初体験!超大型サイコ系サスペンス・ラブストーリー! 『医者と患者〜Doktor/Kranke』完成披露記者会見&試写会!
静かな住宅街に流れる不穏な空気。警察が人払いをしカバーを覆った一軒の家の庭に散乱する玩具と、フロント部分が地面に刺さり仁王立ち状態になった乗用車。観る者に何が起こったのか全く状況を掴ませないまま、若い男女が集まった近所の明るく挨拶をしながらその場を去っていく「残念だなぁ…ここ結構気に入っていたのに…」。
これは、BSフジが開局1周年記念特別企画として製作したオリジナルハイビジョンドラマ『医者と患者〜Doktor/Kranke』の謎めいたオープニング・シークエンスだ。男は医者の渋沢恭一、そして女は患者の叶さやか。二人の奇妙な同居生活とねじれた恋愛関係、二人の周囲で起こる戦慄の事件とその解決にさやかが持つ不思議な能力を利用しようとする警察。BSハイビジョンという性格を最大限活かし、まさに予想のつかない展開を見せる5話計5時間の連続ドラマとして完成した。
11月8日フジテレビマルチシアターにて、この超大型サイコ系サスペンス・ラブストーリーの完成披露記者会見と第1話の試写会が開催された。当日は、製作関連スタッフと黒澤優さん、榊英雄さん、菊池均也さん、高橋理奈さんらが舞台に立ち、全篇ハイビジョン製作された斬新なドラマに出演した感想を語ってくれた。
THE ROMANCING PLANTSによる作品の主題歌『花のうた』のライブで幕をあけたこの日のイベント、上映前の会見では作品の企画を担当したフジテレビの鈴木氏、作品の特別協賛であり、ドラマ支援サイト“ドラマネー”を運営する伊藤忠商事篠木氏が作品及び製作体制の概要に関して説明を行った。『医者と患者〜Doktor/Kranke』はBSフジ1周年記念作品として、昨年の春から企画がスタートしたもので、制作には『世にも奇妙な物語』などの人気作を手がけた共同テレビの井口喜一氏が参加、BSというメディアの特性及びその視聴者層をターゲットに二転三転する展開、ちょっとカルトでちょっとマニアック、誰も見たことの無いドラマを目指した。鈴木氏はかってやはり斬新なテイストの深夜ドラマ『ナイトヘッド』を手がけており、「10年前『ナイトヘッド』は口コミで広がって映画化されるまでにいたったが、この作品でも10年前にはなかったインターネットなどを武器に一気にブレイクさせ、最終的には映画化を目指したい」と意欲的な構想を語った。また、篠木氏も、「BSでの放映以降、CSのペイ・パー・ビュー、ビデオ展開など、それぞれの分野での展開と連動を最初から念頭においたプロジェクト」であること、そして支援サイト・ドラマネーの役割等についてを説明した。
そしていよいよ作品の華、キャストの皆さんと製作スタッフが舞台に登場し、挨拶と質疑を行った。
作品のヒロイン・患者の叶さやか役を演じているのは、映画・ドラマ・CMなどの出演が続く黒澤優さん。謎を秘めたさやかの表情は、ドラマの展開ともども観る者の視線を釘付けにすることだろう。難しい患者というキャラクターを今回演じているわけだが、彼女自身は女優デビュー作『ISOLA/多重人格少女』以来、病院にいる役が多いということで、「抵抗無くいつもとおりにやらさせていただきました。見た感じでは伝わりにくいのですが、お風呂の場面はどうしても鼻がの中に水が入ってしまう状況で、大変でした(笑)」と感想と苦心した点をアピールした。
対して、医者の渋沢恭一を演じているのは、『VERSUS』をはじめやはり出演作が立て続けに公開される榊英雄さんだ。今回、患者役の黒澤さんと奇妙な状況下で恋愛関係になる役だが、恋人といったロマンチックな要素を持った役柄は初挑戦だったとか。「これまではサイボーグ役とかが多かったもので(笑)。楽しく演りたいなと思ったんですが、こう見えても結構照れ性なんで、恥ずかしがりながら演ってたところを河野監督にいつも言われながら頑張りました」と、この日もちょっとテレながら受け答えをしていたのが印象的。
二人を追い詰める二人組の刑事の一人菊地健児役を演じているのは、共同テレビ制作の『古畑任三郎』などに出演していた菊池均也さん。岸部一徳さん演じる叩き上げの刑事に対し、バリバリのキャリア組の若い刑事を演じている。「僕自身は、絞ってもキャリアなんて出てこないんですが、笑わず感情を出さない友人がいてそんな感じかなぁと彼をモデルに演じました。本人には言えませんけど(笑)」。次第に豹変していく岸部さん演じる藪谷とのかけあいの部分も、注目して欲しいとのことだ。
渋沢の同僚で元恋人の医師窪塚みゆき役は、高橋理奈さん。本格的なドラマ出演は久しぶりということ。「撮影現場の空気、スタッフ・キャストの人たちと一つのものを作っていく楽しみはいい思い出になりました。私は精神科医の同僚で元恋人というちょっと怪しい感じの役ですが、精神科として、女としての気持ちの揺れ動きを演じさせていただきまして楽しかったです」と撮影現場を振り返った。
本作の脚本は、『ショムニ』をはじめ多くのヒット作を手がけている橋本裕志さん。BSでやるドラマということで、兎に角地上波ではできないものを書こうと思ったそうだ。「楽しんで書いたら、皆さんもノッてくれて本当に楽しい仕事でした」と、かなりの自信が見受けられた。
演出は河野圭太さんと佐藤裕一さんが担当し、この日は河野監督が舞台に立った。「撮影はハードなスケジュールで確かに大変でしたが、初めてのハイビジョン撮影は画角が広く気持ちがよく、何度も撮り直しをしてしまいました。キャストの皆さんは、文句も言わず付き合ってくれまして、その頑張りは絵に出ていると思います」と、こちらもかなり手応えのある作品になったようだ。
記者会見の質疑では、ハイビジョン撮影と通常撮影での演じる上で違っていた点などについての質疑が行われた。「普通のドラマだとカメラを何台も回す所を、1カメで1シーンをじっくり撮りやり易かった」(黒澤さん)、「僕はこれまでもあまりマルチ・カメラの仕事をしてないので、あまり意識せず演じました」(榊さん)、「画面が鮮明な分、女性は特に疲れなどが出てしまうので気を使いました」(高橋さん)、「セットの隅々まで映ってしまうので、細かいところまでスタッフさんが頑張っていました」(菊地さん)などなど、そうした点はぜひともBSフジでのオンエア時に、皆さんでチェックして欲しい。
なお、『医者と患者〜Doktor/Kranke』は11月24日(土)27時55分からフジテレビにて特別篇が先行特別放映され、その後12月2日(日)20時から5夜連続放映される予定だ。
執筆者
宮田晴夫