7月18日の午後4時前、渋谷のセンター街に突如300ポンドのゴリラが出現!豹柄の原始人ルックの美女を背負ったまま、道行く人々を掻き分けて、渋谷のHMVに乱入。パニック状態に陥った店内を掌握すると、HMVの猿の惑星化を高らかに宣言した…。
 というわけで、続々公開中の夏の大作郡の中でも中盤戦の超目玉作品として注目を集める『猿の惑星』。前日にティム・バートン監督をはじめキャストの面々による来日記者会見が開催され、20のジャパン・プレミア、21日の先行オールナイトへと、期待が高まるこの作品で、ゴリラのクラル役を演じたケリー・ヒロユキ・タガワさんが、劇中の猿メイクで登場。店内4Fの特設ステージでトークショーを行った。また、トーク終了後には、会場のお客さんのうち4人のラッキーなファンは、タガワ氏とツー・ショット写真を撮るサービスも行われた。









 舞台に登場したタガワ氏、がっしりとした重量感のあるゴリラ姿でありながら、実に軽々とした身のこなしでヒップ・ホップ・ダンスを披露。流石は、マーシャル・アーツの達人。タガワ氏は、『ライジング・サン』のキャンペーン以来8年ぶりの日本とのことだが、生まれは東京の江戸っ子ということで、ご自身の日本語でこの日のトークに臨んだ。
 この作品の撮影期間は5ヶ月間、さらに俳優たちは撮影前に3ヶ月間のエイプ・スクールで猿の動き方を学んだという。「流石に毎日4時間のメイクは大変だったけど、スーツはゴム製だから、以外と動きやすいんだよ」とタガワ氏、その場で猿の動き方のポイントの講義と歩き方の実践を披露する。目前にアップで迫って来るその姿は、表情豊でなおかつまさに生きた類人猿そのものだ。ティム・バートン監督のキャスティングは、猿の動き、目の表情そして毎日4時間のメイクに耐えることができるかということにポイントをおいたものだったそうだが、映画本編も実に期待できそう。ちなみに特殊メイク・アーティストは、アシスタントも含めると多い時には500名くらいが現場で作業をしていたそうだ。
 さて、ファンタスティックな作品を次々と手掛けるバートン監督だが、その撮影現場はどんな感じなのだろう。「彼はとても頭がいい子供だね。ディズニーのアニメーター出身だから、現場でもマンガの話しばかりしていたよ。だから、僕はそういう話しをするよりも、もっぱら木の上から飛び降りて驚かしたりしていたね(笑)」と実に楽しげに語るタガワ氏。まるで遊園地のように楽しい現場だったそうだ。
 ハリウッド映画で、印象的なバイ・プレイヤーとして独自の地位を築いているタガワ氏だが、ハリウッドを目指す人へのアドバイスを求められると「東洋人・黒人・白人に関わらず、ハリウッドに入ることは難しく、また入った後で続けていくことは更に困難だ。本当に情熱を持っていないなら行かない方がいい。」とシビアなもの。それでも最後に、「僕ももうおじいさんになりますが、アメリカに育ちアメリカのことを知っている。日本にもまた来たいし、日本の方にハリウッドのことも教えたい。お互い頑張りましょう。」と、エールを送ってトークショーを終えた。 なお、『猿の惑星』は7月28日より、日劇プラザ他全国東宝洋画系劇場にてロードショー公開、21日には先行オールナイトも開催される。また、HMVでは、7月31日まで全店で猿の惑星スペシャル・グッズが当たるプレゼント・キャンペーンが開催中。本日のイベントが行われたHMV渋谷店では、「HMV渋谷・猿の惑星化計画」と銘打って、劇中で使用された衣装やパネルの展示等が行われているので、映画ファンはこちらも注目だ。

執筆者

宮田晴夫

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