「人間の屑」舞台挨拶 平成のダメ男を熱演、ムラジュンは平成のショーケンか!?
町田康原作の「人間の屑」が仙頭武則プロデュースのもと、このほど映画化!クズ中のクズを演じるは村上淳とあいなりました。3月31日の初日にはシネマスクエアとうきゅうにて舞台挨拶。中嶋竹彦監督いわく「映画の中のクズは決して平均的なクズではありません。(そんなクズを演じた)ムラジュンに感謝します」。数日前まで春めいていたのに、この日は凍てつき、雪が降り。「道が渋滞してるなか、ここまで来たんですけど・・・。僕だったらこんな日に外、出ないよなって。(自分が)思ってた50倍以上の人が来てくれていて・・・嬉しい」と、ぼそぼそと語るムラジュンでした。
アシッド持ち逃げに始まり、おなごの家に転がりこみ、ヤリ逃げならぬ作り逃げ、果てはSMうどん経営までーー。本作は平成のダメ男が繰りなすドロップアウトムービーだ。初日挨拶には仙頭プロデューサー、中嶋監督、ムラジュン以外女ばかりのキャストが檀上にあがった。夏生ゆうなは「こんなに汚い言葉を使ったのは生まれて初めて」。劇中の彼女は怖い。本当に怖い。かわいこちゃんOLがクズと出会い、”チンタラチンタラ餃子屋なんかやってんじゃねーよ”と暴言を飛ばし、果ては恐怖のストーカーになってしまう。”うふっ”を連発し、親友のはずなのにクズを寝取ってしまうミオ役を演じたのは佐伯日菜子。「日本にカッコいいクズがどんどん増えればいいなぁ」と前向きな挨拶をするのだった。
「村上さん以外、女ばかりの作品です。彼を屑したのは他でもない女たちだったということで・・・」(岸田今日子)、試写を観たとき、ムラジュンが若き日のショーケンに見えたとリップサービスまで。“○○に似てる〜”といわれるのを普段は嫌うムラジュンだが、これを怒ることはできますまい。「いや、嬉しいです」と緊張気味に答えるのでした。クズ男の母親を演じたのは鰐淵晴子。「初めて関西弁喋ったので心配だったんですね。監督に相談すると、”まったりした関西弁が欲しいからいいんですよ”って」。
「人間の屑」はJ・MOVIE・WARSの第5弾。「クランクアップして1年、原作権買って2年、企画が立ち上がって3年、村上さんと出会ったのが9年前。映画ってこれくらい掛かるんですよね」、感慨深げにつぶやく仙頭プロデューサーだった。
執筆者
寺島まりこ