「山椒は小粒でもピリッと辛い」の古事ではないが、長編大作にも勝るとも劣らない刺激と興奮を漲らせた多様な6本の短編映画を一挙に上映する『short6 シネクイント・ショートフィルムズvol.1』が11月17日から、渋谷シネクインとにて開催される。スウェーデン、ドイツ、アメリカ、カナダと国籍も様々なら、実写、人形アニメ、CG作品と表現方法に作品内容・ジャンルともヴァラエティに富んだ6本で、いずれも各国の映画祭やネット配信で高い評判を呼んだ逸品ばかりだ。
10月12日の夜、この作品のスペシャル・プレミア上映が、渋谷シネクイントにて開催された。この日は本編の上映に先駆けて、この上映の予告編として宇川直宏氏、中原昌也氏、伊勢谷友介氏という3人のクリエイターが製作した1人1分間のオリジナル・ショートフィルムがDLPによりスペシャル上映されたほか、伊勢谷友介氏と中原昌也氏が来場し、舞台挨拶も行われた。その模様を紹介しよう。










『short6』予告編及びオリジナル・ショートフィルムの上映が終わると、舞台には伊勢谷友介氏と中原昌也氏が登場し、まずは一言づつ挨拶を行った。なおもう一人のクリエイターである宇川直宏氏は、スケジュールの都合でこの日は出席できなかったが、司会の方によってメッセージが紹介された。
伊勢谷氏の撮った作品は、“死”と“生”というヘヴィなテーマを、爽やかに仕上げたものだ。「最初は、ラブシーンばかりのものを考えていたんですけど、戦争があったりで僕の中でそういうのじゃない何かをった」。長い物語を考えてしまったので、どのように削っていくかに苦労されたとのこと。
一方「抽象的なものはやるまいと思っていたんですが、結局そういうものをやるしかなかったという…」と語った中原氏、その作品にも今回のテロの余波がもっと実際的な形で影響を落としている。今回、中原氏はフィルムで撮影を行ったのだが、その現像を行う海外のラボからテロの余波で現像が期日までに間に合わないと連絡を受け、急遽ビデオで再度撮影しなおしいざ編集…という時に、ちゃっかりフィルムが届いたそうだ。「意味なくお金を使ってしまって(苦笑)」と、製作を振返り自作には厳しい発言をしていた中原氏だが、それでも音楽などまで全て一人で行った拘りが伝わってくるショート・フィルムだ。
今回、実際に作品を撮ったお2人にとって、ショート・フィルムの魅力と、今回に上映作品中の一押し作品はそれぞれ、「飽きる前に終わる。その前に何かを伝えられ、感じてもらえれば成功です。上映作品では『四つの部屋と六人の打楽器奏者のための音楽』が特に面白かった」(伊勢谷氏)「面白いかつまらないか、判る前に終わる…と思ってたけど、(僕の)つまんないですね(苦笑)。おすすめは、デビッド・クローネンバーグ監督の…と言いたいところだけれど、『WAVE TWISTERS』です」(中原氏)とのこと。さて、これを読んでいる皆さんも、どの作品とビビッと波長があうか、是非劇場で確かめてみよう。
「こういう遊べる企画が、もっとあるといいですね」(伊勢谷氏)、「僕は無駄に予算を使っちゃいましたが、ショート・フィルムは期間さえあれば、それ程予算をかけずに創れると思いますので、皆さんも作ってみてください」(中原氏)と、ショート・フィルムという作品形態の楽しみ方について、それぞれからメッセージが語られ舞台挨拶は終了した。

なお、『short6 シネクイント・ショートフィルムズvol.1』は11月17日から、渋谷シネクインにてレイトロードショー!

執筆者

宮田晴夫

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