監督の片渕須直さん自身が「出来上がった映画を観て励まされた」という良質のアニメーション映画『アリーテ姫』。その完成披露チャリティ試写会が行われた。上映前には片渕監督とアリーテ姫役の声優・桑島法子さんが壇上に上がり、それぞれコメントをして頂いた。常に物事を前向きに考え、自らの力や可能性を見つけ出していく主人公のアリーテ姫。彼女の一言一言が我々の胸の内をチクリと刺し、何かを考えさせられる。また、全編フルCGでありながら、そうは思えない温かい画面も見所の一つである。公開は2001年7月21月(土)から、東京都写真美術館、シネ・リーブル池袋ほか、全国にて行います。








2001年7月17日火曜日、有楽町朝日ホールにて行われたアニメーション映画『アリーテ姫』の完成披露チャリティ試写会。上映前にゲストとして壇上に片渕須直監督とアリーテ姫役の声優・桑島法子さんが上がった。

桑島「去年の5月にアフレコをして、それからずっと公開を楽しみにしていました。難しい役ですが、最初に脚本を読ませて頂いて、なんて深い作品なんだろうと感心し、この役を是非やりたいと思いました。人の多面性、一人の女の子の色々な面などを描いている作品です。そういう部分をアフレコの時に、録音監督とどう演じればいいか話し合いながら行ってきました。だから苦労はしました。でも非常にやり甲斐のある役でした。アリーテ姫はお姫様だけど、特別な存在ではありません。周囲と本人のその辺りのギャップも面白いと思います。彼女は何があっても前向きにがんばる子です。でも彼女のセリフの一言一言が自分に返ってきて、自分の痛い所を突かれるんですよね。」

片渕監督「えー、この作品は妙な経緯で始まった作品でして、初めは自分とプロデューサー2人だけで、喫茶店などで考えていたんです。それが6人増え、更に増えと、最終的には200人くらいの人間が関わる作品となりました。作品が完成して打ち上げの時のことなんですが、関わったスタッフには『中入り』という事で集まってもらいました。お客さんに観てもらって初めて完成になるのですから。ですので、今日観てもらってようやく完成となるわけです。まぁ、自分で言うのも何ですが、不思議な作品でして。だいぶ前に色々あってへこたれる時期がありまして、それがこのできた作品を観て励まされたんです。とにかく映画の中身が全てなので、観た人それぞれ個人で、受け止めて欲しいと思います」

この作品、実はフルCG作品なのだが、見た目でそれはわからない。とても温かい作画で表現されているのである。その辺りも見所の一つと言えよう。

執筆者

永見 憲宏

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