アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート!にして第67回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品作品!
名匠ペドロ・アルモドバルがプロデュース。人生において、決して押してはならないスイッチを押してしまったがために、不運の連鎖に巻き込まれる6人の男女を落ち様を全く新しい手法でユーモアたっぷりに描いたブラック・コメディです。その先読みを許さない展開と、予想を超えた、みたこともない圧巻のラストの衝撃に、世界中の映画通は舌を巻き、そして爆笑!名匠ペドロ・アルモドバル製作×鬼才ダミアン・ジフロン監督が放つ異色大傑作、いよいよ今夏、日本襲来!

$red Q:この作品を作るに至る着想、動機 $

他の普通の脚本に着手していた時にこの脚本を書いた。初めはこれらの話をどうすれば良いか分からなかったけど、4-5作出来てきたところでこれらの作品が同じDNAから来たものだと気付いた。テーマとしてリンクしていると気付いたんだ。この曲たち(1つ1つの話)は同じアルバム(1つの映画)にフィットする、一つの星座(映画)の中の星たち(1つ1つの話)のようだと。そして、「人生スイッチ」という名前に思い当った時、それが必要な物だったと感じたんだ。






Q:怒りや、感情の暴走に身を委ねる、ということを (喜び)と表現されてますが?

人生において、逮捕されたり死にたくなければ自分自身を抑制しなくてはならない時がある。だから、喧嘩したくても出来ないときもあるんだ。でも、抑制していることの代償も大きい。生きていた方が良いけど、あれを言えば良かった、こうすれば良かった、と過去を思い悩むことになる。芸術や脚本の中では抑制する必要なんてない。最後の最後まで突き進んで、その経験を変換して観客に見せればいいんだ。血や苦悩が見えても、観客は大いに笑ってくれると思うよ。抑制するのではなく、反抗することの楽しさや欲求を理解できるだろうから。

Q:脚本執筆に際しての苦労・秘話等

商業的にというだけではなく、芸術的にも、同じような映画で成功した例がないことが1つ問題だったと言えるかな。こういう作品ではお客が呼べないと業界が思っている中で、自信を持ち続けることは困難だった。
でも、偉大なプロデューサーに素晴らしいキャストとクルーも皆脚本を信じてくれたんだ。オムニバスがうまくいかない理由の一つは、エピソードごとに監督が違って、制作プロセスの中で話がうまくつながっていないからだと思うんだ。全てのエネルギーをコントロールする人間が1人だったら、
成功の確率は高くなるんじゃないかな。

Q:アカデミー賞外国映画賞ノミネートに関して

ものすごいことだよ。子供のころから何がノミネートされているか、とアカデミー賞をずっと見てきたんだ。競争が自分が思うようになされていないと感じることもあるけれど。誰かを倒すために映画を作っているんじゃない。誰かと対抗するための物じゃないんだ。自分のやりたいことをやって、他の監督もやりたいようにやって、で、他の人たちと同じ賞を争うことになる。でもこのことが理解できると、これはとてつもない名誉だし、この作品がノミネートされたのはラッキーだったと感じてる。自分が愛する作品を作った業界の人たちが、自分が尊敬する人たちがノミネートしてくれたんだからね。自分の好きな作品10本の内、9本はアメリカで作られたものなんだ。その映画を作ってる人たちを紹介してもらっていて、その人たちが自分の作品をノミネートしてくれたなんて誇りに思うよ。

Q:各作品の順番に意図はあるかと思うがそれは何か

書いた順番になってるんだ。その順番を守ろうと持ったわけじゃなくて、他の順番も考えたんだけど、最終的にはこの順番にしたんだ。カンヌでこの作品を試写した時に、このままが良いと気付いたんだ。発展性があるし、バリエーションにも富んでいる。
オープニングの飛行機のシーンは1話目にしか考えられない。最終話にはなりえない。結婚式のエピソードは1-2人の出演者があんなに変化して元の鞘に収まる、そんな話は最終話にしか成りえない。オーガズムのようなものだよ。終わったら食べたくなる、もう一度、とは思わない。

Q:アルモドバルの絡み方

ペドロ・アルモドバル、オーグスティン・アルモドバル、エスター・ガルシアが2006年に僕が作った映画「On Probation」を見てくれていたんだ。K&S Filmsのプロデューサーとも関わりがあったみたいで、このアルゼンチン映画を映画館に観に行ってくれて、この作品をとても気に入ってくれたようなんだ。
その後、オーグスティンがアルゼンチンに来た時に一緒にディナーに行ったんだ。彼は僕が次にどんなものを作ろうとしているのか聞いてきて、彼とペドロがプロデューサーになりたいと言ってくれたんだ。もちろんとてもありがたいし、幸せだったよ。
K&S FilmsのHugo Sigmanとこのプロジェクトをやると決めると、すぐにペドロとオーグスティンに脚本を送ったんだ。彼らはすぐにプロデューサーとして参加すると決めてくれたよ。
制作の面から言えば、ペドロは自分の会社を持っているし、好きな時に好きなものを撮れる。
彼はアーティストにとって最も大事なことは自由であることだと本当に信じてるんだ。
だから、彼がプロデューサーになる時には、その作品の監督のために同じ環境を作ってくれるんだ。彼は「脚本は素晴らしかった。1つのコンマすら変えずに作るんだ。君以上にこの話を良く撮れる人なんていないんだから、君はやるべきことをやるんだ」と言ったよ。
ファーストカットを彼に見せて、それについて語り合った。
もちろん、彼は世界的に有名なアーティストなのに、作品がカンヌ映画祭に出品されるなんてことになったら彼がその作品の先頭に立って大使のような役割を果たさなきゃならない。カンヌでもたくさんの取材を受けてくれたよ。サンセバスチャンにも僕と一緒に来てくれたんだ。この作品に関して話すのに、何ヶ国にも来てくれた。彼はこの作品の偉大なるゴッドファーザー(名付け親、ボス的な)のようなものだよ。

執筆者

Yasuhiro Togawa

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