フィンランドで話題騒然の映画!『ヘイフラワーとキルトシュー』は、シニッカ・ノポラとティーナ・ノポラの姉妹による童話『Heinahattu ja Vilttitossu』をベースにした作品。フィンランドで公開するや否や35万人を動員し、同国における歴代興行1位を記録!海外の映画祭でも数多くの賞を獲得するなど大ヒットを記録した本作は、とびきりポップでキュートな映画。主人公となる二人の姉妹、しっかり者の姉“ヘイフラワー”と、ワガママ放題な妹“キルトシュー”が周りの大人たちを巻き込んで繰り広げるお話は観る者をほのぼのとした気持ちにさせる。
ヘイフラワー役のカトリーナ・タヴィとキルトシュー役のティルダ・キアンレトは、約800人の中からラスティモ監督が選び抜いた2人なだけに本当の姉妹かと思ってしまうくらい息がぴったり!4年前に撮影されたという本作のプロモーションで、今回オフィシャルでは初来日を果たしたカイサ・ラスティモ監督。
「フィンランドでは多くの人の心を掴む作品になるという手応えは感じたけれど、まさか日本で上映されるなんて想像もしていなかったわ!とても驚いたけれど嬉しい!」と笑顔で語るカイサ監督。
オーディションから公開に至るまでのお話や、映画の裏側で起こったハプニングな出来事のお話は必見!

$orange ☆『ヘイフラワーとキルトシュー』は2005年10月、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー!
同時上映は「もぐらの宝物」に決定!フィンランド発とってもかわいい短編アニメーション $


—-まず、本作を監督・脚本する事になった経緯を教えて下さい。
出発点は娘です。当時娘は3歳でムーミンアニメが大好きだったのですが、ムーミンアニメ以外で子供に見せられるような相応しい児童アニメがないなぁ…と思っていたのです。そこで自分は子供時代に一体何が好きだっただろう?と振り返って、スウェーデンの原作:アストリッド・リンドレーンの「長くつの下のピッピ」が好きだった事を思い出したのです。この映画がTVで放映されるとちっちゃい子から、おじいちゃん、おばあちゃんまで皆が集まって観るんですよ。そういった映画だった事を思い出して、私も子供を主役にした映画や子供時代を思い起こさせるような映画を作りたい!と思ったのです。それから映画関係の知り合いが私に本作のベースとなった、シニッカ・ノポラとティーナ・ノポラの姉妹の童話『Heinahattu ja Vilttitossu』という原作本をくれたのですが、それを読んで私は“あ、これは絶対に私の思っている通りの映画になるな!”と思ったのがキッカケです。

—-監督にとって初の子供映画という事ですが、今までの映画作りと異なった点は?又、振り返ってみていかがですか?
出来上がった今では、自分でもなんであんな良い作品が出来たのだろう?と感じます(笑)。私は大人の為に何かを作りたいと思い、そこに丁度良くユーモアやビジュアル的にパッとくるようなものが活かされていたという部分で、大人を惹きつける事ができたのだろうと思います。それから自分自身、色がとても好きで、そんなカラフルな色使いが子供たちを惹きつけたのかなぁと思いますね。

—-とてもキュートでポップでカラフルな部屋や雑貨が、とてもかわいらしく印象に残りました。これは何かイメージするものや、参考にしたものがあったのでしょうか?
セットデザインを担当した、カティ・イルマランタが「長くつの下のピッピ」のビデオを全部さらったんですね。そこからヒントを得たのと、私と衣装さんと皆で話し合って、オリジナルでユニークな自分たちの童話の世界をイメージしながら作ったりしましたね。

—-キャスティングはどのように決めたのでしょうか?
オーディションには約800人の女の子たちが集まって、そこから半年かけて30人に絞って、更に8人にまで絞って…でもそこからが辛かったのですが、8人皆素晴らしい演技をしていてどうやって決めようかとても困難な選択に迫られました。でも最終的にはヘイフラワー役にカトリーナ・タヴィ、キルトシュー役にティルダ・キアンレトに決めたのですが、この2人を見てもらえればわかるように外見もなんだか似ているし、お互いがお姉ちゃん・妹として接し合っている様子がオーディションの間も見て取れたし、ヘイフラワー役のカトリーナがキルトシュー役のティルダをとても信頼しきっている様子が見受けられたのでこの子たちに決めました。

—-ヘイフラワーはしっかり者のお姉ちゃんで、キルトシューはわがまま放題の妹という設定でしたが、実際演じたお2人はどんな子たちでしたか?
オーディションでこの子たちの性格が反映されるように、それぞれの役柄に性格が似通っている子を選んだのですが、カトリーナはティルダと比べると大人しくてとても調和的なんですが、ヘイフラワーほどおりこうさん過ぎでもないし(笑)、ティルダの方はかなりのヤンチャ!でもキルトシューほどおてんばではないですね(笑)

—-どのようなテーマで作られたのでしょうか?
メインのテーマは“子供が子供らしくいられる事”です。それから、家族についてですが、お父さんとお母さんはやはり大人の振る舞いをして、子供はヘイフラワーみたいに大人のような子供ではなく、本当に子供本来の子供らしさを持てるように!というテーマで作りました。つまり、子供が大人の背負うような責任を持たなくていいように、持つ必要がないんだよ!という意味合いを込めて作りました。

—-本作は本国フィンランドで国内歴代興行1位と記録し、海外の映画祭でも多くの賞を獲得するほど大ヒットした作品という事ですが、監督自身このような結果は予想していましたか?又、この結果についてどう思いますか?
この映画が必ずフィンランドの人々の心を掴むのだろうな、という思いはありました。ですから50万ユーロというリスクを背負う事も出来ました。でも、まさか日本でこうやって公開するなんて事は全く想像していませんでしたね。あと、先日の来日記念パーティの時に発表会があったのですが、壇上に立つカトリーナとティルダの姿を見た時に感動して涙が出そうになりました。本当にただただ嬉しい限りで、これから日本で公開されますがどういった反響がくるのか…それが1番楽しみです。

—-小さな女優さんたちとの撮影で大変苦労も多かったと思いますが、1番のハプニング的な出来事などありましたら教えて下さい。
撮影が2ヶ月ほど経った時に急にキルトシュー役のティルダが、“私はもうキルトシューやりたくない!”と言い出したんです。あの時は驚きましたね(笑)ティルダは、ヘイフラワーに対して、あんなにワガママ放題言っている自分はイヤだ!と言って。でも私はティルダに、“キルトシューはまだまだ小さいからこういうワガママな態度を取るのよ。もうちょっと大人になればわかるから…。”と説得しました。それでティルダは納得してくれて、無事撮影も続行できたのですが、あれは本当にびっくりしました(笑)

執筆者

Naomi Kanno

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