現在オールタイム興行成績第5位の8億ドルを記録し、日本でもこの正月映画ナンバー1ヒットは言うまでもなく、公開37日間で早くも142億円の驚異的な大ヒットで絶賛上映中の最強のファンタジー映画『ハリー・ポッターと賢者の石』。現在イギリスでは、第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の撮影が快調に進められているが、その撮影現場と日本を衛星回線で繋いでの記者会見が1月8日に東京全日空ホテルにて午後6時から開催された。
 イギリスの製作スタジオは、現地時間で午前9時。ホグワーツ魔法学校のグレート・ホールのセットでは、ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフさん、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンさん、ロン役のルパート・グリントさんという主要キャスト3名と、監督のクリス・コロンバスさん、プロデューサーのデビッド・ヘイマンさんが、教授たちが座るテーブルに並んで記者会見に臨んだ。映画の中同様、チームワークのよさを感じさせる主要キャストの3人は、ちょっと緊張した面持ちながらそれぞれ「アケマシテオメデトウゴザイマス」と日本語で挨拶。また、クリス・コロンバス監督は「現在2作目の撮影中のため、今回はこのような形での会見となったが、次回作の完成時には是非来日したい」と語った。以下、質疑の模様をお伝えしよう。

$navy ☆『ハリー・ポッターと賢者の石』は、丸の内ピカデリー1+渋谷東急ほか全国松竹・東急系にて大ヒット!絶賛上映中!また第2作『ハリー・ポッターと秘密の部屋』は2002年11月30日より丸の内ピカデリー1+渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー公開!$








Q.出演者の3人に、2作目の撮影に入られてそれぞれキャラクターは成長していくと思いますが、演じる上で注意されている点、心構えなど教えてください。
ダニエル・ラドクリフさん——僕のハリー・ポッター役は1作目では魔法のことを知らずに学園に入っていって観察しているようなオブザーバー的な立場だったのが、2作目では大分成長を遂げて自発的に行動するようになってきたと思います。
エマ・ワトソンさん——私のハーマイオニーは、1作目ではかなり威張り散らして男の子達には嫌われていたんですが、2作目では大分フレンドリーになりますし、それほど威張らない、エキサイティングでありながら好かれる役になってきます。
ルパート・グリントさん——ロンの役は、今度は妹のジニーが入学してきますので、彼女の面倒を見る役割がでてきます。それとかなり気持ちが悪い“スラッグ”という虫が出てくるんで楽しみです。

Q.監督に日本でも大ヒットをしていますが、その感想とヒットの要因に関してお話しください。
クリス・コロンバス監督——要因に関しましては、全世界で1億冊以上読まれている本自身の大成功というのがありますが、それに加え本が抱えていたテーマが今の若者達にアピールし善と悪がはっきりしたものと描かれ、子供にとってはこの物語から忠誠・友情・勇気といったことを学べるものとして出来ていると思います。また、この世知辛い世の中で何か魔法のようなものを信じたいという気持ちが、人々の中にあると思います。それから、やはりこの3人の素晴らしく気の合ったパフォーマンスが成功の要因になっていると思います。

Q.原作にあった“ピーブス”という存在が1作目では出てこなかったのですが、2作目で登場するのでしょうか?また、監督のCGの使い方について教えてください。
クリス・コロンバス監督——“ピーブス”のシーンは撮ったんですが、そのデザインが気に入らなかったのでカットしたんです。その後我々全員が気にいったデザインが出来上がりましたので、第2作目では必ず登場しますし、その悪戯が見れるでしょう。そして、この1作目が1・2年後にDVDが発売されるときか、新たに公開されるときかはわかりませんが、この“ピーブス”は復活するでしょう。私もプロデューサーのデビッドも原作の大ファンですから、出来ることなら本の全ての要素を映像化したい。しかしそれでは6時間を越えるものになってしまうでしょうから、無理なのです。でも、DVDなどではかなり増えるでしょう。
CGに関しましては、クイディッチの場面が非常にスピーディーでよりバイオレントになり、より見応えのあるものになるでしょう。全体的に少しダークになり、少しアドベンチャーの要素が強くなるでしょう。








Q.プロデューサーのデビッド・ヘイマンさんに、1作目は既に全世界で8億ドルという驚異的な数字で歴代第5位の成績と成っていますが、どのようなご感想でしょうか。
デビッド・ヘイマンP——昨日現在で8億1,100万ドルという数字になりました。この数字はプロデューサーとしましては勿論嬉しいです。この1作目を製作するときも、ベストセラーの映画化ということでプレッシャーを感じないかと質問を受けましたが、製作者としては動員ということよりも最高の映画を作るということしかできないのですし、それはコントロールできるのです。私も監督も原作に非常に強い情熱を持っていましたので、それを持って映画化できればという気持ちで製作していますし、2・3作目もそういう気持ちで製作すれば成功に繋がるかと思います。

Q.ダニエルさんに、世界でそして日本でもこれだけ多くの人たちが作品を観ていることの感想をお聞かせください。また、1作目の撮影で苦労した点、及び今撮影中の2作目での苦労などありましたらお聞かせください。
ダニエル・ラドクリフさん——当然ながら、すごくエキサイティングな気持ちです。自分の体験した撮影も素晴らしいものでしたから、2作目以降にもこの成功が続くよう期待しています。1作目で難しかった部分は鏡の部分ですね。鏡の前では演技としてはフラストレーションもありますが興奮もある、嬉しいけれど悲しい、そうした複雑な気持ちをカメラの前で演じることが難しかったです。2作目に関してはまだ判りません。監督をはじめみなさんのサポートも多いので、まだ苦労はしてません。

Q.出演者の方達に、有名な俳優さん達との共演で何を学ばれましたか?
エマ・ワトソンさん——素晴らしい俳優さんたちに囲まれていたわけですが、一番学んだことは忍耐強くするということです。そして、映画作りをするのは演技をすればいいというものではなく、他の人々とのチームワークなんだということを学びました。
ダニエル・ラドクリフさん——僕も様々なことを学びましたが、特にクィレル先生役のイアン・ハートさんから集中するということを学びました。そして自分のキャラクターをよく知るということ、自分の気持ちを伝えるときに自分の言葉を使って伝えるということも学びました。
ルパート・グリントさん——特に何かのコツをということではないんですけど、一緒に仕事をするだけでインスピレーションをたくさんいただきました。とてもいい人たちで、クールでした。









Q.そのセットについて教えてください。秘密の部屋のヒントがあるんでしょうか?
クリス・コロンバス監督——ここは“グレート・ホール”というホグワーツの食堂で、今座っているのがプロフェッサーの座る席です。このスタジオ内で、全てのセットが作られてます。

Q.原作者のJ・K・ローリングさんにお会いした時の印象と、受けたアドバイスなどありましたら教えてください。
ルパート・グリントさん——凄くいい人でした。演じる上でのアドバイスは特にありませんでしたが、兎に角僕は原作の大ファンだったので彼女に会えて嬉しかったです。
エマ・ワトソンさん——私にとっては彼女に会うことは、すごく大事でした。ハーマイオニーのキャラクターには彼女自身が反映された部分がかなりあると聞いていました。実際に会って見るととても綺麗な人ですし、ユーモアのセンスのあるとても素敵な人でした。
ダニエル・ラドクリフさん——地に足のついたとてもいい人だと思いました。アドバイスは特にはなかったですが、非常に様々な面が描かれた原作を書かれているということ自体が、アドバイスになっていたと思います。そこに様々なヒントがありました。
クリス・コロンバス監督——彼女とはスコットランドで会ったのですが、事前に写真を見ていなかったのでアンジェラ・ランズベリーのような人を期待していたら、僕よりも全然若くてひじょうに頭の回転が速く、またユーモアがある楽しい人でした。「どういう映画を作りたいのか?」と聞かれましたので私が説明すると、「私の作りたい映画もそうです」と答えられ、その瞬間から私達はコラボレーターになり一緒に作ってくださったのです。その中で、一度もこういう風にしてはいけない、こうしなければならないということはおっしゃらず、インスピレーションと様々な情報を与えてくれたのです。最高のコラボレーターでした。
デビッド・ヘイマンP——彼女と最初に会ったのは5年前で、その時点で映画化権を買いました。私達が約束したのは、この原作に忠実に映画化するということで、その後彼女は脚本家やクリス監督に会い、全幅の信頼をおいてくれたのです。原作が木であればその根に当たる部分の情報を、与えてくれました。ホグワーツの地図を書いてくださり、それに基づいて映画作りをしました。指標になってくれたのです。時々、私達が質問したことに、「それは“ブックス・セブン(最終章)”に出てくることだから、教えられないの」ということがありました。そういう部分は待たなくてはならないのですが、クリスは本当によく原作を理解しているので、時折“ブックス・セブン”に出てくることを推測してしまうような場面もありました。1作目でスネイプ先生役のアラン・リックマンが奇妙な目線を送ったシーンがあるのですが、その意味は“ブックス・セブン”に出てくるから言えないとか(笑)。兎に角、監督も言ったように彼女は最高のコラボレーターでした。

執筆者

宮田晴夫

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