ヒーロー映画中で、異彩を放つウィル・スミスの主演最新作『ハンコック』。やりすぎ!飛びすぎ!投げすぎ!のすべてが“TOO MUCH”な、超規格外、常識外、そしてケタ違いのパワーのスーパーヒーローなのだ。

地球にたった一人、何千年も生きている、人間の姿をした<存在>。不死身の体で空を飛び、いやいやながら人助けをするものの、やりすぎパワーで街が破壊され、市民が大迷惑。でも、本人は「そんなの関係ねぇ」と反省する気もなく、その不良的態度がさらにブーイングを受ける始末。強がってはいるけれど、本当は孤独で寂しいハンコックは、偶然命を助けた広報マンのレイの言葉を受け、生まれ変わることを決意。しかし、レイの妻メアリーは、なぜかこの計画に反対していた・・・。

『幸せのちから』『アイ・アム・レジェンド』のシリアスな演技で大ヒットを飛ばしたウィル・スミスが、
今回は持ち前の濃いキャラクターを余すことなく発揮した本作品。主演のウィル・スミスとシャーリーズ・セロンに話しを伺った。




演じられたハンコックとはどんな人物ですか?

ウィル・スミス:ジョン・ハンコックは興味深い男なんだ。心に深い傷を負っているけど、その原因は覚えていない。そのことがちょっとしたジレンマになっている。自分に何かが起きたことはわかっている。だけどそれが何かはわからない。記憶はないけど腹は立っている、という面白い状況なんだ。

ただのヒーロー映画ではありませんよね。

シャーリーズ・セロン:久しぶりにこれほど人間味あふれるストーリーを読みました。人間の条件を取り上げた作品です。役者は、人間の行動をテーマにした世界に飛び込んで観察することに喜びを感じるものだと思います。欠点のある興味深いキャラクターだと思いましたし、このストーリーのおかげで、人間の条件や行動、そして私たちは何者なのかということや人生の意味を模索する機会を得ることができました。また、私の演じるメアリーが、そうしたことや、それらが彼女にとってどんな意味を持つのか、ということを学ぶ過程で失敗し惨めな思いをする点が気に入っています。

ハンコックはなぜ嫌われ者のヒーローなんでしょうか?

ウィル・スミス:毎朝目覚めるたびに彼は怒っている。自分はスーパーヒーローだから称賛されるべきなのに、誰も拍手してくれない。拍手したくないのならいいさ。どうでもいい。自分のやりたいようにやるまでだ。人を助けたければ助けるし、その気にならなかったら助けない。そんなわけで、彼は社会から孤立している。ある日、彼はジェイソン・ベイトマン(が演じるレイ)の命を救うんだけど、そのレイがハンコックを社会の枠組みの中へ戻そうとするんだ。

監督ピーター・バーグについてお聞かせください。

シャーリーズ・セロン:彼のスタイルはこの映画のトーンと見事に合っていました。彼と最初に会ったとき、彼がどこまでそのスタイルを貫くのかな、と興味を感じました。『ハンコック』のような映画を、このようなスタイルで撮ったものは見たことがありませんから。その点がとても独創的だと思うし、とてもいいと思います。彼はとても正直で、どういう風に仕事を進めてゆくか、ということについても率直に説明してくれました。監督の考えがよくわかり、役者としてとても嬉しいことですね。

なぜメアリーを演じたいと思ったのですか?

シャーリーズ・セロン:必ずしも正しい行動を選択できない状況に陥って葛藤する女性を演じることが好きです。責任ある行動をとる代わりに、人生の波にのまれ、感情や人間の営みに流されてしまう。そんな中に、私たち誰もが共感できる問題に直面し苦しむ人間が見えてくるんです。

ハンコックは皆のスーパーヒーローになれますか?

ウィル・スミス:ハンコックが落ち着いて大局を眺めることができさえすれば・・・。自分の存在意義を見つめることができれば、彼は世界を変えることだってできるんだよ。

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

執筆者

Naomi Kanno

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