1994年に『冬の河童』でロッテルダム国際映画祭の新鋭監督賞を受賞した、風間志織監督の7年ぶりの新作『火星のカノン』が、10月31日(水)、東京国際映画祭 ニッポン・シネマ・ナウ部門出品作として、渋谷ジョイシネマで、ワールドプレミア上映された。

それを記念し同日、風間志織監督と出演の小日向文世、久野真紀子、中村麻美、KEEらが出席し、舞台挨拶と上映後のティーチインが行われた。






■舞台挨拶(10/31)
風間志織(監督)
見てください。以上です(笑)。

中村麻美(聖 役)
とても切なくて美しい、ラブストーリーになっています。ぜひ楽しんでください。

久野真紀子(絹子 役)
絹子は、どこにでもいるような感じの人ではなく、何を考えているのかちょっとわからないところがある人。なんとなく流されているようでありながら、ちゃんと幸せな人で、この映画を最後まで見終わると、いつのまにか「風間ワールド」にいるんじゃないか?という感じになりますね。






■ティーチイン(10/31)
−−−お客さんの反応を見て、いかがでしたか?
風間志織(監督)
いろいろ笑っていただいて良かったと思いました。やっぱり、お客さんがいて初めて映画は完成するものだと思いました。

−−−絹子を演じられてどう思いましたか?
久野真紀子(絹子 役)
実際に収録していたときは、「幸せだなぁ」と思いながらやっていました。私は役になるべく近付こうとして行ったので、絹子の気持ちと自分の気持ちが重なることはなかったです。

−−−撮影現場はいかがでしたか?
小日向文世(公平 役)
監督が「脱いでくれ」と言ったので(笑)、台本には書いてなかったのにとか思いながら、脱ぎました。全裸になるのは勇気がいりましたね、初めての経験で刺激的でした。いろいろな役をやらせてもらって、俳優は幸せだなと思いました。

−−−路上詩人の「真鍋」をどう演じましたか?
KEE(真鍋 役)
何でしょうねー…、役がけっこう自分に近かったんですよ。それでやり易かったです。映画の中の真鍋と自分は似ているところがあります。何回も同じシーンをやって、いきなり壊れたこともありました(笑)、いろいろと勉強になりました。ありがとうございました。

−−−風間監督のもとで演技をして、どう思われましたか?
中村(聖 役)
細かいところまで監督と話して、一緒に作品を作っていけたのがすごく楽しかったです。


−−−アブノーマルな世界での恋愛についてどう思いますか?
小日向
他人に迷惑をかけなければ、恋愛はいいんじゃないかと思います。

久野
今回も、不倫やレズがネタになっていますが、様々な恋愛や裏の意味が描かれていて、それはそれでいいと思います。でも、今回の役は近付くのに時間がかかりましたね。

KEE
その人どうしがよければ、いいと思います。はい。僕は女の子が大好きですが(笑)。

中村
聖は、好きになった人がたまたま女性だっただけですね。私も、すれ違う女性に「綺麗だな」とか思ったり、男性に「かっこいいな」とか思うことがあるので、そういうところから始まる恋愛もありだと思います。

#−−−風間監督の演出はどのようなものでしたか?
中村
言葉はシンプルなんですけど、求められていることはすごく奥が深くて、胸にナイフが突き刺されるようでドキドキしますね。とにかくテイク数は多いです。体力と精神力が必要な現場でした。

KEE
すごい「こだわり」の監督でした。どこが違うんだろう?というところも、「ちょっとそこを変えて」とか言われて、自分では気がつかないところまでこだわられていました。やっていくうちに、意味がわからなくなるんですよ(笑)。で、ナーバスになって、わからないうちに壊れたんですね。

小日向
監督は現場で台本を微妙に変更したりして、僕も納得のいかないところはその場で話し合いました。とにかくテイク数が多くて、テイク20まであるシーンもありました。監督からOKが出ればいいんだろうと続けました。根競べでしたね。

久野
鋭いんだと思うんです。撮影中、監督はあの目でジーっとこちらを見ていて、終わって何がダメだったのか私たちはわからないんですけど、一人づつ呼ばれていくんです。とても微妙なところでダメ出しが出るので…。逆に1テイクでOKが出ると、「本当に大丈夫なのか?」とこっちが心配になったりもしました(笑)。

執筆者

TAISUKE SAITOU

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