人気バンド“blur(ブラー)”のアルバムと同名タイトルの映画、『モダンライフ・イズ・ラビッシュ ~ロンドンの泣き虫ギタリスト~』が、11月9日(土)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国ロードショーいたします。この度、先日解禁となったティザービジュアル、特報に

英国イケメン俳優 主演ジョシュ・ホワイトハウスが来日、話を聞いた。

――日本の印象は?

初来日だけど、着いてまだ2日で、取材ばかりでなかなか外に出られないんだけど、六本木を散歩したよ。今夜は渋谷をちょっと見れたらいいなと思ってるよ。

――本作のリアム役を演じることになった経緯は?

エージェントから「この脚本を読んでみて」と電話があり、読んだら気に入ったのでオーディションに行きました。最終的にオーディションは2回あったんだけど、結果的に「決まったよ」とエージェントから連絡がありました。

――本作のどういう部分に惹かれたんでしょうか?

(恋人たちが別れる場面から始まり、過去に遡っていくという)時系列順ではない時間が前後する構成が面白いし、ユーモアもあり、お涙頂戴過ぎず、でもロマンティックなところが気に入りました。ミュージシャン役で映画の中で歌えるという部分にも惹かれました。

――リアムのデジタル化に傾く音楽業界に批判的な姿勢、アナログな生き方にも共感したそうですが、具体的にどういう部分がご自身と重なったんでしょうか?

リアムのフラストレーションはすごくわかります。デジタル化が進んでCDが作られなくなっていくことは僕も悲しいし、自分の手で直接触れることができるものがほしいと思うんです。僕もライヴをやるとCDをそこで売るし、CDのジャケットも自分で作りたいと思います。まあ、CDは傷がついて聴けなくなったりして面倒くさいというナタリー(リアムの恋人)の気持ちもわかりますけど(笑)。僕自身、カセットを集めたり、カセットに録音もするし、16歳のときに初めて作ったデモテープもまだ残ってるんだ。だからリアムの気持ちはよくわかるよ。

――1990年生まれですから、物心がついた頃にはある程度、デジタル化が始まっていた科と思います。あなたのそういうアナログな気質は周りからは少し浮いていた?

1990年生まれだけど、確かに周りの子どもたちとはちょっと違ったかもしれないね(笑)。でも、小さいときはまだカセットテープが主流だったし、そこからの移行期を間近で経験してるんだよね。ボタンを押したら録音ができるカセットって簡単だし、昔はカセットプレイヤーを2つ用意して、自分でギターを弾いて録音し、片方のテープからからもう片方のテープに録音するのを繰り返して、トラックを重ねてひとりでバンドのような曲作りをするというのをやってたよ。13歳くらいの頃かな?

――そもそも音楽を始めたきっかけは?

姉の友人にドラマーがいて、彼のバンドがTVにも出るようになって「すごい!」と思って自分も音楽をやりたいと思うようになったんだ。10歳でギターの教室に通い始めたけど、人から教わるのが好きじゃなくてしばらく間が空いて、12歳でエレキギターを友達が見せてくれたのをきっかけに、またやり始めたんだ。

――役作りでは、曲やセリフをオーディオブックにして、それを聴くことで役になり切っていったそうですが、現場に入って監督やナタリー役のフレイア・メーバーとはどんなやりとりがあり、関係性を作っていったんでしょうか?

撮影に入る前、「2人で遊びに行ってきなよ」って、監督とプロデューサーにお金とライブチケットを渡されました。それで彼女と2人でボウリングに行ったり、ライブに行って、自然と絆が深まりました。すぐにウマが合って、仲良くなったので、その関係をスクリーンに投影させるのはそんなに難しいことじゃなかったよ。彼女は女優としても素晴らしいですし、やりやすかったね。

――恋人たちの10年という時間の流れを見せるという点で、難しかったところは?

10年の時間を行ったり来たりしながら演じるというのは、とても難しい挑戦でした。ただ、監督が演技の前にいまはストーリーのどこにいて、どんな気持ちかというのを説明してくれていたし、もちろん脚本にもそれはきちんと書かれていたので、なんとかやることができました。

――リアムとナタリーは音楽の趣味がきっかけで付き合い始めて、音楽に対する価値観が、ところどころで彼らの関係には強い影響を与えることになりますが、あなた自身、恋人と交際する上で重視する価値観、ここが一緒でないとうまくいかないと感じる部分は?

好きな女の子ができた時、音楽の趣味が合うかというのは僕にとってはそこまで重要な項目じゃないかな。そこにこだわり過ぎるのも変だと思うし、リアムとナタリーはそこだけでなく他の部分も合っていたからこそ、互いに愛し合い、パートナーとしていい付き合いができてきたんだと思う。僕が好きになった子が、もし僕が嫌いなタイプの音楽を好きだったとしても全然かまわないよ。ただ、たまに「ちょっと音楽消してくれ」って言うかもしれないけどね(笑)。

――あなたが考える理想的な恋人との関係性は?

たとえ長い間離れていたとしても、その人と一緒にいたいと思える関係、その人と一緒にいることができれば幸せと思える関係が理想だね。

――音楽活動、モデル、俳優と三足のわらじで活動されていますが、それぞれの活動は互いに影響し合っていますか?

最初にミュージシャンとして活動を始めて、そこで表現すること、人々を楽しませること、そしてもちろん、メッセージを伝えるということを覚えました。それはアートの基本だと思う。音楽が俳優業に影響を与えている部分はもちろんあって、たとえば長いセリフを覚えるとき、そのまま覚えるのは大変だけど、そのセリフを言うときのムードに合わせた曲を作って、音楽にセリフを乗せて覚えたりしています。逆に俳優業が音楽活動に影響を与えている部分もあって、長いモノローグのセリフを曲にして覚えている内に、そのモノローグのような曲を作りたいって思うようになり、一般的なリフがあって、ブリッジがあって…というような組み立てではない形で曲を作ったりもしたよ。モデル業に関しては、俳優業に影響を受ける部分が大きくて、最初のうちはモデルとしてポーズをして…という感じでやっていたけど、俳優を始めて、モデルというのはカメラの前で役になり切ることなんだと理解することができました。

――映画の中のバンド「ヘッドクリーナー」がSNSなどを通じてバズっていくさまが描かれますが、あなた自身、本作への主演やスティーヴ・マックイーン監督の短編作への出演、ミスター・バーバリーのモデルを務めたことで、知名度を上げています。こうした現象をご自身はどう受け止めていますか? 「バズった」という実感はありますか?

うーん、そうだね…(笑)、たしかにここ最近で“フォロワー”が増えたのは事実だね。ただ正直、僕は有名になりたいわけでもなくて、道で急に呼び止められたり、友人といるバーで人が集まってきたりするのは好きじゃないんだ。でも、アーティストとしては、売れなきゃ貧しいままだし、どんなに曲を書いても誰も聴いてくれなければ意味がないこともわかってる。そのバランスが難しいというのを感じているよ。自分が出演する映画や作った曲をみんなに知ってほしいし、みんなから求められたい気持ちはあるし、そうやって自分が生活していければとは思っているけど、とはいえ“スーパースター”になりたくはないんだ。ただ、自分は既にそういう流れに乗ってしまったので、これから先、どうなるのかはわかんないし、自分でもどうなるものか見てみようという気持ちで、(「不思議の国のアリス」のように)ウサギの穴に落ちてどうなるのかわかんないような感じかな(笑)。

――最後に映画を楽しみにしている日本の観客へのメッセージと映画の見どころをお願いします。

まず「日本の観客にメッセージを」と言っていただいて、ありがとうございます。そうやって、日本のみなさんにメッセージを伝えられる立場にこうして自分がいるというのを光栄に思っているし、僕をこうして歓迎し、温かく受け入れてもらえて、映画も注目してもらえて、すごく嬉しいです。映画を楽しんでほしいし、僕の音楽やアートに関しても注目してもらえたら嬉しいです。いろんなクリエイティブな活動をしているので、みんなとシェアしたいと思います。この映画に関して、“ここ”という見どころは言いたくなくて、とにかく全編を見て楽しんでほしいです。アリガトウゴザイマス!