ささやななえこ原作のホラー・コミックを、『死霊の罠』などホラー作品も手掛ける池田敏春が監督した2話構成のオムニバス・ホラー『いきすだま〜生霊〜』が完成した。二つの独立した物語であった原作に、それぞれの話の主人公が兄弟であるという連続性が加えられたこの映画では、兄弟ユニットとして日韓でブレイク中のDOGGY BAGの二人(松尾雄一・光次)が主人公の吉野兄弟を演じているほか、若手女優の中でも特に目覚ましい活躍を続けている三輪ひとみ・明日美姉妹がそれぞれ重要な役どころで大きな存在感を見せるなど、兄弟・姉妹4人の競演が大きな魅力となっている。
 一般公開に先立つ6月15日にこの作品の特別試写会がTOKYO FM ホールにて開催された。当日はあいにくの雨模様だったが、多くの女性ファンを中心とする観客で会場は賑わいをみせ、上映前に行われたDOGGY BAGのお二人、三輪姉妹、池田監督、ささや先生らによる舞台挨拶では、黄色い嬌声がしばしまき起こっていた。







 池田監督曰く“青春学園アイドル音楽ホラー”という『いきすだま〜生霊〜』は、松尾光次さん演じる吉野良二が、三輪ひとみさん演じる同級生浅茅優子から強い思慕を寄せられ、それが恐ろしい事件に発展していくという第1話「生霊 いきすだま」と、三輪明日美さん演じる仲田菜穂子が引っ越してきたマンションで体験する怪現象を描いた第2話「空ほ石の…」からなり、松尾雄一さんは、菜穂子を助ける良二の兄一彦役を演じて、それぞれ姉・弟、兄・妹の共演作という組み合わせになっている。

 原作者のささや先生は、原作の風俗描写などの細かい部分を現在風に翻案された今回の映画化には、感心したとのこと。特に4人の若手キャストに関しては、「DOGGY BAGのお二人は、とにかく顔がイメージどおりだったのでびっくり。初めての映画出演と聞いていましたが、よかったです。ひとみさんが演じてくださった浅茅優子は、前もってあまり美人じゃない人をということを再三言ってきたので、ひじょうに美人のひとみさんに決まり「うわっ」と思ったんですが、雰囲気を出すのがとても巧くて安心しました。明日美さんも、今の女の子の演技が上手でただただ感心していました」と大満足のご様子。

 原作者から絶賛を受けた4人だが役作りや、演じてみての感想はどうだったのか。映画初出演のDOGGY BAGのお二人は「台詞を言うのが大変だった。俺とは全然違う人なので、監督の指導の元頑張らせていただきました」(雄一さん)、「役作りはしてないです。監督や三輪姉妹に教えてもらいながら演じてました。歌の部分は素ですね」(光次さん)と、謙虚な答え。それでも、「光次君も勘がいい方で、撮影が進むに従い演技とかも普通にナチュラルになってきてやりやすかったですよ(ひとみさん)、「今回の作品はオール・アフレコで、私は後から映像を見ながらのアフレコってすごく苦手で難しいと思っていたんですが、二人ともリズム感がいいからか、吸収率がよくて早かったですね。一応誉めてみました(笑)」(明日美さん)と、映画では大先輩の姉妹からのウケも上々だ。









 今回の映画に関して、「単純に映画初出演の二人に現場が好きになって欲しかった。そのために努力をしただけで、後は二人の気分が出ていてよかったなと思う」と話したのは池田監督。撮影中には、監督と雄一さんの誕生日が続き、サプライズのお祝いが行われたりと、この日の舞台挨拶同様和やかな現場だったようだ。しかし作品の方は、ワイヤーに吊られながら頑張ったひとみさんらの好演、池田監督らしい赤や青の照明効果や濡れた映像が美しく、演出にも緊張感のある快作に仕上がっている。

 さて、ホラー作品の見所は怖さということで、4人がそれぞれ作品中で怖かった場面についても語ってくれた。それぞれ、「1話でひとみ姉ちゃんが、ブゥンと出てくるところ」(雄一さん)、「2話の押入れから出てくる子供」(光次さん)、「2話で出てくるマンションの写真に写っている窓枠より大きい明日美の顔(笑)」(ひとみさん)、「1話で光次が雄一のことを「お兄ちゃんと呼んでいるのには、すごい寒気がしました(爆笑)」(明日美さん)とのこと。映画を観る時には要チェックだ。

 なお、この日の試写会は“4ヶ国公開決定記念”と銘打たれたもの。既に日韓合同ユニット“Y2K”として、韓国でも高い人気を誇るDOGGY BAGの初主演作品ということもあり、この作品は既に日本以外の3ヶ国での公開が決定しているのだ。舞台に立った中川プロデューサーの話によると、当初の発表とは若干時期に移動があったものの、韓国では10月、台湾・香港ではそれぞれ9月からの劇場公開が決定し、また中国でもDOGGY BAGのコンサート・ツアーにあわせて10月の劇場公開が予定されるとのこと。今後のワールド・ワイドな展開が楽しみだ。また、新宿東映パラス2での上映に当たっては、ハングル語字幕付版で上映が行われる。

 舞台挨拶の最後は池田監督からの、「この子達はすごく良いから、是非楽しみにみてください。怖いのは怖いと思うけど、この4人が本当によく頑張ってくれて一番魅力的な姿を撮ったつもりですので、楽しんでいってください。」というメッセージで幕となった。

 なお、『いきすだま〜生霊〜』は6月23日より、新宿東映パラス2ほか全国東映洋画系劇場にてロードショー公開される。

執筆者

宮田晴夫

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