吸血鬼<ヴァンパイア>と狼男族<ライカン>の宿命の対決を描いた『アンダーワールド』。『トゥームレイダー』のアンジェリナー・ジョリー、『バイオハザード』のミラ・ジョヴォヴィッチ、『キル・ビル』のユマ・サーマンに続き、強く美しいアクション・ヒロインが誕生した。自らの命を懸けた戦いに身を投じる女戦士・セリーンを演じたのは、『パール・ハーバー』、『セレンディピティ』のケイト・ベッキンセール。彼女の新境地を開拓することになった本作で監督を務めたのは、これが長編映画初となるレン・ワイズマン。これまで『インデペンデンス・デイ』、『メン・イン・ブラック』、『GODZILLA/ゴジラ』といった作品のプロダクション・デザインで映画に携わり、MTVやCF業界で確実にキャリアを重ね、その世界で知らぬ人はいないとされる鬼才である。この作品を機に彼女とも婚約をはたし、幸せいっぱいのワイズマン監督が本作のプロモーションのため来日。『アンダーワールド』が描く世界について語ってくれた。

『アンダーワールド』は、2003年11月29日より日比谷映画ほか全国東宝洋画系ロードショー






質問: 今回、監督業に進出した理由は?また、本作を映画初監督作品に選んだのはなぜですか?

レン・ワイズマン監督(以下、監督): 以前から、「『クロウ4』の監督をやらないか」って話もあって、監督をやるチャンスは何度かあったんだ。結局、『クロウ4』の監督はやらなかったけど、「君の力を買っているから、狼男をテーマにした作品をやらないか」といわれてね。そこで自分が見たいと思う狼男の脚本を、友人のダニー(脚本:ダニー・マクブライド)とトニー(撮影:トニー・ピアース=ロバーツ )と僕とで書き上げたんだ。その時から、監督は僕がやろうと決めていた。確かに監督経験がない人間を監督に起用することは、多大なリスクを背負うことになる。けれども企画が自分の一部になっていれば、すなわち自分が脚本を手掛ければ、監督をできる可能性は広がるわけだ。だから僕は脚本も手掛けたわけだけど、これはビジネスの戦略に過ぎない。ただ、自分が好きな要素もたくさんあるから、監督をやりたいという気持ちは強かった。でもこの作品が映画監督デビュー作じゃないとダメだった、というわけじゃないよ。

質問: 『アンダーワールド』で描かれるヴァンパイアは、これまでのヴァンパイアのイメージとは違っています。牙の代わりに、銃を武器に戦うヴァンパイアは、監督の中でどのように作られたのでしょう?

監督: まず、ヴァンパイアの存在にリアリティを出したかったんだ。にんにくがダメだとか、十字架が苦手だとか、鏡に映らないだとか、そういった部分には自分でも胡散臭さを感じていてから、できるだけそういった要素を排除して、科学的にヴァンパイアを描こうと思ったんだ。そうして作り上げたヴァンパイアを使って、アクションムービーを作ろうと思った。『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』と『ブレード』のヴァンパイアを意識してね。ちなみにライカン(狼男)は、ダークな狼とピットプル(犬の種類)を組み合わせたイメージだよ。これらのキャラクターたちによる、銃を武器に戦うアクション・ムービーを作り上げたかったんだ。






質問: 実写とCGの配分はどのように考えられて決めたのでしょう?

監督: 僕はどちらかというとCGは好きじゃないんだ。実写も多いけど、それはCGがあまり好きではないという理由と、予算的な問題でそうなったんだ。今回予算は2000万ドルだったからね。でもたとえ予算が1億2000万ドルあったとしても、CGはそんなに使わなかっただろうね。

質問: 映画を作るうえで、影響を受けた監督などはいますか?

監督: リドリー・スコットの『エイリアン』、『ブレードランナー』、ジェームズ・キャメロンの『ターミネーター』、リュック・ベッソンかな。マンガやコミックも大好きだし、「攻殻機動隊」、「アキラ」・・・列挙したらきりがないね。

質問: ラストは続編を予感させますが、『アンダーワールド2』の予定はありますか?

監督: 一緒に来日したダニー(脚本:ダニー・マクブライド)が、今、このホテルで『アンダーワールド2』の脚本を書いているところだよ。続編も、僕が監督して撮るつもりだけど、他にもいくつか進行している企画があってね。『Black Chapter』というCIAがエージェントに幽霊を雇って戦うアクション映画が、もしかしたら僕の次回監督作品になるかもしれない。もちろん『アンダーワールド2』も作るつもりだよ!

執筆者

Mika Saiga

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