この1年ほどの間に日本での知名度を上げた台湾俳優がいる。ピーター・ホーだ。織田裕二主演の『T.R.Y』での執念の殺し屋、そしてこの夏の『劇場版・仮面ライダー555』では初の外国人ライダー役が、ちまたで話題になっている。
 そんな彼の主演作がビデオとDVDでリリースされ好調であるという。タイトルは『風雲』。全5巻からなる台湾制作の人気テレビドラマを編集したものだ。
 タイトルを聞いてピンときた方もいるだろう。このドラマは、1998年にアーロン・クォックとイーキン・チェン、そして千葉真一らで撮られた香港映画『風雲 ストームライダーズ』(日本では2000年公開)の大ヒットを受けて企画されたもの。画面サイズこそ映画に及ばないものの、ドラマ版も手を抜かないパワフルでトリッキーなアクションとVFX満載。風役のチウ・マンチェク(別名:ウィン・ツァオ)は、“ワン・チャイ”シリーズでジェット・リーの後を継いでウォン・フェイホンを演じ、昨年は主演作『英雄鄭成功』が日本公開された実力派のアクション俳優、雄覇役は映画版と同じく千葉真一が扮している。
 そんな強力なキャスティングの中、ピーターは、映画版でアーロンの演じたワイルドな雲を演じているのだが、取材の場に現れた彼は180センチをゆうに超えるすらりとした長身で、軽やかに英語で話すナイーブそうな癒し顔だった。
 日本が大好きだと時折り日本語を挟みながら話すピーター。果たして日本の何が好きなのだろうか? 短い時間だったが、彼が見せてくれた素顔をご紹介しよう。
(なお、このインタビューの数週間後、『劇場版・仮面ライダー555』に出演とのニュースが飛び込んできたため、取材時には話題にできなかったことをお断りしておく)

$blue 『風雲』I〜Vは、マクザムからビデオとDVDでセル&レンタル中$




$NAVY ——この『風雲』ですが、最初に、この雲という役でのオファーを聞いてどう思われましたか?$
「原作のコミックブックでずっと親しんでいたので、出演依頼自体は嬉しかったのですけど、役柄が雲のほうだったので、自分自身のキャラクターとのギャップで少し困惑しました」
$NAVY ——では、役作りはどうされたのですか?$
「映画版の雲のアーロン・クォックさんは筋肉質でとても鍛えられている方ですが、自分自身はとても細くて痩せているほうなので、一生懸命鍛えて体を筋肉質にしなければならず、それが大変でしたね」
$NAVY ——毎日何時間もトレーニングを?$
「忙しくてなかなか時間がとれなかったのですけど、撮影の合間にダンベルで鍛えたりしていました。他の人が休憩時間で話をしているときに、自分だけトレーニングをしなければならないのは辛かったです」
$NAVY ——共演のチウ・マンチェクさんから何かアドバイスをもらったりしましたか?$
「演技をするときにいくつか指導してくれましたが、細かくは覚えていません(編注:撮影終了から日本でのビデオリリースまで1年半以上経っている)。彼は、地に足の着いた正直で謙虚な人だと思います」
$NAVY ——雄覇役の千葉真一さんは?$
「とても素晴らしい俳優さんだと思います。とてもフレンドリーな方です。立ち姿に確かにオーラを感じました」




$NAVY ——この「風雲」の世界の魅力はどういうところにあると思いますか?$
「(しばらく考える)雲が間違って友人を殺してしまうところがひじょうに印象的で、そういったところが魅力だと思います」
$NAVY ——人間臭さというところですか?$
「人間らしさということでは、三兄弟の絆があり、千葉さんの演じる雄覇が三兄弟の絆を裂く策略を練る、そういった部分が描かれていて、彼らの関係は魅力的ですね」
$NAVY ——ピーターさんご自身は、こういうコスチュームはお好きですか?$
「撮影中はとても暑かったので、僕のタンクトップの衣装はとてもよかったですね」
$NAVY ——観客として、こういう時代劇はお好きですか?$
「ごく普通の時代劇はそんなに好きじゃないのですけど、シナリオや役者、撮影方法など、何か特別な個性的なものがある作品は好きですね」
$NAVY ——パート2の噂も耳にしました。$
「はい、出演します」
$NAVY ——差し支えなければ、いつごろから撮るか教えてくださいますか?$
「タブン10ガツ(日本語で)」
$NAVY ——パート1のときに、企画・撮影から放送までの時間が随分時間がかかっていると思いましたが……$
「通常、台湾ではプロダクションが制作をして、それを完了させてからテレビ局に持ち込むことが多いのでそのせいだと思います」
$NAVY ——では、完成して放送されるのは、まだまだ先ですね。$
「そうですね」






$NAVY ——ドラマといえば以前日本で「Happiness」という深夜ドラマに出ていらした(2001年3月)。ちょっと変わったタイプのドラマでしたね。$
「とても理解しずらい作品ですよね」
$NAVY ——それから日本では、映画で『T.R.Y』もありましたが、織田裕二さんとはいろいろ話をされたのですか?$
「彼が英語を話せたので」
$NAVY ——ピーターさんご自身も日本語で何か話したのでは?$
「挑戦したんですけど、僕が日本語を話すのはとても大変そうだと織田さんが思ったようで、そこからは英語で話しました」
$NAVY ——日本語で話そうという意欲に溢れてらっしゃるように見えます。語学留学もされたと聞きますし。そもそも日本に興味を持ち始めたきっかけは何だったのですか?$
「(日本語で)日本ノマンガ。『北斗の拳』『ドラえもん』それから『シティ・ハンター』『AKIRA』そのほかいろいろです」
$NAVY ——それで日本語をやってみようと思われたのですか?$
「実際に読んだマンガは全て訳されていたので、それで日本語を学んだというわけではないのですが、日本から来た多くのものに囲まれて育ってきたことが、日本に興味を抱かせた原因になると思います」
$NAVY ——日本にいらしたときは、そういったものを探しに行かれますか?$
「マンガ屋にも随分行くんですけど、理解できないところが多くて、悔しくて一生懸命勉強しようと思うんです」
$NAVY ——牛丼がお好きということですが、ほかにお好きな日本料理は?$
「サシミ、かれーらいす、ソバ、ウドン……」
$NAVY ——すごく庶民的なものがお好きですね。$
「安いから(牛丼が)好きなんだと思います」
$NAVY ——今後はどんな活動をしていきたいですか?$
「今(2003年春)、実際に撮影しているドラマがあって、それが終わったら上海とギリシャで半分ずつ撮影する番組があります。それが終わったら『風雲2』があって、それが終わってもうひとつテレビがあるので、来年の3月末までタイトなスケジュールです」
$NAVY ——最後に、『風雲』のセールスポイントをピーターさんからお願いします。$
「CGアニメーションやコスチューム、脚本がひじょうに個性的なところに注目してください」

執筆者

K.MIKUNI

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作品紹介『風雲I』
作品紹介『風雲II』
作品紹介『風雲III』
作品紹介『風雲IV』
作品紹介『風雲V』