「ラストシーンはヤバイ!」そのキャッチコピー通り最後は予想もしない展開が待ち構えている本作『TKO HIPHOP』。
物語の主人公となる剛は、相棒・雅志と共にクラブ「クロス」に訪れる。そこで偶然剛が“KING OF MC”ことAPIの女をナンパした事から勃発するMCバトル。超ド素人の剛が勝てる事は皆無。そんな中で、ダンサーを目指すケイやクラブに集う「怪しげな」人達のバックアップを受け、ラッパーとして、DJとして突き進むが、このMCバトルの結果が彼らの運命を大きく変えていく事に…。

「自分は、ダンスで食っていこうと決めていた。でも俳優という職業に出会った事で俺の人生は変化していったんだ。」と語るのは主演・剛を演じた山根和馬さん。
「本作に出演して自分の大好きなものを改めて見極める事が出来たし、もう1度頑張ろうという気持ちになれた。」と笑顔で話すのはヒロイン・ケイを演じた石川佳奈さん。

2人が出演する『TKO HIPHOP』は、数多くのHIPHOPストリートカルチャーを代表するアーティスト、ダンサー、DJ、グラフティが集結している事で大きな話題を振りまいている作品だ。“本物”のアーティストたちの協力を得たからこそ実現したリアルな映像と音。今までなかった “ASIAN HIPHOP MOVIE”がここに誕生した!!

$orange ☆10月1日シブヤ・シネマ・ソサエテイにてロードショー $





—-本作が初主演映画という事ですが?
山根さん 別に何もプレッシャーもなく、けっこう堂々とやれたかな?という感じですね。そこまで何も感じなかったです。重みとかは。自由にやらせて頂きました。

—-二人ともすごくダンスが上手ですが、やり始めたキッカケや普段どれくらいレッスンしているかを教えてください。
石川さん 私は3歳の頃から母に連れられてバレエに通い始めまして15歳までずっとやっていたんですけど、最近4年間位は何もダンスというダンスはしてませんでした。でもこれ(『TKO HIPHOP』)をキッカケにまたダンスをやり始めて、やっぱり私はダンスが好きなんだなと改めて思ったので、またバレエとか、ジャズダンスを習い始めました。
山根さん また始めたの?へぇ〜すごいね!自分は、中学3年生からダンス一筋で高校生活を送っていたので、今はレッスンとか受けてないですけどね。

—-どんな所で学生時代は踊っていたのですか?
山根さん 地元が横浜なんですけど、そこの地区センターの前で踊っていました(笑)あとは渋谷に週4〜5で習いに行って、帰ってきてからまた練習!みたいな。

—-二人で一緒に踊るシーンがありましたが、振り付けとかは自分でされたのですか?
石川さん 私の部分は振り付けの先生というかGORIさんという方が振り付けをしてくれたんですけど、和馬くんの振り付けの部分は和馬くんが考えMIXして〜という感じです。

—-二人はダンスの系統が違いますが、コラボレーションとしては如何でしたか?
石川さん もう大変でしたよ〜。
山根さん ダンスっていうのは、振り付けのまま踊る人と自由に踊る人とじゃ全然違うんですよ。ま、佳奈ちゃんは振り付けを教わると踊れるんですけど、やっぱりそれ以上になると…ね、大変だったよね。
石川さん なんかHIPHOPの曲を流してもらって“何か踊ってみて”と言われた時に、手も足も出なかったんですよ。バレエとやっぱり全然違ったのでその部分ではすごく迷惑をかけたというか…。
山根さん だから出来るだけ自分が引っ張っていけるような感じで、自然に見えるようにやりましたね。ダンスに関しては(笑)

—-数多くのHIPHOPストリート・カルチャーを代表するアーティスト、ダンサー、DJ、グラフティの方が出演していますが、そういった方々からアドバイスをもらったりとか関わってみて何か感じた事があれば教えて下さい。
山根さん 本物のラッパーの方にはあまり出会えないじゃないですか。やっぱりその分この仕事で出会えて、個人的に嬉しかったですね。やっぱりそういう世界が好きなので。会ってみてやっぱりこの人たちは本物だなと思いました。色々な意味で!(笑)

—-では今までラップを経験した事は?
山根さん 何もした事なかったですね。カラオケで歌う位ですね(笑)でも好きでした。昔から。
石川さん 私の場合は、クラブとかHIPHOPとか今まで生きてきた中で関わった事がなかったんですよ。だからすごく新しい世界を見れたなという事と、そういう方面でプロでやっている方々というのは、なんて言ったらいいんだろ…
山根さん 引いた?引いた?(笑)
石川さん 引きはしないけど(笑)、なんか熱いものを感じるんですよ、すっごく!その世界に対してのすごいプライドを持ってらっしゃるので本当にすごい。すごいとしか言いようがないですね(笑)

—-今回山根さんは悪い役でしたよね(笑)そして、石川さんは二人の男性との間で揺れる女心という部分がありましたがそれぞれ役作りについてお聞かせ下さい。
山根さん 俺はそんなに作らなかったというか、もう直感で自分のキャラと剛のキャラを混ぜて、やんちゃな子というか…だからあまり役作りというよりは自分をちょっと勢いづけた感じで演技をしてましたね、はい。いいかな?これで(笑)
石川さん 役作りの方は最初台本もらった時に、自分にすごく近いなという印象を受けました。あと剛くんと雅志くんとの間で揺れるという部分ですが、台本を読んだ時に“あ〜、この子は剛くんが好きなんだな。そして何に関してもすごく一途な女の子だなぁ”と思ったので一途さというものを大切に演じました。





—-山根さん演じる剛は、主役のわりにあまり良い所がなかなか見せられない男の子でしたが…(笑)
山根さん (笑)いわゆるかっこいい所ですよね。でも俺は実際バトルに勝ったシーンは見せたくなかったというか、一生懸命やった結果その人物にスポットライトが当たり夢も叶い〜、というだけじゃ俺はあまり良いとは言えないと思うので、やっぱり…なんて言うのかな?一生懸命やっても挫折はするし…。その中で最後あのシーンがあるんですけど、自分の中ではそのラストシーンが印象に残っていて。希望的なものがあるじゃないですか。なので俺は自分なりに輝けていたかな?と思います。

—-ラストのシーンでは夢をもう一度追い始める役を演じ、実際の自分もまたダンスをやり始めたという事ですが、演じる上でも自分と重ね合わせたりしたのですか?
石川さん 今回とても影響を受けた部分が多かったです。自分と重ねあわせる部分というのが非常に多くて、例えばバレエに関してなんですが、自分は3歳の頃からやっていてコンクールとかを目指してたりとか発表会に向けて一生懸命練習したりしていたので、今回この撮影に入る前に2週間程練習させて頂いたんですがすごく当時の感情が蘇って来て、練習を重ねて1つのものを作っていく事がすごく好きみたいだなと改めて感じて、撮影に入ってからもダンスというものを毎日研究していました。だからダンスに関してですが、昔の自分にすごく重なる部分は多かったと思います。

—-現場には同年代の方が多かったと思いますがどんな雰囲気でしたか?又、撮影中特に印象に残っているエピソードなどあれば教えて下さい。
山根さん もう学校ノリでしたね!本作は2週間で撮り終えたんですけど、とにかく怒涛の日々でした。だから本当になにがあったかあまり思い出せなくて(笑)なにか覚えてる?
石川さん 女の感情を持っている男・シンディを演じた小谷嘉一さんと撮影中に仲良くなりまして、メールとかを頂いたりすると女の子口調で“ハーイ!シンディよ”でハートいっぱいみたいな(笑)。今でもそんな感じなんですけど、それが1番印象深いですかね(笑)
山根さん 俺はやっぱり本物のラッパーの人がマイクを握って歌ってる所が1番感激しましたね。リハでも毎回言っている台詞が違うんですよ。彼らはフリースタイルで、全てその場で思っている事を言っているのでこの人たちすごいなって。自分は台詞があってそれを歌っているだけじゃないですか。それは練習すればいくらでも出来るんですけど、やっぱりその時思った事をリズムに合わせて歌うという事に本当にすごい!と思い感動しましたね。撮影中にそういった風景が見れたというのはとても嬉しかったです。

—-この撮影場所はセットだったのですか?それともどこかのクラブだったのですか?
山根さん 西麻布のXROSSというクラブなんですけど、そこでずっとクラブシーンは撮影をしていました。バーとかも全部実際にXROSSにあるものです。だからあのクラブにはかなり思い入れがありますね。

—-他にプライベートでクラブへ行ったりもするのですか?
山根さん 行きますね!渋谷のクラブですけど。音楽が好きなので。特にHIPHOPが。

—-初めて会った時のお互いの印象は?
山根さん 清純そうな子だなぁと思いました(笑)俺の事見て引いてるだろうなと!
石川さん 最初会って自己紹介した時に、ちらっと目を合わせてくれただけですごく素っ気無かったんですよ!あ〜これ今後目を合わせられない!どうしようと思って。
山根さん うそだぁ!(笑)あまり見ない方がいいと思って。見て怖がられると嫌だなぁって(笑)でもダンスのレッスンで打ち解けましたね。
石川さん レッスン初日にかなり挫けたんですよ。手も足も出なくて…。1番人に見られたくない所を、和馬くんや監督さんとかダンスの先生とかに見られてしまったので“あ〜、もうこの現場、私が何をしても恥ずかしくない”と思って。そこから私は普通に接する事が出来ました。

—-APIとのバトルで剛の今後の人生が大きく変わってしまったわけですが、2人にとってその後の人生を大きく変えた出来事とは?もしくは、今後人生を賭けてもいいかなというものがあれば教えて下さい。
山根さん 大学1年まではダンスで飯食っていこうと思っていて、他の事には全く興味なかったんですよ。でもある日デビュー作となった監督に声を掛けられて、全く興味なかったけど監督が面白い人だったのでちょっとやってみようかなって思って。そこから急展開な人生でこっちの世界に入ったので、そこが人生の変わり目でしたね。演技に対してはまだまだこれからです。
石川さん 私は地元が愛知県なんですが、地元でスカウトされたのがキッカケでこの世界に入りました。中3の時ですね。そこで人生が変わったなぁと思います。これからも女優としてやっていきたいと思っているので、それに人生を賭けていきたいですね。

—-監督はどんな人でしたか?又、今後やってみたい役があればお聞かせ下さい。
山根さん ストレートな方です。自分にも本当にストレートにものを言ってくれるので、自分もある程度言いたい事が言えるしその事に対してちゃんと話し合えるし、1番現場で相談出来た人ですね。今後は、普通の学生や無口な役をやってみたいです。いつも暴れん坊の役なので(笑)自分とは逆の役をやりたい。そしてそんな自分を見たいです!

石川さん 監督は本当に良い方で、レッスンを乗り越えられたのは監督のおかげと言っても過言ではない位すごく支えて頂きました。本当に感謝しています。今後は、時代劇とか日本ものをやってみたいです。昔の事は今出来ないから。

山根さん 俺もやりたい。俺はおばあちゃんの為にやりたい。おばあちゃんが生きている内にそういった姿を見せたいですね。家族が大好きなので。今1番の俺のファンで応援してくれているのが家族だからね。

—-本作を振り返ってみて。
山根さん 俺が出演した作品はこれだよ!と胸を張って言える作品にはなっていると思います。HIPHOPを好きな人はもちろん、知らない人でも楽しんでもらえる作品になったと思います。
石川さん 何か目標が見つからないという人は結構多いと思うんですよ。そういう方に観て頂いて、“私も1歩踏み出して何か始めてみようかな?”とか思って頂ける作品なんじゃないかな?と思います。私も本作に関わって第1歩踏み出せたので。

執筆者

Naomi Kanno

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