2003年にフジテレビで放送され、大反響を呼んだカルト深夜番組『放送禁止』。熱狂的なファンを生み、2本の劇場版も製作され、大ヒットとなった伝説のシリーズが遂に復活致します。「放送禁止」シリーズ劇場版第3弾『放送禁止 洗脳〜邪悪なる鉄のイメージ〜』。ドキュメンタリーかと錯覚する衝撃的な内容や、真実を隠したミステリー仕立ての仕掛けが話題となり、ツイッター、フェイスブックなどがまだ浸透する前においても、インターネットや口コミでその存在が知れ渡ったのがこの「放送禁止」シリーズ。

最新作のテーマは、“脱洗脳”。監督・脚本はTVドラマ/映画と全ての作品を監督した長江俊和(『不安の種』『パラノーマル・アクティビティ第2章TOKYO/NIGHT』小説『出版禁止』)。あることがきっかけで強い洗脳を受けた元主婦、江上志麻子。彼女を襲った、幸せな家庭を壊した本当の真実とは?








ーーー放送開始から約11年、これほど長く続くとは思っていましたか?

最初のTV放送が2003年4月で、それから11年、当時は続くとは思ってもみなくって。第1回の放送が4月1日のエイプリルフールだったのと、以前、ゴールデンタイムの番組で「オーソン・ウェルズの火星人襲撃事件」があったような事を「お台場でUFOが来ました」的なことが出来ないかとフジテレビの担当者と話をしていたのがきっかけですね。自分が企画書を書いて、担当者が会議に提出したら怒られたのですが、深夜にやるのならいいのではということで、深夜版に内容を書き直したものが「放送禁止」になったわけです。
当初の内容は幽霊や超能力などの現象をドキュメンタリー風で見せる手法や一人の殺人鬼が犯した事件だったように見せるドキュメンタリーなどで考え、1回の放送だけで終わるものだったのです。
放送から2ヶ月後に第2回を放送することになり、オカルトやホラーに見えるけど実はミステリーでもうひとつ別のストーリーがあるというその内容は放送では明かさずに視聴者に考えてもらうみたいな内容で作ることになり、それが第二弾の「大家族編」になりました。その後、第三弾につながり、そこまでは僕ら作り手側が楽しんで制作をしていましたね。
視聴者の反響も気にせず制作しており、第四弾くらいからインターネットの反響もすごくなり、それから映画を3本も作り、11年も続くとは思っても見なかったです。

ーーーフェイクドキュメンタリーで怪奇、心霊ものは、数多く作られていますが、失踪事件、ストーカー、今回の洗脳された主婦といった事件性のフェイクドキュメンタリーを考えたきっかけは?

自分自身がミステリーに詳しいわけではないのですが、第二弾からミステリーを取り入れようということになってシナリオを作る時に自分の中でのミステリーの基礎知識は横溝正史の世界であって、学生時代には金田一耕助ブームがあって映像も小説も好きで、帝銀事件を要素に取り込んだ「悪魔が来りて笛を吹く」や津山事件の「村人32人殺し」を取り入れた「八つ墓村」があって、実際にあった事件をモチーフに膨らませて、そこにオカルトやホラーなどを取り込んでラストはサスペンス、ミステリーの人間ドラマとして、最後はトリックで不条理ではなく条理として解決する。
そんな内容を現代版で見せることができないかと考え、そこでストーカーなども今風のテーマで、そこにオカルトを絡ませ、よく見るとそれはオカルトではなく人間が犯した事件や犯罪であって現実の恐怖、自分の身近で起きそうな恐怖を描きたいと思いました。

ーーーただ、怖がらせるだけではなく人間ドラマに重点をおいてますよね。

意識的には、Jホラーとは違うものを撮りたいなぁということを考えていました。
あと、現実に起きた事件や恐怖などを要素に描きたいなぁと思っていました。

ーーーキャスティングについて

有名な人を使うと二時間のサスペンスドラマで重要な役どころに意味が出てきてしまい犯人が分かってしまうように、一般的に知られている俳優さんを使うと嘘のドラマだと分かってしまうのですが、有名でなく、演技力もある人を探すのは大変で毎回オーディションをやって探しているのですが、重要な部分なので、毎回オーディションにオーディションを重ねて選んでいますのでいつも葛藤しています。あえて、クレジットにはキャスト名もでていません。

ーーー画面の構図について

観客がスクリーンに集中しているので、ネタばらしのシーンを見せる時は、そのシーンは何度も構図を変えて撮影して最終的には編集段階で試行錯誤しながら決めていますね。一番ナーバスになりますね。

ーーーフェイクドキュメンタリーでありながら上手く観客を良い意味で裏切っていますよね

今回も、いろいろと趣向を凝らした「裏切り」があります。とくに、エンドロールが終わった後もお楽しみに。

ーーー今後の展開について

テレビ放送の頃は、『急に放送枠が空いたので作りませんか?』と相談があって、断らずに作ったりするのですが、また話があれば、題名が「放送禁止」なので作り続けていきたいですし、映画もチャンスがあればまたやりたいです。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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