千尋の神隠し』もやっていましてその時も思ったのですが、俳優は自分が演ったという以上は画面に映らない、自分は自分を超えられないと思いますが、アニメはキャラと一緒に何かを作っていく感じがします。乱暴な言い方ですが、僕とこのキャラ生み一緒に作っていったものが、映画の中のキャラになるのです。

なお『アトランティス/失われた帝国』は、12月8日より全国松竹・東急系にて公開される。

執筆者

宮田晴夫

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