ミステリー界の重鎮スティーヴン・キングが2005年のベストブックに選び、「本書は本物のだ」と称えた最高のサスペンス「リンカーン弁護士」が遂に完全映画化! エドガー賞受賞経験をもち全世界で支持されているハード・ボイルド小説の巨匠マイクル・コナリーによる新シリーズは、ちょいワル弁護士ミック・ハラーの活躍劇。全米ベストセラーとなり、第2弾も発売される中、期待の新鋭ブラッド・ファーマンが映像化に挑んだ。

$red Q:原作を読んでから脚本と向き合われたと思いますが原作の魅力と映画としての演出でこだわった部分はどこですか? $

監督:もちろん読みました。ミック・ハラ—(マシュー・マコノヒー)のキャラクターにとても惹かれました。有罪だと分かっている男を弁護しなければならない、道徳的な葛藤が面白かった。原作から変えようと思ったのは、ただロスで撮影するのではなく、いわゆる「ロスの別の一面」も画面に取り込もうと考えました。ボイルハイツ、エコパーク、リンカーンハイツ、イングルウッドとか。



Q:演出にあたって、マイクル・コナリー(原作者)と話しましたか?話した場合、どの
ような話をしましたか?

監督:撮影に入って3週間目までマイクルと会うことはありませんでした。彼が現場に遊びに来てくれたのです。私の初監督作品『ハード・クライム』の荒々しさ生々しさを気に入ってくれて、私がこの作品を監督することを喜んでくれました。この『リンカーン弁護士』の演出にも有効的だと思ってくれたそうです。

Q:離婚した夫婦の特別な関係がリアルで素晴らしかった。家族のドラマについては?

監督:まず、私は家族をとても愛しています。特に、今日ある自分の姿は両親が自分を支えてくれたからこそあるのだと感謝しています。私は映画が大好きですし、色々なジャンルの映画を監督したいと思っています。ファミリー・ドラマも撮ってみたいですね。最近、『クレイマー、クレイマー』『イン・ザ・ベッドルーム』と『ソフィーの選択』を観ました。どの作品もとても違いますが、どれも家族の関係を描いた作品です。今後もこのような作品が作られるのを期待しています。

Q:映画化するにあたって、ミックのキャラクターにこだわった点は?

監督:3次元の生きている、息をしている人間を描きたいと思いました。とても複雑で面白い性格。根本的には良い奴だけれでも、リアルに欠点のある人間です。

Q:アメリカとは司法制度が異なる日本でも、とても解りやすく物語が進行していく司法制度の描き方で留意した点は?アメリカの司法制度のいい面と悪い面は?

監督:解りやすいと言ってもらえて嬉しいです。映画は人種、宗教、性別に関わらず全ての観客に向けて作るようにしています。人のために映画を作っているのです。司法制度については、実は母(エレン・ブラウン・ファーマン)と「With Death 」という映画の脚本を書きました。この脚本もアメリカの司法制度がいかに大規模不法行為訴訟に対して無力かを描いています。

Q:長編を2本続けてL.A.を舞台にしていますが、今後もL.A.の物語を撮っていきたいですか?それとも他の都市を舞台にしたプロジェクトが進行しているのですか?

監督:私は、フィラデルフィアとニューヨークからロスに移植されたのです。ロスを映画で描くのは楽しいですが、実はフィラデルフィアやニューヨークも撮りたいと思っています。どちらも私がよく知っている土地ですし、いつも、インスピレーションをもらっています。今は、プエルトリコでインターネット賭博を舞台としたジャスティン・ティンバーレイク、ベン・アフレック主演『Runner ,Runner』を撮影中です。

Q:マシュー・マコノヒー、ライアン・フィリップ、マリサ・トメイ、ウイリアム・H・メイシーそれぞれの役者としての魅力は?

監督:この作品に出演した役者、全員を誇りに思います。私が唯一役者に要求するのは、正直であること、そして、リアルであることです。この作品では全員が私の要求に応じてくれたことに感謝しています。

Q:好きな日本映画はありますか?また影響を受けた日本の監督はいますか?

監督:多くの監督がそうであるように、私も黒澤明が好きです。特に好きなのは『羅生門』『七人の侍』。あとは小津安二郎の『東京物語』です。

Q:日本の観客に一言メッセージを下さい。

監督:前もって言いますが、『リンカーン弁護士』を観てくれて、ありがとうございます。愛情を込めて作った作品ですので、楽しんで頂ければ幸いです。この作品は、今後も心からの作品を撮り続けるための一つの関門だと思っています。これからも新しい挑戦をしていく監督にとって、あなたの支援はかけがえ無いものです。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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