タイ・バンコクの町の片隅で生きる生まれつき耳の聞こえない若い殺し屋の青年と、彼とささいなきっかけで出逢ってしまった純粋な一人の少女。互いに惹かれ合いながらも、決して結ばれることを運命が許さない二人を中心に、静かでありながらエモーショナルなドラマとスタイリッシュでハードなアクションが融合されたサイレント・ノワール『RAIN』が、東京国際映画祭の特別招待部門公式上映作品として、映画祭初日の10月27日にシアター・コクーンにて上映された。昨年のトロント国際映画祭でのプレミア上映された国際批評家賞を受賞するなど絶賛されたこの作品、香港出身の双子の兄弟、オキサイド&ダニー・パンの二人が監督・原案・脚本・編集を共同で担当している。二人は、映画祭参加のために来日を果たし、新たなる才能との出会いの期待に胸を高鳴らせる満員の観客の前で、舞台挨拶を行った。







 お二人とも長髪に眼鏡、黒で統一した服装で舞台に登場したオキサイド(兄)&ダニー(弟)・パン兄弟。まずは「多くの方々に来場いただいてありがとうございます。我々の映画を楽しんでいただき、さらに我々の訴えたいことを理解していただければと思います」と挨拶、続いてこの作品を製作するきっかけや、そのバック・グラウンドなどについて語った。
 アクション映画を撮りたいというのがこの作品のスタート地点だが、ハリウッドや香港映画に多いアクション主体でテンポは早いがダイアローグが少ない映画ではなく、アクションを多々導入しながらも会話のある場面も盛り込みたかったそうだ。さらにスタイリッシュな映像表現という部分も合わせてみれば、トロント映画祭で“バンコクのウォン・カーフェイ”と称されたのも実に納得。また、その商業映画としての映画つくりには、バック・グラウンドとしてテレビのCM等からの影響が大きく、題材(この作品は、実際にタイで起きたマスコミュニケーション協会のディレクター暗殺事件からインスピレーションを得ている)なども含めて様々な情報はTVやラジオから得ているとのことだった。
 最後にそれぞれが、「是非、楽しんでいただきたいというだけではなく、1年・2年・3年と経っても、この映画を覚えていていてくださるというような、経験になってもらいたいと思います」(オキサイドさん)、「皆さんにこの映画をご覧いただいた後、広く日本でも公開したいと思いますので、沢山のお友達に口コミしていただければ有難いです。そういったことから、我々も次の映画を撮るチャンスを得られますので宜しくお願いします」(ダニーさん)とメッセージを告げたのに続き、作品の上映が行われた。
 ところで、原題が『BANGKOK DANGEROUS』というこの作品、邦題はクライマックスの印象的な雨の部分からつけられたようだが、兄弟曰く「実はヒロインのフォンという名前は、雨という意味なんだ。何か運命的なものを感じるね」とのこと。実に、的を得た邦題だ。

 なお、『RAIN/レイン』は、2002年新春第2弾作品として、渋谷東急3他全国劇場にてロードショー公開予定だ。新たなる才能との出会いを、楽しみにして欲しい。

執筆者

宮田晴夫

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