ウォルト・ディズニー・ピクチャーズとジェリー・ブラッカイマー・フィルムズにより製作され2004年に公開されるや全世界で大ヒットを記録した歴史アドベンチャー作品『ナショナル・トレジャー』。ニコラス・ケイジ演じる主人公ビル・ゲイツは、秘宝に魅せられた冒険家にして天才歴史学者というユニークなキャラクターで新たなファン層をゲットし、ハリウッドのニュー・ヒーローとしてその名を映画史に残した。

その待望の第二弾作品『ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記』が12月21日から全世界同時に公開される。

出演のニコラス・ケイジ、ジョン・ヴォイト、ハーヴェイ・カイテル、ダイアン・クルーガー、ジャスティン・バーサーに新たにエド・ハリスとヘレン・ミレンという大物出演者が加わった本作。舞台をアメリカから飛び出しイギリスやフランスなど世界の名所にてトレジャーハンティングは行われた・・・

前作に続き監督を務めたのはジョン・タートルトーブ。コメディーからハートウォーミングな作品までエンタテイメントに富んだ作品をとり続けている。映画のプロモーションのため主演のニコラス・ケイジらと来日を果たしたジョン・タートルトーブ監督に本作の魅力を語ってもらった。






——前作『ナショナル・トレジャー』は全世界でヒットを飛ばしましたが、続編を作るにあたり前作をプレッシャーに感じたことはありましたか?また前作を越えるためこれはこだわったという点はありますか?
監督って続編、続編でないに関係なく常に自分が前回作った作品を越えなくてはいけないと思っていると感じています。だから私も続編だからといって今回だけ特別にプレッシャーを感じたということはありませんでした。
唯一あげるとすれば、前作のカーチェイスのシーンを気に入っていなかったのでとにかくカーチェイスのシーンを前回よりも良いものにしようと思っていました。
一作目の出来なかったことを二作目でやってみようとして、二作目で出来なかったことを三作目でやってみようと常に考えています。

——歴史的な建造物や都市伝説がたくさん出てきていますが、今回のエピソードはどのように取捨選択していったのですか?
選んでいく中で特に気をつけたことは、観客が映画を見た段階で内容を認識できないといけないという点です。なので有名な話であればあるほど良かったのです。
私たちには人々が知らないという事実を詰め込まなければいけない必要があったのでその分の知識も必要でした。
今まで関係性がなかった物事に関して繋がりが見えたときに私たちはそのネタを使おうとなるわけで、またそれがビル・ゲイツの得意なことなんです。

——なぜリンカーンの時代のトレジャーを選んだのですか?来年の大統領選挙を意識したものですか?
リンカーンはアメリカの中でもっとも愛されている大統領なのです。
彼は自分で自分が正しいと思うことを自分で具現化したというところもありますし、非常に謙虚さを持ち合わせた人でした。リンカーンのアイディアや考え方というのはとても英雄的なんです。だからこそ彼が今でも重要なリーダーとして認められているのだと思います。これこそベンがもっているスピリットにも影響してきていて、正しいことをどこまでも追いかけていくという精神にベンと通じる部分があるのです。

——本作では世界各地の名所が登場していて一緒に旅をしているような気分で楽しめましたが、撮影にあたり一番大変だった場所はどこですか?また印象に残っているエピソードがあったら教えてください。
本当は子供たちに見せてしまうとここに連れて行ってということになってしまうのではないかと少し心配なのですけど(笑)
撮影自体はいつもどこにでも観光客が沢山いたので大変でした。みんなが静かになるまで待たなくてはいけなかったですし、例えばホワイトハウスのシーンだったらブッシュ大統領の大事なスピーチがあるからちょっと出ていってと言われ撮影を中断させられたりしたこともありました。また議会図書館が出てくるシーンがあるのですが、あのシーンはまるで学校の図書館かのように毎回「静かにしてください」と怒られていました。特に私が一番怒られた回数が多かったと思います。(笑)

——世界各地で撮影したことにより映画の世界観がより広がっていたように感じましたが監督自身は世界ロケに関してどのような意図がありましたか?
みなさんによりこの映画を楽しんでもらえるようにしたかったという気持ちが一番です。アメリカの歴史って、中国やヨーロッパ様々な所と繋がっていると思うのです。だからこそより歴史的にもっと深みを持たせるためにも他の国に行きました。そしてやはり海外で見ているお客さんにアメリカだけでなく他の国でも撮影したのだというところを見ていただきたかったという気持ちもあります。

——本作では宝探しを描くことをメインにしつつも先祖に対しての名誉だったり、家族への思いも大切に描いていたのはなぜですか?
前回の作品でも家族にはスポットを当てていました。
気にしたのは家族というのも歴史的に有名な家族というわけでもなくて、一般の家族を大切にしたいと思ったのです。今回はヘレン・ミレンを入れてベンの家族っていうのも描きました。宝探しの映画で宝探しを描くだけでは非常に浅い映画になってしまいます。本質的な何かえ思いテーマを入れなければ終わってしまうのですね。通常宝探しでは超人的な力に頼ってしまうことがあると思うんです。しかし、私たちのナショナル・トレジャーはサイエンスフィクションではないんです。やっぱりそこに現実の感情を入れるという特徴があります。

——映画の見せ場である黄金都市のシーンでしたが、実際に組んだセットは相当の大きさだと思いますが撮影はどのように進められていったのですか?
凄く大きくて私が今までに組んだセットの中で最大規模でした。やっぱり大きければそれなりに大変なことがあるわけで、大きいセットですから色々なバリエーションが出来るようにする必要がありました。全部は作れないのでCGで済ましてしまう部分ももちろんありました。
最初役者さんがセットを見ると凄いなと言いました。しかし役者さんにしてもスタッフにしても、自分の仕事にこのセットがどう影響してくるのだろうか?自分はどこで仕事をするのだろうか?とすぐに具体的な自分の演技や仕事内容ががこのセットにどうはまっていくのだろうかという目で見てしまうのです

——監督自身として世界な宝や伝説の中で興味のあるものや題材にしたいものはありますか?
もちろん私としては歴史のミステリーを紐解いていくことに興味があるのですが、歴史のなぞというのは科学的なものかもしれないです。
例えばこの間恐竜の骨が見つかりましたけど、ある意味宝探しだと思いますしその方が生活に大きな意味を持っている宝だったかも知れないのですから。宝っていうのはある意味芸術を見つけたというのと同じです。それから文化の情報を新たに得るということにもなりますよね。それによって新しく文化のなぞが解けると思っています。
世界には金銭的なお金は沢山あるので、あとはもう少しその価値や文化の深みを追求していくことが大切だと思います。

執筆者

大野恵理

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