9/2(日)pm8:00 Sala Perlaにて
鈴木清順監督最新作『ピストルオペラ』の上映が行われた。座席600の会場は、超満員。60人以上もの観客が中に入れずにブーイングが起こる程の人気だった。
上映に先立ち、映画祭側から“偉大な巨匠へささげるオマージュ”として、記念の盾が急遽贈られることが決まった。
これは、今回の映画祭では『CET AMOUR−LA』に出演しているジャンヌ・モロー、『SILENCE・・・ON TOURNE!』のヨセフ・シャヒーン監督(エジプト)の3人に贈られた。
鈴木清順監督は突然のハプニングに「この映画祭にお招きいただいて、とても嬉しく思います。その上、こんなご褒美までいただいてありがとうございます。皆様の期待にそえればと思います。また、これを機会に日本、ひいてはアジア映画に皆様の目をむけてもらえればと思います。これは、望外(ボウガイ)の幸いだと思います。どうぞやさしくご覧ください」と挨拶した。
 また、主演の江角マキコは「監督はこのように、とてもチャーミングな方。だから映画はシリアスではないので、最後まで楽しくみてもらえれば幸いです。」とコメントした。
そして、上映後は、100人以上もの観客に取り囲まれ、拍手喝采を受けるという異例の状況となった。こうして、熱気に包まれ、無事ベネチアでの上映は終了した。



9/2(日)プレスセンターにて記者会見
Q:この作品は「殺しの烙印」の続編と聞いていますが?
清順監督 :プロデューサーが企画した。最初はそのつもりで立ち上がった。
まあ、ある女性が見た夢の作品みたいになれば、と思ってつくりました。

Q:監督の作品は色使いが素晴らしいが、色の使い方について、どのような意味を持っていますか?
清順監督 :特に意味はない。映画は仕掛けだから。見せ場というのがその要素。
色も仕掛けのひとつとして考えている。

Q:なぜ男性でなく女性3人が主人公?
清順監督 :男が主人公だとアクションがつまってしまうから。

Q:劇中に非常に日本的な劇っぽいシーンがあるが?(外国人とORANGE 江角 $が戦うシーン) $
清順監督 :ねらいは、喜劇っぽく撮ろうとした。それが日本的かと言われればクエスチョンマーク。

Q:CGエフェクトを今回使っているがどうだったか?
清順監督 :映画は手でやる仕事だと思っている。CGは好きじゃないが便利だということがわかった。色を自由に使えるから。しかし、CGはまやかしというように思う。

Q:今回江角さんはスタイリッシュなアクトがとても自然な感じでしたが?
江角 :ありがとう。清順監督の作品は大好き。話をもらってうれしい。世界観がはっきりしている。今、現在を生きている女ということを差し引いて演じさせてもらった。自由にさせてくれた。自分にとっても、とても刺激的だった。緻密な監督のプランの中で、まず自由に演じさせてくれたのが良かった。

Q:話の内容は女性的ではなく、3人がジェネレーションを演じるピラミッドみたいな構成だが、この意味は?
清順監督 :女の美しさがどうのように変わっていくのかをお見せしたかった。

Q:夢について話すシーンがあるが、死のような意味は取り入れていますか?
清順監督 :それほど大それたものではない。ただ、殺し屋は生死の間をさまようから、取り上げざるを得ない。

Q:この作品はスタンダードサイズだが、なぜ?
清順監督 :それはプロデューサーが決めたこと。
小椋プロデューサー :カメラマン(前田米造)と話した結果。35mmをすべて美しく活かすには、スタンダードサイズが最適ということになった。

Q:音楽の選択がとても良い。色々なジャンルの音楽を使っていますが?
清順監督 :映画つくってて、絵があきた時に音楽を入れるので、全部入れた方が皆も楽しめるかと思って入れました。

〔現地より/報告:松竹㈱映画宣伝室 吉田直子〕

執筆者

外川康弘

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