日本アニメーションの最先端を牽引する最高のスタッフが集結、七年もの歳月を掛け『ももへの手紙』が完成。
海外の映画祭でお披露目され、最近では第14回フューチャーフィルム映画祭で最高賞のプラチナグランプリを受賞。
海外で高く評価され、注目されている『ももへの手紙』。最新作を完成させた沖浦啓之監督に聞いてみた。

$red −−前作の『人狼 JIN-ROH』から10年、『ももへの手紙』を製作する上で、注意したポイントは? $
製作する上で、特に新しいことをしようとしたわけではないのですが、気をつけた点としては、『人狼 JIN-ROH』でも人の肌合い、生きている人を描きたいという思いがあったのですが、本作でも人の動き、セリフなど、あたかも実際に存在している人のようであってほしいなぁと思って作りました。




−−妖怪と主人公ももとの関係の作り方について注意した点は?
妖怪だけは、濃いキャラクターの設定で、動きなどのディテール1つ1つにこだわってみました。決してキャラクターが媚をうらない。また、ももと妖怪の関係でも、ももは、人間としての道徳や価値観で生きており、妖怪は何百年も生きてきた自分達なりの価値観がある。それぞれが思いは交差するけど、決して仲良くはしていないというか、意志が簡単には、通じ合わないような部分などの演出は注意しました。

ーーこの映画を制作する上での監督の思いなどはありますか?
作品のテイストとしては、コミカルなものにしたいと思いました。その中で、亡くなった父と、母と娘をどのようにつながっていくのかを考えた時に、お仏壇で手を合したり、亡くなった人がなんとなく存在しているような感覚の演出や視点。がんばっている母や娘をどこかでで父が見守ってくれているような感覚、上から見ていると言うか、生きている者を見守るようなそういう視点があるような気がします。この思いを絵にするというよりは、映画を見終わった時に、感覚として人に伝えることができればなぁと考えて作りました。

−−今後はどんなものを作ってみたいですか?
見た後に爽やかな気持ちになれる、明るい内容のものを作っていきたいですね。そう簡単に題材があるわけではないですが、まずは、この作品を多くの人に見てもらってからですね。

−−映画を見られる方々へメッセージをお願いします。
小さな子供たちが見ても喜んでもらえたり、楽しめる作品に仕上がっていると思います。感動作と思うよりは、コメディタッチの作品なので気楽に見て欲しいと思います。
 
 

 
 
 

執筆者

Yasuhiro Togawa

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=49214