衝撃的なストーリー、限界に挑戦。『奴隷区 僕と23人の奴隷』佐藤佐吉監督インタビュー
小説・コミック投稿・販売プラットフォーム「E★エブリスタ」にて1660万アクセス越え、サイト内で超話題のミステリーとなった原作で、現在、小説、コミックの書籍版も発売され、累計150万部を突破。SCMを手に入れた者同士が勝負し、勝てば「主人」、負ければ「奴隷」という斬新かつ壮絶なサバイバルゲーム。JK、No1ホスト、牧師、OL、アニメオタク、SMの女王様、JD、高校教師、風俗嬢、映画監督、売れない俳優、暴力団組長、小学生・・・SCMを手に入れた者達の興奮、快楽、復讐、凌辱など、様々な欲望が渦巻くバトルロイヤルが始まる!
この映画化には、『殺し屋1』を初め多数の作品の脚本を手がけ、自らも監督作『東京ゾンビ』『東京闇虫』など手がける一方、Q.タランティーノ監督の『キル・ビル』に出演するなど俳優としても活躍している佐藤佐吉がメガホンを撮った。
$red −−原作の内容を脚本に仕上げた苦労は? $
脚本を作り始めたのは、コミックの1,2巻が出始めた頃、小説は完結しており、どこまで描くのか、どのように映像がするのかは、共同脚本の伊藤秀裕さんと練りました。
ポイントは、主演の二人(秋元才加さん、本郷奏多さん)は、ほぼ決まり、原作のファンに受け止めてもらえる内容と新しいファンにも世界観を受け入れてくれる内容につくり上げるため、複雑なストーリーは、クランクイン直前までの組み立てでしたね。
−−登場人物が多いですが、脚本も大変では?
そうなんです。原作の量に、それぞれ重要な、登場人物の多さ、全員登場させなきゃいけないんだなぁという点も大変でした。
自分の中では、原作に忠実に過激にやりたかったですが、1本の映画の中に収まりきれず、世界観を残しつつ、原作とは若干異なる展開にもっていく方向に変えました。
あの数の登場人物をすべて描き切るには、1本にはまとまらないですね。ただし、映画を見終わった時に原作と同じような印象を観客の皆さんにもっていただけるような脚本は目指しました。
−−原作は、衝撃的なストーリーですが、初めて読まれたときの印象を教えてください。
衝撃的な内容なので原作のまま映像化するのは難しいなぁと感じました。
その世界観には100%共感できましたが、登場人物の設定や性格などは、若干は変えたりしています。
もし、2本、3本の映画にするならば、変えずに出来るのかもしれませんが、映画という制約の中で出来る限界まで描いています。
−−監督のオファの経緯は?
作年、『東京闇虫』を脚本、監督をした経緯で、プロデューサー、脚本の伊藤秀裕さんからのお話で原作を読んで引き受けました。
−−鳥居みゆきさんの演技が良かったですが、キャスティングは、どのように決めたのか?
個性的なキャスティングを担当にお願いしましたが、鳥居みゆきさんや久保田悠来さんなどのキャストが決まってよかったです。
俳優側から出演したいという要望も何人かあったようで、プロデューサーは苦労したようですよ。
−−原作にはかなりエロチックで過激なシーンがありますが、映画化する上で配慮した点は?
原作のまま映像化するとR18の作品になってしまうので、ティーンエイジにも観てもらいたいので、多少配慮はしました。
結果、海外の公開も決定し、より多くの人に観てもらえるような広がりは出来ましたね。
映画化させることで、見てから読者になる方もいるでしょう。
−−自ら出演は無かった?
今回は、脚本、演出にすべてをかけていたので、自分が出演するなんて考えてなかったですね。
今までの演出は、細かい点にも気を配って自分で細かいカット割りやリハーサル、テストなどを見てきましたが、カメラマンや助監督、他のスタッフと共に決めてもらったりして作り上げた感じなので、新しい挑戦もできたと感じています。
今では、海外がほぼ同時公開に決まるということも自分にとっては初めての事なので、楽しみです。
−−これから見てもらうファンにメッセージをお願いします。
自分が原作を読んでその素晴らしさから映画化しようと思ったくらいなので、もし映画を見ようと思う人がいるなら、見たあと原作を読んでもらえると、より深くこの世界を楽しんでもらえると思います。楽しみにしていてください。
執筆者
Yasuhiro Togawa