闘うことしか知らない男ダニーが盲目のピアニストと出会った時、ダニーの新しい人生が始まる——。
記憶を奪われ感情を失った孤独な男ダニーをジェット・リーが、ダニーに人間の心を取り戻させる盲目のピアニストをモーガン・フリーマンが演じた『ダニー・ザ・ドッグ』。豪華キャストの競演に加え、脚本にはリュック・ベッソン、武術指導に『マトリックス』のユエン・ウーピンが集結。そして監督を務めたのは、『トランスポーター』でエッジの効いた演出を見せつけたルイ・レテリエ。念願の、観客の心に感動を刻みつけるアクション大作に挑んだ。

$green ☆『ダニー・ザ・ドッグ』は6月25日(土)より丸の内プラゼールほか松竹・東急系にて全国ロードショー$


——以前『トランスポーター』が東京国際映画祭で上映された際、舞台挨拶で監督は「ニホンガダイスキデス!」と日本語で挨拶されていましたね。そんな日本で『ダニー・ザ・ドッグ』が公開される感想を聞かせて下さい。
「とても誇りに思ってますし、日本の方々の反応を見るのを楽しみにしています。日本の方々はとても独特の反応をしてくださいますし、細かいところまでも見てくださいますので、反応を楽しみにしてますし、日本にまた来て、できればこちらで作品を撮影できれば、こんな素晴らしいことはないです」

——監督は『トランスポーター』の後、「より個人的で観客に感動を与えるような作品に取り組みたいと考えていた」とお聞きしました。その理由は? 
「アクションはもちろん監督していて面白いんですが、観客を泣かせたり笑わせたりすることができるようになるまでは、本当の監督といえないと僕は思っていて。こういう観客に感動を与えることができる作品に取り組みたいですね。あと、自分自身がドラマが好きなので、という理由もあります」

——『ダニー・ザ・ドッグ』は監督第2作目ですが、第1作目に取り組んだ時と何
か気持ちや撮影の仕方に違いはありましたか?

「まず、最初の作品は単純に撮っていて面白い、いわゆるアクション映画、エンターテイメント映画でしたが、それは自分の一番やりたかった事じゃなかった。今回の作品ではより感情の深いところまで表現して、監督として自分を試す機会が多かったですね。前回の作品の時は、カメラだとか音楽のことだけを気にしてれば良かったんですけれども、今回は、実際の俳優たちの感情というものにフォーカスしなければいけなかったし。モーガン・フリーマンとかジェット・リーとかの大物俳優を相手にしていたので、監督をしていて間違いは許されない、非常に彼らは要求してくるものもレベルが高かった。何か間違いをすると、取って食われるような厳しさがあるので、やっぱり緊張感はありました。幸い自分は俳優が好きだし、彼らと話したりやりとりするのが好きだったので、そのことは反対に良かったと思っています。今回は、より俳優寄り、俳優の感情にフォーカスした作品でしたし、そういう意味では、自分自身が投影できました。それによりアーティスティックな映画になったとも思います。なのでそういったところを気に入ってもらえたら、アクションのヒット大作よりも僕自身としては嬉しいです」

——脚本を務めたリュック・べッソン氏はあなたの監督デビューのきっかけ
を作った方でもあります。あなたにとって彼はどんな存在ですか?

「リュック・ベッソンは私にとってやはり師匠であるし、若いころからめんどう見てもらって、スターウォーズで言ったら“ジェダイマスター”みたいな存在です。彼自身の性格として非常に謙虚だし、どっか秘密めいたところもあるんだけれども、同時に非常に優れたビジネスマンでもあって。もともとは、あまり裕福ではない家庭の出身なんだけれども、ゼロから自分の帝国というものを築きあげていて、非常に成功している人です。プロデューサーとしても非常に優れていて、作品のどこにお金をかければ、全体の仕上がりがチープにならないか、そういったことの判断も、非常にうまい。一緒に仕事をさせてもらって、今回は非常に自由に仕事させてもらって非常に感謝しています。トランスポーターのときは、どちらかというと彼のイメージを実現するために、彼のためにやったといったところがありましたが、今回は彼と一緒に自分のイメージすることをやらせてくれたというところがあるので、非常に感謝しています。ハリウッドなんかだと大金をかけて無駄なお金を使って実際の作品はたいしたことがないということも往々にしてあるんですけど、リュック・ベッソンはそんなことはなくて。全体を良く観て指導してくれる非常に優れたプロデューサーだと思います」

——本作はジェット・リー初のキスシーンが登場しますね。その時の現場の雰囲気は?また、そのシーンをあえて撮った狙いは何でしょう?
「ジェット・リーにとっては、キスシーンよりも泣くシーンのほうが挑戦だったと思いますね。キスシーンのほうは、ダニーが映画の中で人間性を取り戻すという非常に重要なシーンですが、やりすぎると年齢差もありますし、ちょっと意味合いが変になってしまうので、とにかくジェット・リーが徐々にふれあいによって人間性取り戻す、セクシャルというよりは官能的なシーンにしたかったんです。作品の中では首にキスをするのですが、脚本では口になっていた。それに対してジェット・リーがすごく抵抗を示していて、直前まで具体的にどうするかというのは決まっていなくて。ケリーの方にだけ、口じゃなくて首にキスするということを指示しました。ジェット・リーはその時にはどうなるか分からないという状態だったので、シーンの中で彼がドキドキしてるのは、実際演技ではなく、ジェット・リー自身がどうなるのか分からないというのが出ています。私自身、俳優たちが思いがけないことに反応するのを利用して、いいシーンを撮るというのが好きなので、これはうまくいったパターンですね」

——では最後に日本の観客に向けてメッセージをお願いします。
「日本の皆さんの観客の反応が非常に楽しみです。日本の方は非常に独特な反応をしてくださるので、レビューなども英語でどんどんしてくれたらと思います。意見を聞くのを楽しみにしています」

執筆者

yamamoto

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