ヴェネチア映画祭でも絶賛!国際派“レジスター”OKUDA誕生 『少女〜AN ADOLESCENT〜』初日舞台挨拶
俳優である奥田瑛ニさんが、企画・製作・主演を兼ね念願の初メガフォンを取った作品『少女〜AN ADOLESCENT〜』が、大阪での22日からの公開に続き、29日より渋谷のイメージ・フォーラムでの上映がはじまった。16年前に映画化権を取得したという原作を、3年前から初の監督作品として企画を進めてきた渾身の企画で、先頃開催された第58回ヴェネチア映画祭「国際批評家週間」では、特別追加上映を含め7回の上映が行われるなど高い人気と評価を受け、今後も海外で7つ以上の映画祭から招聘を受けているという。
29日の初回上映終了後、上映劇場のシアターイメージフォーラムでは、奥田監督をはじめ“少女”陽子役でスクリーン・デビューを飾った小沢まゆさん、陽子の兄・助政役で格闘家の小路晃さん、売春組織の元締め役の濱本康輔さんが来場し、舞台挨拶が行われた。
ヴェネチア映画祭では、ウディ・アレン監督の新作と共に映画祭では10年ぶりの特別追加上映が行われたという『少女〜AN ADOLESCENT〜』。「最早、国際監督だね」と笑う奥田瑛ニ監督が、司会を兼ねて舞台挨拶はスタートした。
ヴェネチアでの姿を評して「女神扱いだったよ」と奥田監督が紹介したのは、ヒロイン役でデビューした小沢まゆさん。この日はまばゆい白のチャイナ・ドレス姿で登場し、「撮影が終わってから1年以上、今日この日を待ち続けていました。観に来てくださって、ありがとうございます。132分とちょっと長い映画ですが(ここで監督からの教育的指導発言あり−笑−)、長さを全然感じさせない映画ですので、最後まで観てください」と挨拶、全てが初めての撮影の中で、がむしゃらにやったと撮影を振返った。
「この役に相応しい役者が見つかるかどうかで、この映画は決まる」と奥田監督に言わしめた陽子の兄・助政役を、そんな監督の期待に応えて好演したのは、格闘家を本業とする小路晃さん。「映画に出るのは初めてで、多分これが最初で最後だと思います。全く違う世界が観れて楽しかったです。映画を観て、僕もちょっと泣きました。ゆっくり楽しんでいってください。」。
売春組織の元締め役の濱本康輔さんも、初めてのヴェネチアでは注目を集め、道行くファンやマスコミ陣から、握手やサイン、そしてインタビューを沢山うけ、勇気をもらってきたそうだ。「この作品で、僕の人生に追い風が吹き変ろうとしているのを感じます。こういう素敵な作品に出遭えたこと、皆さんの前でこうして話せていることは、全て奥田監督との出逢いからはじまったものです。人間を深く見据え、追い求めた映画です。感動してください」。
舞台挨拶のシメは、前日には自ら渋谷の街で作品の看板を持ち、チラシを配るなど、作品のために出来ること全てに、エネルギーを注ぎ活動している奥田監督だ。「映画はつまらなかったらつまらなかったと言ってください。良かったら、良かった、観に行ってやってよと言っていただければとても嬉しく思います。メジャーのように拡大公開とはいきませんが、これから全国順次公開で5・60館では公開したいと思います。何かを感じていただけたら、伝えていただければ幸甚に思います」。既に、監督としての次回作も来年の9・10月の撮影が決定し、今後も監督としてまた俳優としての活躍が期待されるが、まずはこの硬質な大人のための恋愛ファンタジーを堪能して欲しい。
なお、『少女〜AN ADOLESCENT〜』大阪OS劇場CAP、渋谷シアターイメージフォーラムにて絶賛ロードショー公開中。今後も、川崎・名古屋などをはじめ、全国各地での順次公開が予定されている。
執筆者
宮田晴夫