現在日曜の朝テレビ朝日系で好評放映中の2大特撮テレビ・シリーズ『仮面ライダーアギト』と『百獣戦隊ガオレンジャー』が、完全オリジナル新作映画として完成した。劇場版『仮面ライダーアギト PROJECT G4』と劇場版『百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』は、東映の50周年記念作品でもあり、その充実したドラマとスケール感、そして優れた特殊効果はこれまでの東映特撮ドラマ映画版の中でも、段違いと評判だ。この2作の完成披露試写会が、9月13日に丸の内東映で開催された。
 雲がかかり時折雨がぱらつく生憎の空模様であったにもかかわらず、劇場正面には昼過ぎくらいから熱心なファンが列を作り始め、開場前には雨を避けて東映本社ビル内に並んだ観客の列は、ビルの最上階に達するほど。全体の客層は、年配の方から親子連・学生風とかなり広めだが、やはり学生から若いお母さん層くらいの女性の姿が目立ち、フレッシュなキャストの人気の高さが伺われる。
 開場時間になり席へと向かう観客の皆さんだったが、その行く手を塞ぐ何体もの怪しい人影。なんと、劇場内は新作映画版『アギト』に登場するアント・タイプの“アンノウン”に占拠されていたのだった。しっかり、クイーン・タイプもいる。観やすい席にどっかと腰掛け、通路を行き過ぎようとする人々を妨害しようとする“アンノウン”たちに、多くのファンは大喜びだけど、中にはそのド迫力で精巧なスーツに、泣き出す子供たちの声もそこここから。小さな子供たちには気の毒だったかも知れないけれど、なんとも微笑ましい空気に満たされる場内。驚かされた後、2ショットで写真を撮る若い女性や、恐る恐る“アンノウン”に近づいて、ポーズを取る少年たち…きっといい思い出になった思う。そして観客の中には、警視庁未確認生物対策班の制服をはじめ、すっかりキャラクターになりきったコスプレ少女たちの姿も目に付いた。なお、その頃、ヒーロー達はどうしていたかというと、こちらはこちらで忙しく入り口で観客を出迎えていたようだ。そして、いよいよ開演時間を迎え、舞台にはスペシャル・ゲストを含む多数のゲストが次々と登場し、舞台挨拶が行われた。











まず舞台に登場したのは劇場版『百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』の諸田監督と、ガオレンジャーの6人の面々。監督やメンバー同士で突っ込みを入れながら、流石にチームワークのよさが感じられる。それぞれのコメントを、ここで紹介しよう。

諸田敏監督——今日は雨の中、長い時間をかけて来て下さったいっぱいいると思います。感謝してます。でも、申し訳無いこの映画の長さは28分だけ。すごく短くて、あっという間です。でも、そんな28分を大勢のスタッフ・キャストが一生懸命つくりました。皆さんも、一生懸命見てください。お願いします。作品には短いカットがいっぱいあります。瞬きすると、見落としてしまうような連続ですから、28分間瞬きせずに見てください。

金子昇さん(ガオレッド役)——ようやく完成しました。僕たちは昨日初めて観て、すごく面白かったです。まぁ、自分が出てるからなんですけれど(笑)、でも面白いんでびっくりしました。これからご覧になる皆さんに、見所はいいません。頭から最後まであっという間です。楽しみにしてください。

堀江慶さん(ガオイエロー役)——28分あっという間で、普段のTVとは全然スケールが違い面白いです。個人的には魁人役の大沢樹生さんと一番よく絡んで、男の友情というのをまかされた感じでした。普段のTVではお笑いばかりですが、映画に関しては普段に戻ってるんです。あと、音が物凄くいいので堪能してください。

柴木丈瑠さん(ガオブルー役)——昨日から熱を出して、朝は39度くらいあったのを、解熱剤を飲んでがんばっています。映画の見所はゲストとの駆け引き・やり取りといったところで、本当に刺激的でした。そういった所を、観てください。

酒井一圭さん(ガオブラック役)——この会場に来た方は、『アギト』『ガオレンジャー』それぞれのファンに別れ、それもどちらかというと『アギト』の方が多いと思うので、なんとか『アギト』を食ってやろうという思いも含みつつ、ガオメンバーが集まっている感じです。映画の冒頭で、テトムが皆に呼びかける場面がありますので、思い切って応えてもらえればと思います。

竹内実生さん(ガオホワイト役)——私は製作発表会に出席した際に、「今までとは違うガオレンジャーを出していけるように、頑張ります」と言って、実際頑張りました。一応、皆のいつもと違うところや、ゲストの大沢さん、佐藤康江さんらの力を貸していただき、新しい風を吹き込めたと思いますので楽しんでください。

玉山鉄二さん(ガオシルバー役)——今回パンフに写真が写っていないので、シルバーは出ているのかと疑問をいだかれたかと思いますが、沢山出ています。撮影では、金子さん、佐藤さんとからむシーンが多かったのですが、TVと違って熱血っぽいシルバーが観れると思います。

ガオレンジャー・チームの面々は、最後に監督を中心にして全体で「やる気満万だぜ!」と会場全体に響く掛け声をかけ、『アギト』の一行へとバトンタッチ。
















入れ替わって舞台に登場したのは、劇場版『仮面ライダーアギト PROJECT G4』面々。田崎監督を筆頭に、フレッシュな仮面ライダーを演じる4人と、2人のヒロインが舞台挨拶を行った。

田崎竜太監督——今日の映画は撮影日数が30日を越える長丁場、真夏の暑い日々をスタッフ一丸となって頑張りました。僕にとっては毎日が、仮面ライダーとは?ヒーローとは?アギト、ギルス、G3−Xがいつもまわりに渦巻いている日々で、今考えると幸せな日々だったと思います。そういった30日の思いが、70分にギュッと濃縮された作品になっていると思います。

賀集利樹さん(津上翔一<アギト>役)——毎回映画の見所はということを訊かれますが、未だ観てないので判りません。それで、一つ観て感じてもらいたいものはあります。スペシャル・ゲストとして藤岡弘さんが出てくれていますが、僕と藤岡さんが話すシーンでは、役柄上のもの、初代仮面ライダーから16代へのものなど様々なメッセージがこめられていて、僕的には色々と印象に残るものでした。

要潤さん(氷川誠<G3−X>役)——よく取材で映画とTVの違いを訊かれますが、僕にはその答えはよく判りませんでしたが、今ここにたって「これか」と思いました。一つの作品を皆で受け入れてもらえる形があるのが、映画の素晴らしい所だと思います。今、ここに立ってられるのも、作品に自信があり、皆に最後まで観てもらいたいという気持ちがあるからです。

友井雄亮さん(葦原涼<ギルス>役)——今日は緊張してまして、自分が何を言ったらいいか判らなくて…。ただ、この70分を瞬きもしないで観ていただきたいと思います。

唐渡亮さん(水城史朗<G4>役)——僕は劇場版にしか出ていないわけですが、沢山来ていただいてありがとうございます。クランクアップしてから1ヶ月以上経っているので、G4という役を、氷川という人間と熱く生きている人間同士が、これからどう人生を送っていくかというヒューマニズム的なところを、大切にあたためて芝居をやったつもりです。そこが伝わると嬉しいです。

藤田瞳子さん(小沢澄子役)——今回の映画では、今までTVでは観られなかった小沢澄子が観られると思います。深海理沙さんと、普段とは比べ物にならないくらい激しい口論のバトルがあるんですが、そこではカッコイイ小沢さんが観れると思います…多分。私も今日がはじめてですが、皆さんが今日見終わってから何度も足を運んでくれると嬉しいです。

秋山茉奈さん(風谷真魚役)——初めての映画で、撮影とか凄く楽しく、どんな風に出来上がっているか凄く楽しみです。劇中でピアノを弾いてますが、撮影が忙しく練習する暇が無くて、夜中に弾いて近所の顰蹙をかっちゃいましたが一生懸命やりました。それと、私が拉致されるESPBOXは眩暈がするほど暑かったんですが頑張りました。TVと違った真魚を観てください。

若手監督と出演者による挨拶が終わったところで、この日のスペシャル・ゲストが紹介される。“レッツゴー!!ライダーキック”の調べが流れる客席を、ゆっくりと歩いて舞台に上がったのは、初代仮面ライダーとして絶大なる人気を誇った藤岡弘さんだ。場内からは、若いお父さん層を中心にどよめきと歓声が巻き起こっている。今回、警視総監役で出演した藤岡さんは、満面の笑みをたたえながら、訴えるのは勿論愛と正義だ!

藤岡弘さん(警視総監役)——仮面ライダー1号・本郷猛こと藤岡弘です。1号を演じてから30年、未だ続いている仮面ライダーに胸が熱くなります。30年ぶり…ってわけでもないんだけれど、警視総監役ということで出演させてもらって、皆さんと演ったときぐっと熱いものを感じました。なんか、今また世界でショッカーが暴れてまくっているようだけど、若い皆さんから新しい仮面ライダーが育って、夢を託していく。こう言う時代だからこそ、愛と正義と勇気と未来に希望を持って、子供たちに夢を持ってもらえる今日の映画のような、素晴らしい作品をドンドン観て欲しいと思います。

なお、舞台挨拶の最後には藤岡さんが最初に戦った蜘蛛男と、当時の仮面ライダーも顔を見せるなど、若いファン、オールド・ファンそれぞれに印象深い披露試写会となった。

なお、劇場版『仮面ライダーアギト PROJECT G4』と劇場版『百獣戦隊ガオレンジャー 火の山、吼える』は、9月22日(土)より全国東映系劇場にてロードショー公開される。

執筆者

宮田晴夫

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