スカンジナビア最大級のアニメーション・スタジオで、デンマークの“ジブリ”とも称されるAスタジオの製作による、魚になった子供たちが美しい海中で繰り広げる大冒険を描いたファンタスティック・アニメーション『とび★うおーず』が、9月15日より全国のワーナー・マイカル・シネマズにてロードショー公開がはじまった。アンデルセンの国デンマークが生み出したこの作品は、繊細で優しいタッチと楽しい音楽に彩られ、全ての年代の人に夢と勇気と愛情を語り掛けるこの作品は、今回日本語吹替え版での登場だ。
 公開初日の9月15日、ワーナー・マイカル・シネマズみなとみらいでは、日本語吹替え版のキャストを演じた山寺宏一さんと田中真弓さんコンビ、そしてさとう珠緒さんとこはたあつこさんコンビによる、初日舞台挨拶がそれぞれ行われた。










 初回上映後の舞台挨拶は、声優としてもベテランのお二人、元気一杯な主人公トビー少年役の田中真弓さんと、サカナ薬を発明する変な天才科学者マックリル教授役の山寺宏一さん。「どーも、田中です。ありがとうございまーす」。舞台の端から端までを往復し、場内の観客一人一人に視線を投げかける田中さん。そして、「おっはー!、もう一度元気におっはー!」と、お馴染みの掛け声で山寺さんも登場、勿論会場の子供たちも大きく「おっはー!」と応える。舞台と客席が近めということもあり、作品同様アットホームなムードが満ちている。
 少年役を演じることが多い田中さんだが、今回のトビー少年役は「王道」の少年キャラだったと語る。「ジェリーにはちょっとつっかかるけど、とても妹思いで厭味なところの無い、ヒーロー的ないい少年だと思いました。私は崩れちゃうことが多い役が多かったりするんですが、元気のいい王道の少年だったので、崩れないように注意をして演じました」。映像も綺麗で何度でも観て欲しいと語る田中さんだが、一番印象に残ってるシーンは最後に「あいつが人間になってしまうショッキングな場面」だそうだ。冒険のクライマックスともいうべきこの部分、これから観られる方は是非期待しよう。
 一方そのキャラクターとは裏腹に(失礼!)二枚目役も多い山寺さん、気のいいマッド・サイエンティストともいうべきキャラクター。「最初に聞いたときはどんな役かと思ったら、兎に角可笑しな爺さんだって言われて(笑)。本当はエキセントリックなキャラクターが大好き。髪形といい顔といいああいうのが好きなんで、すごく楽しくやらせてもらいました。歌もありましたしね」。そう、本編は主人公達が歌うお楽しみなシーンが多いのだが、全てちゃんと日本語に吹替えられているのだ。「“サカナ薬を作る歌”って皆判った?覚えた?」と問い掛ける山寺さんに、会場からは「おぼえられない」という可愛い返事。それじゃとばかりにイントロ部分をアカペラで口ずさむ山寺さんだが、「僕もこれしか覚えてないんだけどね(笑)、もう1回観れば覚えられると思うんで、お父さんお母さんにお願いしてまた観に来てね。自分の歌の所は勿論ですが、ステラとサーシャにトビーが加わってのミュージカル場面がファンタジックで楽しいですよ」と、音楽場面はかなりの自信作。因みに、現時点では日本語版のサントラの発売は決まっていないそうなんで、これらの歌を楽しめるのは今のところ劇場だけ。「よく観ると、冒頭に出てくるイカの群れの中に、「おっはー!」ってやってるのがいるかも?マックリル教授も1回だけおっはー!をしてるかも?」との山寺さんの言葉が本当かどうかは兎も角、内容的にも一度観ただけでは気づかないお遊びが沢山出てくるこの作品、やはり何度でも繰り返して観るお楽しみに満ちているようだ。
 ワーナー・マイカル・シネマズからの花束の贈呈の後は、マスコミ向けの撮影タイム。舞台から客席を向いてのツー・ショットを撮った後は、客席のご家族連れも一緒に「チーズ」じゃなくて勿論「おっはー!」で撮影。お二人は握手を求めるお友達たちに快く応えながら、舞台挨拶を終えた。









 この日3回目の上映後の舞台挨拶は、今回が声優初挑戦のフレッシュなお二人が登場。トビーの妹ステラ役のさとう珠緒さんと、その優しいお母さん役のこはたあつこさんだ。メルヘンチックなこはたさんのこの日の服装に関して、「あっちゃんのカッコに圧倒されています」(中村さん)、「なんか知らないけれど、朝気がついたらこのカッコなんですよ」(こはたさん)と、掛け合いをするお二人は、流石TV『王様のブランチ』でも一緒に仕事をしているだけあり、舞台での息もぴったりだ。
 「色々な愛に溢れた映画で、観終わった後にすごい優しい気持ちになれる映画です」と映画について語った中村さん、初の声優で幼い少女を演じた感想は「最初はすごい緊張とプレッシャー。小さな女の子を演じられるか心配だったのですが、演じているうちにアドリブの笑い声とかも出来るようになって、楽しかったです」。
 「ディレクターさんがこんなに怖いのかと…(笑)」とやはり声優初体験をふりかえるこはたさん。「私はすごく優しいお母さん役で、キャラにあってないよね(笑)。映画の中に出てくるもう一人の大人のおばさんとのヤリトリの場面では、こはただったら言い返してやりたいところを、落ち着いて「そうね」とか言うのが苦しくて、すごい体験でした。でも、そんなことを演ってるうちに、段々お母さんの中に入っていけて…」。そしてお二人は、即興でそれぞれステラとお母さんになりきっての生掛け合いを披露。その楽しさに客席からは、大人・子供を問わずに、満足感のこもった声援が贈られた。
 作品に関してのお勧めポイントとして、「ラストシーンの盛り上がりが好きです」と答えたのは中村さん。一方こはたさんは、本業の映画コメンテーター・モードに入りながら「映像がメチャクチャに綺麗で、特に海の中のシーンのサカナの動きや泡の描写とかが、本当にスキューバーダイビングをしてるみたいで、心安らかになれます」とコメント、この夏、海に行った人はその時の記憶が甦り、また海に行けなかった人も実際に海に行った気分にすっかりひたれる、この季節にぴったりの作品になっているのだ。
 
 なお『とび★うおーず』は、ワーナー・マイカル・シネマズの10周年記念作品第5弾作品として、全国のワーナー・マイカル・シネマズでロードショー公開中。記念作品ということで当日\1,000の特別料金で鑑賞できるほか、4名以上のグループの場合は1人\800でご覧になれるグループ割引も実施されている。

執筆者

宮田晴夫

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