『パセリ』の登場人物たちは、悩みを抱え、挫折をする。そんな彼らが希望を持ち、前へ進もうとする様は見る人の感動を呼び起こすことだろう。
 音楽活動の場も恋人も失ったストリートミュージシャンの一輝(友井雄亮)の前に突然現われた女の子の幽霊。“パセリ”と名乗るその幽霊は、自暴自棄に陥っている一輝に再び音楽への情熱を取り戻させようとする———。
 そんなけなげな“パセリ”を演じたのは、『非・バランス』で瑞々しい演技を見せた派谷恵美。パセリとの共通点を聞かれ「私は執念深いですね。引きずり女です(笑)」と笑顔を見せた彼女に、「植田監督が、お弁当のパセリをどうして誰も食べないんだよ!って思ったのがきっかけ」である本作について語ってもらった。

$green ☆『パセリ』は、2005年5月28日よりUPLINK Xにてレイトショー!$





——初めて“パセリ”の役と聞いた時、どう思われましたか?
最初、パセリの役が来ているよ、でも野菜の役じゃないよとメールが来て、「はあ!?」って(笑)。そして監督に会ってみたら「お前、面白いな」って言われて。私のやる気のなさを面白いと思って、パセリ役に選んでくれたみたいです(笑)。

——演じるに当たって、監督から何か指導は?
何もいわれてないです。監督のパセリのイメージとは全然違うので、「勝手にやってみて」と言われました(笑)。ただ、パセリは幽霊という設定ですけど、そこは意識しないようにしました。監督からも普通の女の子でいいからと。その方が好きな人に何もできなくてじれったい所とかが生きてくると思うので。役作りとかも特にはしていないです。ダメな時はダメだって言われるだろうと思って。逆に、共演者の友井くんは話し合って役を作り上げていきたいタイプなので、監督と色々相談していました。

——ちなみに派谷さんは野菜のパセリは食べますか?
食べないです。野菜食べれないんです(笑)。そういえばパセリって、木に生えてるんですね。現場の撮影用にあるものを見て、びっくりしました。

——パセリの想い人を友井雄亮さんが演じていました。共演した感想は?
いいお兄ちゃんでした(笑)。本当に現場が楽しかったので、このメンバーでよかったと思っています。ただ、雄くんは歌で苦労をしていたみたいです。私は泣くシーンが大変でした。最後の公園のシーンは、下校時間で学生がいっぱい来て、周りがガヤガヤしていて。全然集中できなくてダメかと思ったんですが、雄くんが歌い始めた時、自然と涙がでてきてました。

——友井さんとは、今ドラマ(『危険な関係』)で再共演されているとか。
そうなんです。「まただー」と思ってすぐ(雄くんに)メールを送りました。監督とかからも「今、友井と一緒にやってるんだって」ってメールをもらって。今の役は、婚約してるんだけど、お互い別に好きな相手がいるっていう設定なんです。

——その他共演者には、某バラエティー番組で有名になったヨモギダさんや、プロレスのマッチョ★パンプさんがいます。
ヨモギダくんは、私もテレビを見ていて知ってました。共演者の中に名前を見つけた時は、「あのヨモギダ!?」って(笑)。すぐ弟とかにメールしちゃいました。ヨモギダくんとは一番仲良くしていましたね。実際に話してみると、とても頭の良くて、話しやすい方で。テレビで話題になった人は色メガネで見られがちだと思うんですけど、番組で話題になったからとヨモギダくん自身もわかっていて、それを越えようと努力しているんです。本人と接した今は、バラエティー番組で知られている部分以外を見て欲しいと思いますね。マッチョさんは、とても良い人でした。見た目怖いんですけど、すごいかわいい目をしているんです。プロレスの試合を皆で見に行ったりしました。
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——『パセリ』に出演する前と後で何か変わったことはありましたか?
『パセリ』に入る前は、女優をやめようと思ってずっと勝手に休業していたんです。そんな時に植田監督に会いました。そこで唯一言われたのが、「派谷に仕事は面白いってことを知ってほしい」って言葉でした。「仕事だから嫌なこととか妥協しないといけない部分もあるけど、物作りって楽しいってことを単純に感じてくれれば、それでこの作品に入った意味があると思う」とクランクイン前からずっと言ってくださっていて。で、(撮影後)この作品で面白い人たちに出会えて楽しかったと私が言ったら、監督も皆も喜んでくれました。多分これをやっていなかったら女優を続けてはいなかっただろうなと思うので、『パセリ』は自分にとってとても大きな作品ですね。

——では“パセリ”を演じてみて、自分の演技に対する満足度は?
私は、役作りとか自分の芝居とかを考えた事がなくて。もともと読書が好きなんですが、本を読んでいると(登場人物が自分の中に)入ってくるじゃないですか。そういう感覚で台本も読んでいて、そのまま思った事をやっているので…。もちろんそれが違えば監督と話し合いますが、基本的に失敗とか考えずにやってみるタイプなので。だから満足度はわからないです。評価は他の人が下すものですから。

——今後やってみたい役はありますか?
思いっきり狂ってる、頭のおかしい子とかやりたいですね。それと風俗嬢はずっとやりたいと思っていて。あと、制服を着たいので女子高生も!

——では最後に、『パセリ』で一番注目して見て欲しいのは?
雄くんが演じている一輝の心理描写ですね。誰でも共感できる部分があるし、あと次第に前向きになっていく所、ひとつひとつ切ない所とかが観ている人にも伝われば。あと、(ヨモギダさんの)PATCH WORK LIFEのライブが入っているところも面白いと思います。あと雄くんの歌ですね。すごい頑張っていましたし、私も自然と涙がでるくらい感情を込めて演じていましたので、そういう所を見てもらいたいです。

執筆者

yamamoto

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作品紹介『パセリ』
公式サイト