600万円の借金をかかえたままリストラされた一人の男が、日本全国旅しながら行く先々でパチスロで稼ぎその借金を返していく姿を描いたベストセラー『パチスロひとり旅』。作者である名波誠氏の実体験に基づくこの原作が、観る者にほんわりと元気がわいてくる痛快なロード・ムービーとして完成、10月27日の東京公開を皮切りに劇場公開が始まる。公開を目前にした23日に徳間ホールでは、この作品の完成披露試写会が開催され、後藤大輔監督、坂上忍さん、諸岡ひとみさん、浅見翔子さんによる舞台挨拶が行われた。










後藤大輔監督は、『ゴト師株式会社3』で一般作品監督デビュー以来数々の娯楽作品を監督してきている。これまでも、パチスロを扱った作品を何本も手掛けている後藤監督だが、本作の原作を読んだところ、主人公の名波の事情から、そりゃ誰だってこういった行動をとるであろうことは納得しつつも、御本人自身がきままにぶらっと旅にでることがを好きでやっているのではないかと強く思ったそうだ。「パチンコもの・パチスロものありがちな、テクニックがどうしたという方向ばかりに走らず、パチスロと一人旅というのが等分にある原作だと思いました」。この思いは、名波を演じる坂上忍さんも同様で、この共通認識から映画版の名波の役をつくっていき、自分のことで精一杯なのに、人の世話をしてその善意が空回りする寅さん的な主人公の面白さを目指したとのこと。
そんな、主人公名波誠を演じたのは、テレビ等では雀氏としても名を馳せる坂上忍さん。実際のパチスロ店でのロケの必要から、撮影はかなりハードナスケジュールだったようだ。「営業時間中には店内ロケはできないから外で撮影、終わったら店内のロケですから寝るヒマないですよね。3日くらい徹夜させていただきましたかね(苦笑)」。なお、坂本さんご自身はこれまで麻雀一筋だったそうだが、この作品を機会にパチスロにも挑戦しだしたということだ。「でもなかなか勝てないんだよね(笑)」。
名波が旅先で出会ったワケあり風だけど自然体な金髪娘・ハルナを演じているのは、この作品が映画デビュー作となる諸岡ひとみさん。舞台では、ちょっと緊張気味の様子だったが、「何もかも初めてで、演技も難しい所もありましたが、現場はすごく楽しく、楽しんで演じられました」と、初演技の感想を初々しく語った。
名波の恋人マキを演じているのは、ドラマやバラエティなど幅広い分野で活躍中の浅見翔子さん。もし映画と同様恋人がパチスロの旅に出ちゃったらどうしますか?との直撃質問に、「かなりブルーですよね。そういう人がいるのかなぁ?と台本を読んで時は思ったんですが、私だったらついていけないかもしれないですね」とそこはかなり冷静な大人の女性らしい御答え。しかし同時に「自分が男だったら、そんな人生もいいかなと思います」と、そんな主人公に立場を変えれば共感を感じてしまうのも、また事実。そんな、自堕落でお金がなくとも、マイペースに生きていく名波の奮闘ぶりに、皆さんも是非劇場で共感していただきたい。

なお、『パチスロひとり旅』は東京では10月27日よりテアトル池袋にてレイトロードショー、また大阪では11月24日より天六ホクテン座にてロードショー公開される。

執筆者

宮田晴夫

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