アルバトロス・フィルム配給にて、『SERGIO&SERGEI』(英題)が『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』として、12月1日(土)の映画の日に公開することが決定、この度、本作でセルゲイ救出に重要な役割を果たすハリウッドの怪優“ロン・パールマン”のインタビューが届きました。
1991年、東西冷戦時代の末期。キューバで暮らす大学教授のセルジオは、ある日宇宙ステーションに滞在中のソ連宇宙飛行士セルゲイからの無線を受信する。激動の時代ゆえ孤独と将来の不安を抱える2人は交信するうちに、国境も身分も宇宙も越えて親友になる。そんな時、ソ連が崩壊したことで事態は急展開、セルゲイは帰還無期限延長を宣告されてしまう。家族を心配する親友を救おうと、セルジオは予想外の大作戦を思いつく…。
 物語のモデルとなったのは、実在する元宇宙飛行士で“最後のソビエト連邦国民”と呼ばれたセルゲイ・クリカレフ。冷戦終結直後の奇跡のような出来事をファンタジックにアレンジしたのはキューバを代表するエルネスト・ダラナス・セラーノ監督。トロント国際映画祭ほか、世界の映画祭で観客の喝采を浴びた。
歴史に翻弄された2人の運命を交錯させた異色のハートフル・コメディです。

<ロン・パールマン インタビュー>
・この映画に参加することになった経緯は?
本作の撮影監督で、僕の友人でもあるガブリエル・ベリスタインと仕事で、生まれて初めてキューバに行ったんですが、そのとき、プロデュ―サーのアドリアナ・モヤと他の作品の件で会い、彼女から、ロシア人の宇宙飛行士と、大学で哲学を教えているキューバ人のアマチュア無線家と、アメリカ人ジャーナリストが出会う物語を作ろうとしていて、3人がどのようにして出会うのか考えているところだと聞いたんです。おもしろいと思いました。アイデアを聞いただけでわくわくしましたね。全く違うイデオロギーの中で暮らしてきた3人の男が、人間として心から、互いのために、全てを捨てて助け合う。3人は歴史を作ろうとしたんじゃないのです。結果として、そうなっただけなのです。

・今回演じたピーターという役柄と、主人公のセルジオとの関係を教えてください。
ピーターにとって全体主義は遠い世界のものではなかったのです。彼は、その影をずっと引きずって生きてきたので。彼の一族はポーランドの出身で、ポーランドにはスターリンに虐殺された人もいました。だから、その狂気をいやというほど知っているのです。だからピーターは、自由が奪われた社会で暮らすことの難しさに、常に関心を向けてきました。
ピーターはセルジオの父と長年にわたって交流してきました。2人はモールス信号の愛好家で、それを通じて出会い、遠く離れていながらもいい友達でした。会ったことも、声を聞いたこともなく、モールス信号だけで交流していたんですよ。そういう経緯があったから、セルジオはピーターと声で通信出来るようになると、政治や家族などさまざまなことを互いに話し合いました。そんなとき、運命のいたずらで、セルジオは宇宙に取り残されているソ連の宇宙飛行士とアマチュア無線で知り合い、交信するようになるのです。セルジオはピーターがNASA関連の情報通だと知り、ピーターなら何とかしてくれるかもしれないと考えるようになりました。どんな状況で彼がそう思うのかは、今説明しない方がいいよね。

・あなたはおそらく、有名なアメリカ人俳優として初めてキューバ映画のチームに参加して、キューバで撮影を行った俳優だと思います。今回の撮影を通し、どのような経験をしましたか?感想を聞かせてください。
実は、もう1つこの作品に惹かれた理由があります。僕はインディペンデント映画オタクなんです(笑)。もう宗教みたいなものです。自分でも撮影しているくらいに。それに、自分たちが実際に何をやれるか、見てみたいと思ったんです。なぜならキューバとアメリカの関係にはまだ課題があって、解決しなければならない問題もたくさんある。問題解決のために、1つ自分たちにも出来ることがあると思いました。キューバに来て数週間になるが、人生で最高の時間を過ごしています。キューバの文化にすっかり夢中です。この国に住む人々の生命力や魂、いろんなものが溢れています。音楽、食べ物、人々の表情や動き――そういったものすべてに、誇りと生きる喜びが垣間見えるのです。胸が熱くなってきますよ。

・ダラナス監督はどのような監督でした?
彼と仕事が出来て、とても素晴らしい経験が出来ました。僕はダラナス監督の作品をずっと観てきました。簡潔で、余分なものは一切なく、美しかった。どの作品もみな、究極に思えるくらい、ありのままを映しています。ダラナス監督の映画の芸術性はどこからくるのか、どうやって撮影を進めていくのかを知ろうと、この1週間じっくりと観察しているんです。キューバ人の映画監督と仕事をするのは初めてでしたし、キューバ人ってことはさておき、ダラナスのような監督とは初めて出会いました。だから、これは秘密ですが、ダラナス監督は僕を観察していて、僕からアイディアとか何かを盗もうと思っているんですよ。でも実は僕も、彼をずっと見ているのです。彼の才能はどこから生まれてくるのか、じっくりと観察させて貰っていますよ。どうすればもっと現実味のあるシーンを作れるか議論をするとき、僕が意見を言うと、ダラナス監督はいつもこう付け加えるんです。「ああ、そうだ、その方がずっといい。そんなこと、思いつかなかったよ」って。みんなで協力し合い、気持ちよく仕事が出来ています。ダラナス監督は懐が深く、僕の好きなようにキャラクターを演じさせてくれるから。

・現場での面白いエピソードなどはありますか?
話したくない話ならたくさんあります。話せるのはそこまでですけど(笑)。キューバはまるで魔法の国です。これまで旅したどの国より、生命力に溢れています。困難に立ち向かうエネルギーに溢れてるんだ。だから僕は、僕が大切に思っている人たちをキューバに呼んで、僕が体験したことを彼らにも体験して欲しいと思っています。本当に素晴らしいチームと仕事が出来ています。いつも陽気な現場で、笑いでいっぱいです。誕生日の人がいると、みんなで祝うんですよ。人のあたたかさが感じられる、素晴らしい現場です。

監督:エルネスト・ダラナス・セラーノ『ビヘイビア』
出演:トーマス・カオ(セルジオ)、ヘクター・ノア(セルゲイ)、ロン・パールマン
製作:スペイン・キューバ/2017年/93 分/シネスコ/原題:SERGIO & SERGEI/言語:スペイン語・ロシア語・英語
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