昨晩、全国で開催された先々ロードショーも、多くのスター・ウォーズ・ファンが駆けつけ大好評。サーガ第1部、第2作にあたる『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』は、全世界での興収が5億ドルを突破し、一般ロードショー公開まで2週間を切って人気はますます加熱を続けている。
 本作の中心人物であるアナキン・スカイウォー力ー役でブレイクしたヘイデン・クリステンセンの来日も記憶に新しい6月24日、この男なくして“サーガ”は存在しなかった、ジョージ・ルーカス監督と、中間3部作の特別篇及び新3部作のプロデュースを務めるリック・マッカラム氏が来日を果たし、新宿パークタワーホールにて来日記者会見が開催された。
 トレードマークともいうべきジーンズにチェックのシャツというフランクな姿で会見に現れたルーカス監督は、今回19才の娘さんと9歳の息子さんを伴っての来日。二人は今回の作品にも顔を出しているとのことで、「いつも現場に来ていたし、彼らが喜ぶならばと思ってね」と語るルーカス監督の姿には、子供の心を忘れないながらしっかりいいお父さんぶりが感じられる。また、製作面での要となるマッカラム氏は、5年間で5度目の来日とのことだが、その成果ともいうべき10スクリーンで行われる完全デジタル上映への期待をアピールしていた姿が印象的だった。

$navy ☆『スター・ウォーズ/エピソード2クローンの攻撃』は、2002年7月13日(土)より日劇1+スカラ座他、全国東宝洋画系にて超拡大ロードショー公開!また、全国10スクリーンでは完全デジタル上映が行われる。$












Q.今回の映画で最も気に入っている場面を教えてください。またこれまでも作品で夢を語りつづけてくれていますが、日本の子供達に何を感じて欲しいですか?
リック・マッカラムプロデューサー——技術的なことから言えば、ヨーダが歩いたり走ったりするだけじゃなくて戦うんだ。実際撮影も大変でチャレンジングだったけど、一番やってよかったと思えるシーンだね。
『エピソード2』を観た子供達には、悪いことをすれば報いが来るということを理解してもらえればと思うし、シリーズ全作を通して出てくるその報いの明確なスタート地点だね。
ジョージ・ルーカス監督——私が楽しかったのは調査に赴いたオビ=ワンが、食堂で古い友人である料理人と会う場面だ。あそこは、『アメリカン・グラフィティ』の頃の自分が蘇ってくるようだったね。
若い方に伝えたいのは、自分の中に湧き上がってくる怒りとか、人に復讐したいとか、権力を得たいとか、そういう欲望は抑えなければならないということだ。

Q.24Pカメラの導入などもされていますが、今作の製作において最もチャレンジングだった部分をお話ください。
ルーカス監督——ソニーの24Pカメラ導入は思ったほどには難しいことは無く、スムーズに行きました。むしろチャレンジだったのは、デジタルでヨーダを作るということだね。観客の方が覚えている『帝国の逆襲』の記憶に沿った形でデジタル化することが大変だったよ。
マッカラムP—僕にとってのチャレンジは、ジョージの言うことについていくということだ。毎日のように新しいシーン、新しいキャラを考え出しゆっくり眠ってる暇も無いんだ。起きたら、また新しいことを言われるんじゃないかってね(笑)。

Q.世界中の人々から世代を超えて愛され続けるのはどうしてでしょうか。また、25年間作品を作りつづける原動力はなんでしょうか?
ルーカス監督——『スター・ウォーズ』というシリーズのモチーフが、世界で何千年にも渡って生きてきた神話に基づいている点だろうね。昔々、焚き火を囲んで話されたような神話の要素、現代にも息づいているその精神が皆を感動させポピュラリティを得ていると思う。
それと僕はこのシリーズをずっと作ってきたが、途中には休暇も取っているしノン・ストップだったという訳ではないよ。情熱の源と問われれば、それは作品の主題に愛着があることと、物語を語ることに情熱を持つ人間だからだろうね。

Q.アナキン・スカイウォーカー役にヘイデン・クリステンセンを起用したポイントは?
ルーカス監督——何百人もの若い俳優にオーディションをしたが、我々が求めていたのは才能があり技量的にもよいアクターであるということ。その点をヘイデンは勿論持っていたし、彼は少年っぽい内面を持っているかと思うと、ダークな鬱憤を垣間見せる一面も持っている。それは、今後の展開にも重要なものなので彼を起用したんだ。

Q.24Pカメラ開発の経緯を教えてください。
マッカラムP—我々は常に技術の発展を念頭に置きつつ映画を作り、特撮、音響効果、編集などを全てデジタルでやってきたが、その過程で撮影と上映だけはデジタル化はしてなかった。今回我々は撮影から映写に至るまでの“デジタル・チェーン”を完成させたいと思ったんだ。そして24Pカメラによってジョージは全ての自由を得た。この映画には2200のショットがあり、全て何らかの形でデジタル処理がされているが、撮影は楽になっている。また、撮影したそのままで観客に観ていただきたいという思いを実行するには、デジタル映写が必要だったんだ。













Q.『エピソード1』製作時には、『1』『2』『3』まで製作し『7』以降は製作しないということでしたが、その後考えに変化はありませんか?
ルーカス監督——『スター・ウォーズ』以外の作品もやりたくてしょうがなくうずうずしてるので(笑)、『7』以降というのは有り得ないよ。

Q.最初の作品の頃に比べれば映像表現の可能性に関して大幅に変わってきていると思いますが、その点に関してご本人で変わられた部分はありますか?
ルーカス監督——中間3部作は、当時の映像技術で描けるという部分の中で話を作っていたんだ。です・スターとか宇宙船の中とかね。だから今のシリーズ程には、あちらこちらに舞台を移すわけにもいかなかったし、ヨーダが戦うなんてことは避けていたんだ。無理なものは作らないって感じで、作る順番を考えてきたんだよ。

Q.今回ボバ・フェットが登場しましたが、次回作ではレイアやルークは勿論として、ハンやチューイは出てくるのでしょうか?
ルーカス監督——次で思いっきり若いルークは見られるけど、チューイやハンに関しては可能性はあるけれど、今は何とも言えないね。

Q.『エピソード1』がDVD化された時に、これは進化というべきかも知れませんが劇場公開版と変わってましたが、今作や旧作のDVD化に当たっても同様の可能性はあるのでしょうか?
ルーカス監督——デジタルの部分で変化がでて来る。デジタル作業は時間がかかるので、劇場公開時以降によりクォリティの高いものが完成することが多いので、それがDVDに収録されるとは言えると思う。過去の作品は、フィルムからデジタルへの変換においてよくなるというレベルではあると思うよ。

Q.次回作以降アジア系の俳優を使う予定はありませんか?
ルーカス監督——具体的には名前は挙げませんが、今作でもジェダイのメンバー役でアジア系の方も何人か含まれているし、アジア系の方を起用する意図もある。後はその作品で、そうしたパートがいくつあるかということだね。
マッカラムP—

Q.お二人は長いつきあいとのことですが、それぞれお互いをどう思われますか?
ルーカス監督——私は昼時働き、彼は夜働くので普段あまりあう機会がないんだ(笑)。これだけいい関係が持てるのは、リック何を言ってもやってしまうという能力の高さだね。私のどんな馬鹿げた要求も、やって見せるんだ。
マッカラムP—本当のことは聞きたくないと思うけど…(笑)、二人は色々なことをやるけど、さらにやらなくてはいけないことが出てくるんだ。それが嬉しいね。そしてそれをやる環境を作ってくれるジョージは最高なんだ。

Q.デジタル・ヨーダの後、デジタル・ヒューマンを描く考えはありますか。また、ライティングがひじょうに美しかったのですが、その点についてお聞かせください
ルーカス監督——今回の映画でもデジタルで描いた人間の部分はスタントの部分などで多々あるが、デジタルの役者に演技をさせるというのはまた別問題。演技はやはり生の俳優でなければ出来ないわけで、デジタル・キャラの後ろには必ず生身の俳優がいるんだよ。ヴィジュアルとして作れることと、演技をさせることは区別して考えなくてはいけないんだ。
ライティングに関して言えば、写真的だった映画がデジタル化されたことにより、絵画的な要素が多くなった。それで絵心のある技術者を採用し、ライティングの設計を専門でしてもらったんだ。

執筆者

宮田晴夫

関連記事&リンク

作品紹介