ちょっと…いや、かなりヤバイ語感を持っていた“猟奇”という言葉に、全く新しい意味合いを持たせてしまった韓国発ナンバー1ラブ・ストーリー『猟奇的な彼女』。“突拍子も無いほど変わっているけど、超イケテル!彼女”と、そんな彼女に思いっきり振り回されちゃう大学生、キョヌとの、予測不能な恋の行方を描いたこの作品、台湾、香港でも大ヒットを記録し、あのスピルバーグのドリームワークスもいち早くリメイク権獲得に動いた話題作。日本でも、昨年のゆうばりファンタでの上映から約1年、いよいよ待望のロードショー公開がスタートする。
 この作品の中で、大学生キョヌ役を自然体で演じたチャ・テヒョンが、12月3日に映画のキャンペーンとしては初めての来日を果たし、記者会見が開催された。映画では、子供時代は女の子として育てられたという設定が、あたかも地であるかのように自然だったテヒョンだが、素顔は思いのほか(失礼)男らしい感じだった。

$navy ☆『猟奇的な彼女』は、2003年1月25日よりシャンテシネ、シネマスクエアとうきゅう他にてロードショー公開!$









まず会見に登場したのは、本作の日本語版テーマソングを歌うF.O.H.の3人。『猟奇的な彼女』は、韓国映画を見て初めてピュアな気持ちになれ感動した作品だとか。カバーするに当たっては、原曲の雰囲気を壊さずに日本語でどう表現するか気を使ったそうだ。
そして、会場には“キョヌ”と同じ悪戯っぽい笑顔を浮かべたチャ・テヒョンが登場。F.O.H.のメンバーからは、劇中の大学でのシーンの再現ということで、一輪の薔薇が贈られ大喜び。日本語版テーマソングも、「R&Bのテイストになっていたような感じで、とてもいい雰囲気」とかなり気に入った様子だ。

Q.ご挨拶と、作品が韓国で大ヒットした感想をお願いします。
——「コンニチハ、兎に角皆さん、『猟奇的な彼女』を楽しんでご覧いただけたようでありがとうございます。韓国では、“猟奇ブーム”が社会現象となったわけですが、それはこの映画の成功の結果と言えると思いますので、非常に気分を良くしています。本来“猟奇”という言葉は、怖いといったような非常に強いイメージがあったのですが、映画の中のチョン・ジヒョンさんは、非常に可愛らしいイメージで出てきます。

Q.資料には、最初にシナリオを読んだ時迷われたということが書かれていますが、その時の心境をお聞かせください。
——シナリオを読んだ時には、とても気に入りましたから、全く躊躇いはありませんでした。そういった文章が書かれているとしたら、おそらく私がクァク・ジェヨン監督に最初に会ったとき、ちょっと心配したということをさしているのではないかと。確かに、実は監督に最初に会ったときは躊躇いを感じました。何故なら監督は、10年ほど前に映画監督デビューをしヒット作を発表されていましたが、この10年ほどの間映画を撮れる状況ではなかったので、そんな方がこんな若い感覚の映画を撮れるのだろうか?と、ちょっと気になっていました。ここだけの話だけど、監督の第1印象って、ホームレスの人みたい(笑)…で、本当に任せて大丈夫なのかな?って感じだったのですが、でも私が気に入った脚本も、監督自らが脚色されたと聞き、ならば大丈夫だろうと出演を決めたんです。

Q.クァク監督の演出はいかがでしたか?
——クァク監督の演出は、私自身も気に入っています。監督は、一緒に作業をすればするほど、面白い味を出してくださる監督で、演出も上手いですね。完成作を見て、私自身も気に入ってます。

Q.この作品の見所をお聞かせください?
——私自身シチュエーション・コメディが大好きなんですが、これはまさにそうした作品です。映画は、日常に起きそうも無いことが起こるものですが、この作品ではだからといって、オーバーな演技で笑わせるというものではなく、状況そのものが面白く楽しめるものではないかと思います。












Q.チョン・ジヒョンさん彼女の印象は?
——チョン・ジヒョンさんとは、以前ドラマで共演したことがありました。その時彼女は未だ高校生だったのですが、彼女は韓国内で非常に清純な女性、女性らしい女性というイメージが強かったんですが、実際の彼女を見ていますと、映画の中の彼女と全く同じではないですが、ある意味似てるところもあります。男性的な面も持っていますし、一緒にいると落ち着いて気楽になれるという部分も持っていまして、今回そうした部分も発揮してくれれば、素晴らしいものになると確信していました。
私自身は、あまり痩せている女性はタイプではないのですが、自分の能力があり、一生懸命な女性が好きですね。おそらく私の好きな女性像は、母の影響を受けているのではないかと思います。母は、声優をしていました。
劇中の彼女は…あぁ……よく聞かれるんですけど、個人的には嫌いなタイプです。どちらかと言えば、ノーだと答えたくなる感じです。

Q.この映画では、テヒョンさんの受けの演技がとてもよかったと思いますが、ご自身ではどのようにキャラクターを作り上げましたか?
——私は今回キョヌというキャラを演じましたが、シナリオに書かれている人物像に忠実に演じようという思いで臨みました。どちらかと言うと、私は自分に与えられた役を、深く研究・分析し細かく演じるタイプではなく、現場で共演者との呼吸を大事にする方なんです。今回は、チョン・ジヒョンさんが非常に積極的な演技でしたから、自分はやられる側で受けに徹するようにしたので、とてもやり易かったですね。韓国の人たちも、彼女のこれほど壊れた姿が見れるとは誰も思っていなかったので、とても楽しんでくれたようです。

Q.劇中、かなりボコボコに殴られてましたが、実際はどの程度までやられてましたか?
——拳で殴られるところは演技で、実際には殴られていませんが、つねられたり、ひっぱたかれたりといったあたりは、マジでやられてました。

Q.この作品で、コメディの才を見事に発揮されてましたが、今後ご自身のどういった部分を疲労していきたいと思われてますか?
——私はデビューから9年目くらいになりますが、韓国でもやはり皆さん私のコミカルな面を買ってくださってまして人気が出てきたように思います。でも、私としましては単にコメディだえではなく。映画の中に現れる感動的な部分も見ていただけたらと思います。私がこの作品を好きな理由の一つは、最後の方で小さいながらも心に染みる感動があるからなのです。映画というのは、基本的には面白くなくてはならないと思いますが、それだけではなく感動も含まれてなければならないと思いますので、そういった部分の演技も見て欲しいと思います。

マスコミ陣からの質疑応答が終わったところで、この日二人目のゲストとして、韓国出身のタレント、ユン・ソナが花束を持って駆けつけた。実は二人は、以前からの知人同士で、韓国NBCテレビのドラマ『レディ・ゴー』では、一緒に共演もしているそうだ。作品は内容がしっかりしてて、最後まで楽しめたというユン・ソナ。映画の中の彼女を見て、「暴力とかはしないけど(大袈裟に反応するチャを、軽く殴るふりをしつつ)思ったことをはっきり言うあたりはちょっと似てるかな…。でも可愛い女の子で羨ましいです」とコメント。またテレビで共演していた頃を思い出して、「決まった台詞だけじゃなく、アドリブとかの演技力が凄かったです。その時はお互い新人だったのですが、尊敬できる人でした」。一方チャ・テヒョンも、「日本に行ったきり戻って来てくれない。好きな男性でもいるのかな?」とユーモアを交えつつ再会を喜びあった。

執筆者

宮田晴夫

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