『<サド&マゾ>匂ひ立つ官能、新世紀エクスタシー』。ユーロスペースで行われている小沼勝監督特集も5週目。定番になったトークショーで、本日壇上に上がったのは女優の木築沙絵子とお馴染み『リング』『S&M』の中田秀夫監督。本プログラム中、衝撃度NO.1と言われる本日の作品。その舞台裏では一体何が?木築さんの事務所が怒った程の凄いシーンとは?また、助監督時代の中田監督の笑劇的な苦労話とは、果たしていかなるものなのか?                             





渋谷ユーロスペースで行われている『<サド&マゾ>匂ひ立つ官能、新世紀エクスタシー』。本日も立ち見など多く、相変わらず好評のようである。

中田  この作品はカリフォルニアとドイツで起こった、少女を監禁し何年間も車で連れまわしたという、実際の事件を元に描いているんです。そういうわけですごくドキュメンタリータッチの演出になっているんですが。木築さん、肉体的にはそれほどハードじゃなかったんですか?
木築  ええ、濡れ場自体はそれほどでも。でも唯一前張り無しで撮った作品なので、かなり緊張しましたね。
中田  編集された作品を見て、木築さんの事務所の方がプロデューサーに「これ本当にやっただろ」と怒ったそうですが。
木築  ありましたね、そういえば。そんな事が。
中田  それは監督と木築さんの勲章だと思いますね。本当はそんな事ないのに、そう思わせてしまったのだから。凄いなぁと思いましたね。
木築  あと覚えている事で、濡れ場でバイブを使うシーンがあり、入れなきゃ撮れないシーンがあるからお願いね、と言われて「どうしよう」と思った事もありました。
中田  それ監督が言ったんですか?
木築  いえ、プロデューサーが。
中田  そのバイブ買いに行ったの実は自分なんです。プロデューサーに言われて。
木築  そうなんですか(笑)?
中田  自分も凝り性なんで色々買ってきましたね(笑)。
木築  でも色々ありましたけど結果として、先ほどの話にもあった、うちの事務所が怒るほどの良い仕上がりになったのは、うん、本当良かったと思いますね。
中田  小沼監督がよく映画のリアリズムとリアリティは違うとおっしゃっていたんです。映画で本当らしさを出すのに、本当の事をする必要はないと。そういう人でありながら、下水道のシーンで本当に下水を溜め込んでやったりとするんですよね。水攻めの場面なんかどうでした?演技を超える瞬間があったりとか?
木築  それはそうですね。息できませんでしたから。もう本能で動いてました。
中田  ちなみにそのテストをやらされたのも自分なんです(笑)。
木築  そうだったんですか(笑)?    

執筆者

永見 憲宏