伊藤潤二原作「案山子」(朝日ソノラマ刊『伊藤潤二・恐怖マンガCollection』より)の映画製作記者会見が13日、銀座東急ホテルで行われました。今回、メガホンを撮るのは「リング0バースディ」の鶴田法夫監督。「撮りたいと思った理由は2つあります。伊藤先生の原作であること、そして、日本・香港の合作だということ」(鶴田監督)というだけあって、キャストには日本=香港のフレッシュな顔ぶれが勢揃い。「愛を乞う人」で日本アカデミー賞新人賞を受賞した野波真帆、「バトルロワイヤル」で注目を浴びる柴咲コウ、映画に舞台と広く活躍する松岡俊介、そして香港からは「ジェネックス・コップ」のグレース・イップが伊藤潤二ワールドに初挑戦。当の伊藤先生は「なんでこんなに映画化されるのか不思議なんですけどね(笑)。素人くさいことを言うとひたすら嬉しいんですけど。ホラー界のカリスマ、鶴田監督の手腕に期待しています」とのこと。これからクランクインとなる「案山子」ですが、公開は2001年初夏全国ロードショーの予定。「伊藤潤二原作もので、一番怖くて一番面白い映画にします!!」(鶴田監督)。



 「案山子」製作発表会には伊藤潤二さん、鶴田法男監督、野波真帆さん、柴咲コウさん、松岡俊介さん、グレース・イップさんが出席。「ずっと田舎住まいなんですが、子供の頃、案山子の存在が不気味で仕方なかった」と創作のもとを語る伊藤さん。鶴田監督は伊藤原作のアイディアを借りつつ、他の要素をまじえオリジナルに近いストーリーを組み立てていったとか。「心理ホラーのティストに古典的な背景を加味しました。例えばフランケンシュタインやドラキュラのような…そんな雰囲気を演出したいですね」(鶴田監督)。
#さて、主要キャスト4人は本作がホラー映画初体験となります。怖い話は大嫌いという野波真帆さんは「演じる自分が本当に怖いと思える映画にしたい。シナリオの決定稿を読んだ時点で背筋がぞくぞくしてきました(笑)」と意気込みを露わに。「撮影もこれからですし、まだ手探りの段階。役づくりといっても…死人の役ですしね。うーん、考えている最中です」とマイペースな返答をくれたのは柴咲コウさん。「『バトルロワイヤル』の予告編(!?)を観て出演を依頼しました。一番目立ってましたから」(鶴田監督)、果たしてどんな死人役を見せてくれるのでしょうか。
#一方、松岡俊介さんは脚本読了後、”なんと生活感のない人物だろうと思った”と率直な感想を語ったあと、「生活感のなさすぎる、この気持ち悪さをどう演じるか(笑)。余り詰め込めすぎずに、出来るだけシンプルにやってみたいと思っています」とコメント。「今回、日本映画に参加できて嬉しい限りです。鶴田監督の映画は幾つか観させて頂きましたが、本当の恐怖を与えられた感じ。その作風は大好きです」(グレース・イップ)。ちなみに、彼女の台詞は殆どが日本語だそうです。ファンならずとも要チェックされたし!?

執筆者

寺島まり子