『藍色夏恋』アジア一さわやかな主演コンビが、10代のピュアな気持ちを届ける
こんな清々しい映画ってない!
この映画を見てそう思わない人はいないんじゃないだろうか。
多感な17歳の淡くて複雑な恋の思いと、それとは対照的にまっすぐな恋の思いとやるせなさをリアルに描ききった『藍色夏恋』。
その主演コンビ、チェン・ボーリンとグイ・ルンメイのふたりが、本作の一般公開を記念して約9ヶ月ぶりのツーショットで来日し、ネット媒体共同インタビューに応じた。
撮影終了から2年。ちょっとワイルドさが加わったチェン・ボーリンは、将来を嘱望される若手俳優として注目を浴びる存在になり、髪が伸びて女らしさも感じさせるようになったグイ・ルンメイはフランス語を学ぶ大学生活中心と、当時とはまったく違った日常を過ごしている。そんなふたりだが、相変わらずさわやかで、取材の席では相手の答えに隣で相槌を打ったり、フォローしたり、息の合ったところを見せていた。
インタビューでは、映画のことももちろんだが、ふたりの素顔に迫る質問も続出。では、19歳のふたりの姿をごらんあれ。
$BLUE ●『藍色夏恋』はシャンテシネにて上映中$
$NAVY ——おふたりが台北市内でスカウトされたときのことを教えてください。映画出演の決め手になったのは?$
ルンメイ「台北の西門町で遊んでいて帰るときに、助監督から声をかけられました。名刺をもらって、少しビデオ撮影をして、それを後で監督に見せたみたいです。一週間くらいして電話が来て、面接に呼ばれて監督とお話をして、その後3・4回のカメラテストと他の女の子と一緒に演技みたいなことをして、その後、映画出演ということでレッスンに入りました。どうして映画に出ようと思ったかというと、スターになるとか映画をやりたいとかいうんじゃなくて、いつもとは違った17歳の夏休みを過ごしてみたかったからです」
ボーリン「僕も西門町で声をかけられたんだけど、そのときは試験前で、親には「図書館で勉強する」と嘘をついて遊んでいたので、親にバレたらどうしようって。やりたい気持ちと困るなぁという気持ちの板ばさみでした。僕は、映画に興味があって面白そうだなと思って出ることにしたんです。いろいろ深く考えてはいませんでした
$NAVY ——役作りのために、ふだんの生活のなかで心掛けたことはありましたか?$
ボーリン「ありました。毎朝水泳のレッスンがあったし、監督からはっきり大きな声で話すように言われたので、ふだんでもなるべく大きな声で話すように気をつけました。それと、シーハオが単純な男の子だったので、自分も単純になりきるように努力しました。シーハオが自分自身を変えてくれたところもあります。僕はもともとは恥ずかしがりやなんだけど、映画を通してシーハオみたいに話せる人間に変われました」
ルンメイ「私は、自転車の二人乗りをしなきゃいけないシーンが多かったんです。二人乗りができないので、(撮影前の)レッスン期間中はスタッフと二人乗りの訓練をしたりしていました」
$NAVY ——チェン・ボーリンさんにお聴きしたいんですけど、映画の中でシーハオは「さそり座O型ギタークラブ所属」と何回も言っていたと思うんですけど、そのさそり座O型の性格に近づくために心掛けたことはありますか?$
ボーリン「ある、ある、ある。まずそのセリフ、すごく早口で言わなければいけないので、それについては何回も何回も練習しました。で、O型のさそり座というのは、監督の星座と血液型なんです。だから、てきぱきとしたところとか監督を見て近づくようにしました」
$NAVY ——グイ・ルンメイさんは、シーハオのようなアプローチのされ方には個人的に心が動きますか?」$
ルンメイ「実際にああいう男性に会ったら、私はまったく受け付けないわ(笑)。あんなふうに言われてもぜんぜんダメよね。それに、早口過ぎて聞き取れない」
$NAVY ——では、チェン・ボーリンさんはシーハオみたいに好きな女の子に積極的にぶつかっていくタイプですか?$
ボーリン「違う。あまり行動は起こさないで、遠くから見ているほうです」
$NAVY ——それでいいんですか?$
ボーリン「よくないよね。友達に橋渡しを頼みます」
$NAVY ——撮影時のエピソードをうかがえますか?$
ボーリン「僕は、ふたりがケンカするシーンが難しかった。臨場感も必要だけど、彼女が怪我をしてしまうのではないかと思ったので、その加減が難しかったです」
ルンメイ「私もその体育館のシーンはとても印象に残ってます。何回も何回もやって、とても疲れていて精神的にも極限状態になって、OKが出たときには、へなへな〜って状態。足にもアザがたくさんできて……。キスシーンは撮影が始まって間もないころで、本当に知り合って間もない人とキスするので本当に緊張しました」
$NAVY ——おふたりが印象に残ったロケ地はありますか?$
ふたり「公園」
ボーリン「自分の家に近くて、庭みたいな存在の公園だったから」
$NAVY ——台湾でこの映画がヒットして、この1年で変わったことは?$
ルンメイ「それまでは高校生で、毎日平凡な生活を送っていました。映画がヒットして、街で声をかけられたりとか、進学した大学で写真とかサインとか、そういうことで声をかけられることが多くなりました。私自身は一学生で、戸惑いを感じています」
ボーリン「僕の生活は大きく変わりました。いろいろな人が僕のことを知ってくれたし、僕もいろいろな人と知り合うことができました。知り合う人の幅がとても広くなったんですよ。そのことによって、いろいろ知ることができて、人間的にも少し大きくなったかなと思います。また、この映画が各国で上映されることによって外国に行く機会も増えたから、そのことでも見聞が広がりました。本当に生活が変わりました」
$NAVY ——台湾映画は独特のものがあると思いますが、おふたりが個人的に好きな映画のジャンルは?$
ボーリン「最近はいろいろなタイプの映画が撮られるようになって、以前のようなひとつの路線というのではなく選択肢が広がってきていて、その点ではいいと思います。でも、僕は、ふだんはあまり台湾映画を見ないので、好きな映画は答えられません。これ(藍色夏恋)がいちばんです」
ルンメイ「見ることは見るけど、台湾映画のなかで特別というのは……」
ボーリン「映画自体見ることは見るんだけど、特に好きなジャンルというのもないです」
$NAVY ——昨秋の東京国際映画祭と今回の来日で、行った場所や思い出があったら教えてください。$
ボーリン「新宿と渋谷などには行きました。ずっとショッピングをしていて、いろいろものがあって楽しかったです」
$NAVY ——ちなみに、今回はどこに行きたいですか?$
ルンメイ「北海道」
ボーリン「大阪に行きたい。電車で行ったらどのくらいかかるのかな?」
ルンメイ「行ってられないんじゃない?」
$NAVY ——この映画には目をつぶって将来の自分を思い描くシーンがありますね。今、おふたりが思い描く将来の自分——3年後ぐらいで構いませんが——いかがですか?$
ボーリン「3年後は、映画を撮って、このようにまた皆さんとお会いしているのではないかと思います」
ルンメイ「大学3年になると留学試験があるので、それに受かってフランスに留学していたいです」
$NAVY ——チェン・ボーリンさんは、先ほど少し日本語も話してらっしゃいましたが、日本で活動したい希望がおありですか?$
ボーリン「あります」
$NAVY ——一緒にお仕事したい人は?$
ボーリン「浅野忠信さんと広末涼子さん、竹内結子さんです」
$NAVY ——最後に日本の観客に一言ずつメッセージをお願いします。$
ルンメイ「この映画を見て、自分が失ってしまったことを思い出してください」
ボーリン「この映画で自分自身をみつけていただけたらと思います」
執筆者
K.MIKUNI