クエンティンとはゆうばりファンタからの友人・ジュリー・ドレフュス『キル・ビル』裏話インタビュー
香港映画、マカロニウエスタン、日本映画、アニメなどなどタランティーノの映画の愛すべてがぶちこまれ渾然一体となった『キル・ビルVOL.1』。舞台の多くが日本になっており、数多くの日本人キャストも出演している。また。外国人キャストにも日本では馴染みの深い方が重要な役で出演されています。外国人タレントとして日本で活躍していたジュリー・ドレフュスだ。
ゆうばりファンタスティック映画祭でタランティーノと出会ってから友人関係にあるという彼女。今回彼女のために用意されたのは、オーレンイシイ率いる殺人集団「クレイジー88」の弁護士であり、唯一の生き残りであるソフィ・ファタール。悲壮に暮れる彼女の顔のアップでエンディングを迎える『キル・ビルVOL.1』、続編であるVOL.2を占うには重要な役回りだ!一体どんな役なのだろうか。また撮影秘話など、ジュリーさん教えて教えて!
—監督とはゆうばりファンタからの友人だと聞きましたが・・・?
ジュリー「そうです。ゆうばりで初めてお会いしてから、ずっと友人関係です。でも一度もいっしょにお仕事したことがなかったんですが、2年前ぐらい『キル・ビル』の準備に入る前に電話がかかってきて「ジュリーの役を用意したよ」っていわれた時はびっくりしました。」
—ソフィーはジュリーさんにあてがきして書かれた役ということなんですね。監督がキャストに役柄の参考になるビデオを見せたと聞いていますが、ソフィーはどんな映画から影響を受けて生まれているキャラクターなんでしょうか?ビデオを見るように監督から指示されたことはありましたか?
ジュリー「私は一本も見ていないんです。ソフィーという役は100%彼のイマジネーションから生まれたキャラクターなんですね。彼が映画から受けた影響をわかってもらうために他の役者さんは結構ビデオを見せられたみたいですけど、ソフィーは彼のオリジナルなので参考にするものがない独創的なキャラクターです。」
—最初に脚本を読んだときの感想は?
ジュリー「書いている間もタランティーノとは連絡を取り合っていたので、ソフィーの生い立ちやこれからのストーリーも聞いています。映画に登場するのはソフィーの人生のほんの一部分。キャラクターのすべてを彼は考えています。役者はすべてクウェンティンにそれを教えてもらえばいいので、すごく芝居はやりやすかったです。」
—ルーシー・リューとユマ・サーマンが日本語で啖呵を切ってるが日本では大爆笑されてますが、英語も日本語も堪能なジュリーさんはそのシーンはどういう風にうつるんですか?
ジュリー「ちょっと待って!私だっていまだに日本語のイントネーションは全然完璧じゃないですよ。だから2人の日本語が変だからってどうこう言える立場じゃないですよ!(笑)変なイントネーションで話すことによって、笑われることをクウェンティンの計算だったかどうかはわからないんですよね。まあ、文化によって笑えるシーンが違ってくるのはこの映画の魅力の一つであり表現方法の一つでもあると思います。」
—実は私、ジュリーさんの劇中での日本語でも笑ってしまいました。特に携帯電話でしゃべっているシーンが多いですよね。やたらとビジネスライクなんだけど妙にクールで・・・
ジュリー「あれはクウェンティンが書いた脚本を即興で日本語に訳して言ってるセリフなんですよ。あの携帯で話しているシーンで面白かったのは、ザ・ブライドが毒ヘビ暗殺団にぼこぼこにされているシーンでもソフィは携帯でのんきに誰かとしゃべってるんですよ。方や血だらけになっているのに、電話がかかってきて『あ、今会議中ですので・・・』っていうセリフがあるんですけど、ちょうど音楽にかぶっちゃっててよく聞こえないんですけどね。あのシーンはちょっと笑いとれたんじゃないかな、って思ってて残念なんですよ。」
—最後にジュリーさんの今後の女優活動の方向性についてお聞きしたいんですが?
ジュリー「そうですね、今回『キル・ビル』に参加して本当にエキサイティングな経験ができました。きっとこれを超える経験はないと思っています。(笑)いくつかヨーロッパの映画から話が来ているんですが、次回作は慎重に選ばなきゃね。」
今回、日本のテレビなどに出演していた時のイメージとはガラッと変わったキャラクターを演じ、女優としての新しい魅力を我々にみせてくれたジュリーさん。来年公開になる続編『キル・ビルVOL.2』での活躍(きっとものすごい悲惨なことになってるんだろうなぁ)、そしてこれからの活動も楽しみだ。
執筆者
綿野かおり