●意外にもシリアスな作風でしたが、本作の公開後、どういう反響がありましたか?

僕あてに直接、作品の感想が届くことは少ないのですが、マスコミ向けの試写会の際、こっそり立ちあうことはあります。おっしゃるとおり、僕は笑う映画を作ったつもりはまったくなかったのですが、意外と皆さん笑っていたので驚きました。そこは怖がるところ、そこは泣くところなのに、と思っても、皆さん笑っているのでびっくりしましたね。たとえば通天閣のシーンで主人公のお父さんがお母さんになじられる場面では、女性は皆笑っていて。ただ、男性は冷や水をかけられたようにぞっとしているように感じたので、観る人によって見えかたが違うことが面白いなあと思いました。お父さんはあそこまで言われたらショックで死んじゃう、お母さんにとってはしてやったり、その一言を言ってしまった、という感じなんでしょうね。

●実際にいそうですよね。10日後とかに家を出る家族が。

鈴木一家も判断が遅いですが、けっこうな確率でいるとは思います。ずっと待とうって、食べ物と水がなくなるまでとにかく我慢し続けちゃう。待っていても助けが来ないんだって判断をどのタイミングでするかって、何の情報もないので自分で決めるしかない。それが命取りになるかもしれないけれど、そういう判断って日本人は基本的にしたことがないですから。地震や津波は起きちゃったどうしようという災害の瞬間が目に見えてあるものですが、この話はディザスターが起きていることが誰にもわからないんですよね。時間が経過すると、まだ停電が続いていることは実感するけれど、その時はもう手遅れなんです。ヘンテコな構造の話ですから、パニック映画のようでそうじゃない。誰も作らないなら自分で作ろうかなと。

●それこそハエだけでCGでも、リアリティーがグンと下がりますよね。

何かにつけてデジタル技術が発展してきていて、ハリウッド映画がわかりやすいと思いますが、そこそこ本物に見えるなら、実写で撮らなくてもCGでやればいいじゃないかってなってくる。日本の技術もどんどん上がって来ていて、わざわざそこは実写でやらなくてもという誘いが耳に入ってくる。スタッフのほうからもわざわざスケジュールを切って、安全を確保して、天候に左右されずにやれるという話が来るんです。ただ、僕は特撮好きなので、CGはすぐわかっちゃう。それくらいちゃんと撮ればいいじゃないという映画がたくさんあって、本当にやればいいことをデジタル技術ですましているんです。

●「矢口史靖監督のサバイバルのススメ」など、映像特典について教えてください。

僕があったほうがいいと、つい言い出しっぺになってしまったので作ることになった特典で、最初は猫缶食べ比べなどのバラエティー番組風のアイデアが出てきましたが、実際に使えるものにしたいとリクエストしました。なるべく実践的なもので、「この特典映像を見れば、知らない人よりは一週間くらいは生き延びられる」ものをと、それで5種類ほど映像を作りました。水、食料、体温保持、排泄、火、これくらい知っていればすぐには死なないだろうと。映画の中にも出てきますけど、それを実現可能なものに絞ってやってみたわけです。

●初めて本作を観る人に向けてメッセージをお願いいたします。

今の世界で電気がいきなり消滅したら、どれだけ大変なことになるか、誰も本気で考えたことがないと思います。しかしもし、それが起きた時にはいきなりサバイバルが始まる。この映画の主人公はあなた自身です。崩壊した世界でどうやったら生き残れるのか、映画を観て疑似体験してほしいですね。

■リリース情報
「サバイバルファミリー」 発売中 ※レンタル同時リリース

●Blu-rayスペシャル・エディション (本編Blu-ray+特典Blu-ray)
PCXC-50129 ¥7,600+税
●Blu-rayスタンダード・エディション (本編Blu-ray)
PCXC-50130 ¥4,700+税
●DVDスタンダード・エディション (本編DVD)
PCBC-52567 ¥3,800+税

■関連サイト
映画「サバイバルファミリー」ブルーレイ&DVD HP
survivalfamily.ponycanyon.co.jp/
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