韓国最大のヤクザ・白虎組の長男インジェ(シン・ヒョンジュン)は、美人女性検事ジンギョンと運命的な出会いを果たす。彼女の職業はヤクザの天敵。果たして、白虎組の「家門の危機」をインジェは乗り越えることができるのか…!?

韓国歴代ラブコメディー興行成績歴代1位を打ち立てて話題となった『家門の危機』。
主人公インジェを演じるシン・ヒョンジュンは、ドラマ「天国の階段」や「輪舞曲-ロンド-」で見せたクールな男とは全く違った新たな魅力で、観客の心を鷲づかみにすること間違いなし!

今作のプロモーションで来日中のシン・ヒョンジュンさんは、分刻みの超過密スケジュールの中、スタッフにも優しい気遣いを見せる正真正銘のジェントルマン!終始和やかなムードで行われたインタビューの模様を、どうぞお楽しみください!








——シナリオを読んだときの印象は?
私はコメディ映画がとても大好きです。以前、私は悲劇的な、重たいイメージの作品が多かったのですが、いつかはコメディにも出演したいと思っていました。ただ、私は常にその年齢で出来るものは何かを考えています。 コメディというものは年を重ねていっても、その時々でいつでも出来ると考えていますが、以前に撮った作品の役柄は、その時々の自分の年齢に合った役柄だったと思っています。シナリオを読んで、とても気に入りましたし、このチャン・インジェという人物も大きく私のイメージからかけ離れたものではなかったので、出演を決めました。 撮影では、とても親しい俳優さんたちとご一緒できて、現場の雰囲気もとても楽しかったので、それが、そのまま観客のみなさんに伝わるかと思います。

——このシリーズをやっていく上での一番の課題は?
どの映画に臨む際にも、少なからずプレッシャーを感じています。ただ、私はプレッシャーが映画を作る楽しさを崩してはいけないと思っています。もちろん、その映画がどう評価されるのか、観客のみなさんに好きになってもらえるかが気にかかることは確かです。けれども、これは個人的な考えですが、この「家門の危機」のように、素晴らしいチームで一緒に仕事が出来る事、それ自体が私にとってはとても嬉しい思い出となって残っていくものなんです。この映画は、本当に暖かい家族愛が描かれています。現場もまさにスタッフ・キャストが家族のような暖かい雰囲気の中で楽しく撮っていったので、それが「家門の復活」というものに自然とつながっていったと思います。例えば、自分が譲歩してタク・ジェフンさんにシーンを譲るとか、タク・ジェフンさんはまた、自分の出演シーンをポン検事役のコン・ヒョンジンさんに譲るとか、そういうお互い相手を思いやるということが多く見られた、素晴らしい現場でした。

——撮影中の面白いエピソードは?
まず、タク・ジェフンさんは、個人的にも親しいお友達です。共演したのは今回が初めてでしたが、映画の仕事をしながら、本当に仲のいい友達と一緒に仕事が出来るということが、こんなにも幸せだということを感じました。彼自身は既に他の映画の撮影に入っているのですが、こうして親友である彼が、映画界にとって必要な人間になったということ自体、私も非常に嬉しく思っています。
そして、ポン検事の役のコン・ヒョンジンさんですが、彼が『パイラン』という映画に出ているのを見て、すごくいいな、一緒にやりたいなと思っていて、『SSU』という私の映画を撮る時も彼と一緒にやりたくて、クランクインを彼のスケジュールに合わせて少し遅らせました。そういったことがあったので、彼も逆に私に感謝の気持ちをいつも忘れずに持ってくれています。 そんな気心の知れた友人達と一緒に仕事が出来て、本当に今回の現場は、まるで遊び場にいるような楽しい雰囲気でした。
エピソードは非常にたくさんありますが、何よりもコメディ映画は演じている本人達が笑ってはいけないので、その笑いをこらえるのに必死でした。メイキングを見て頂くと分かるんですけれども、俳優達はいつも現場でずっと笑っていたんですよ。コメディ映画は、やっぱりどうしてもアドリブが多いのですが、みんなそれぞれテストの時に出すアドリブと本番の時に出すアドリブがまったく違うものなので、いつ誰が何をするかがわからない、常に緊張していなければいけないという状態だった、それがエピソードと言えると思います。

——この映画を見た時の感想を教えて下さい。
私にとっては今回が本格的なコメディ映画です。初めての試写の時に私も観たのですが、そのときみんなが本当にたくさん笑ってくれていたんです。 いままで私の作品というのはどちらかというとちょっと重たくて悲劇的なものが多かったのですが、そういった人々の反応が私にとってはとても新しい喜びでした。こんな形の幸せもあるんだなと感じることができました。劇場でこの「家門の危機」を見た方が思いっきり笑って、そして、すごく明るい表情で去っていく姿を見て、こういう喜びがあるのならもう一本コメディ映画を撮ってもいいなと感じました。

——お気に入りのシーンや印象に残っているシーンは?
一番思い出深いシーンですが、私とキム・ウォニさんが演じたキム・ジンギョンが、並木道を二人で歩きながら、ちょっとドキドキして手をつなごうか、つなぐまいかと手がちょっと触れ合うシーンがあり、私自身ああいう思いを久しくしていなかったので、楽しみながら撮影に臨みました。 実際に男女が手をつなぐ行為は、暗黙のうちに私達付き合おうかという無言の対話をしているようなことだと思うんですね。だから、気持ち的にもドキドキするし、葛藤で手に汗をかくことがあります。本当に私自身がとても楽しみながら撮れたシーンでした。

——劇中でキスマークをタク・ジェフンさんがされていますが、シン・ヒョンジュンさんがつけたと聞いたのですが?
まず、男性は好きではありません!(笑)。この映画がタク・ジェフンさんの映画初出演作だったので、彼にお祝いをあげるという意味もありましたし、頬にキスマークを付けるのにメイクの女の子がキスをするのもなんなので、じゃあせっかくだから自分が!という感じでキスマークをつけました。 私は普段でも、お酒の席などで男どうしでハグをしたり、冗談で頬にキスをしたりすることはよくあるので、周りから見るとちょっと疑われやすいかもしれませんが、特に大きな意味はありません。

——「家門の危機」で新しい自分の一面を発見されましたか?
実は、この『家門の危機』を撮ることで発見した部分は全く無いんです。なぜなら、この映画のチャン・インジェが私にとても近い人物だからです。ですから、演技する時もとても楽にできました。

——実際にシン・ヒョンジュンさんは好きな人のために何かをあきらめたことがありますか?
私は女性の為に何かを放棄したことはたくさんあります。愛する人が望むのであれば、捨てることが出来ると思います。だから付き合っていくうちにお互いがどんどん似ていくという姿自体、とても美しいことだろうなと思っています。もし、私がこの「家門の危機」のインジェの立場だとしたら、私は組織のボスであり、裏社会の王子と言われる立場にいるけれども、「それを辞めて社会奉仕活動をやって欲しい」と言われたとしたら、それは出来るだろうなと思います。それというのも映画の中で彼女に頼まれることは、組織暴力団から社会奉仕活動という、悪いことから良いことへの転向なので、それならば、自分の職業を捨てることは出来るだろうと思います。ただ、現実の世界で私と誰かが付き合っていて、その女性から映画を捨ててくれと言われたら、私は女性の方をきっと捨てると思います。

——今後はどういったものに挑戦していきたいですか?
私はとても宗教を信じており、映画を3本撮るうちの1本でも、そういった神の大きな愛を伝えられるような作品に参加していきたいなと思っています。そういう意味で、2年近くの準備期間を経て撮影したのが「裸足のギボン」という作品です。この作品で表現しようとしたことは、「人生というものはどんな人であっても神の作った童話のようなものである」という感じのアンデルセンの言葉があるのですが、それを表現したいと思いました。これから先も、私の少しでも成熟した姿をみなさんに見て頂きたいと思いますし、神様の素晴らしいメッセージが込められ、それを観客の方に伝えられるような映画に参加できればと思っています。

執筆者

Miwako NIBE

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